価値観の違いによる生活者階層分類(5)

VRDigest編集部
VRDigest編集部
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 前号では見えない市場を見えてくる市場に導くニューセグメンテーション手法、VALUES GROUPSのマーケティング上の有効性をレギュラーコーヒーの飲用率を例に示しました。この号では、いくつかの例を取り上げ、その有効性を示してみることにします。

市場が見えてくるセグメンテーション②~男性化粧品の場合~

 表1はVALUES GROUPS別にみた東京30km圏の男性用ヘアリキッド、男性用ヘアトニックの使用率です。

vol228_01.jpg

この表からいえることは、

1. 両製品ともに社会的経済的充足度が高い上の階層が主ターゲット

2. その中で、ヘアリキッドは自由主義的な「自己実現欲求階層」では平均的で、ヘアトニックは大勢追随的な「達成満足階層」、「安定志向階層」では平均的

3. 若者、中でもある程度裕福な家庭で育ち、自分の行動、感情に自由に生きている「自己主張階層」で両製品とも受けいれられていない傾向がみられるが、特に、ヘアリキッドで顕著

などだと思われます。

 これらのことから両製品を診断すると次のようになります。

<ヘアリキッド>

 若者層の中でも感性が鋭い若者層ではすでに陳腐化し、ムース・フォームを中心にブロー・ジェルなど彼等の心をつかんだ新しいスタイリング剤が受けいれられている。この傾向はますます強まり、一階層上の「自己実現欲求階層」と自己主張階層の動きに敏感に反応する「自己改革階層」を中心にヘアリキッドは取り崩されて行く。ヘアリキッドの主ターゲットは結局、保守的な「知識階層」、「社会関心階層」と時代の流れに乗り遅れる大勢追随派の「達成満足階層」、「安定志向階層」、「帰属階層」になると思われる。

<ヘアトニック>

 ヘアリキッドほど地殻変動は起こしていないが、時代の感覚を先取りする「自己主張階層」での受けいれが弱く、懸念される。また、ヘアリキッドとくらべた時、マスとしては大きい大勢追随派の「達成満足階層」、「安定志向階層」、「帰属階層」に受けいられていず、マーケットの土台が弱いといえる。したがって、新しい価値観を持った製品があらわれてきた時、苦しい展開になることが予想される。

 もうひとつ、男性化粧品の使用状況をみてみましょう。表2は男性用オーデコロン・オードトワレの使用状況です。

 「自己主張階層」では既に2人のうち1人はオーデコロン・オードトワレを使っており、香りに対する取り組みはあたりまえになってきております。また、社会的・経済的位置がしっかりしており、自由主義的な「自己創造階層」でも受けいられております。自己主張階層の動きに対して敏感な「自己改革階層」も今後、有望なマーケットといえましょう。

 このように化粧品に対する男性の取り組みは、従来の既成概念で片付けられない状況にあり、その先べんをつけているのは「自己主張階層」の人達です。

vol228_02.jpg

市場が見えてくるセグメンテーション③~男と女の酒の飲み方~

 最近、お酒を飲む場への女性の進出は目覚ましいものがあります。今では、女性同士で居酒屋やビアホールで飲んでいる光景も珍しいものではなくなってきております。

 表3はVALUES GROUPS別にみた男性と女性のお酒の種類別飲用率です。

 どのお酒の種類も男女ともに生活充実感の強い自由主義的な人によく飲まれていることがわかります。自由主義的な人の中でも飲用率がトップの層は「自己創造階層」、もしくは「自己主張階層」となっています。このことは次号で明らかにしますが、新商品の市場導入を考えるうえで、このニューセグメンテーションがいかに重要であるかを示唆しているものです。

 さて、ではこの表でそのほかにどのようなことがいえるかといいますと、男性の場合は表にあげている酒類のほかに、ビール、日本酒も含め各階層で多くの酒類が飲まれ、楽しまれています。しかし、女性の場合は、飲む階層と飲まない階層とがはっきりと分かれ、かつ飲む階層の中でも酒類によって飲用率に大きな違いがみられます。このことはどういうことかといいますと、男性より女性のほうが、いわゆるワイン、ブランデーなどお酒の種類そのものが持つイメージ、雰囲気にこだわりを持って飲んでいることになります。女性にとってお酒にはシーンが重要で.残念ながら、男性には以前のようなシーンに対する価値観は希薄になっているといわざるを得ず、もしシーンに対する価値感があるとしたら、それは酒類ではなく、ブランド単位に移行しているといえましょう。

(この点は軽率にいえず確認することが必要です)。

 前号に引き続き2つの例を示してニューセグメンテーションVALUES GROUPSの有効性をみてきました。いかがでしょうか。従来のデモグラフィツクやライフスタイルによるブレイクダウンとくらべ、市場が見えやすいセグメンテーションと読者の皆様の目に写りましたでしょうか。このセグメンテーションの持つ特徴はターゲット、プロフィールが的確に把握、抽出でき、且つ相対的にみることにより今後の動向も含め商品の置かれているポジションが判断できることであります。

 また、類型化が可能であり、各階層の特徴が各種調査データから得られることにあります。

 次号では新製品の導入にあたって、このニューセグメンテーションがどのような役割を持っているかを明らかにしたいと思います。

vol228_03.jpg

                                (クーポン企画室 大木眞願)

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!