クーポン・プロモーションの理論と実際 1

VRDigest編集部
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本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

クーポンの特徴

(1)クーポンは販売促進手段の一つ

 「クーポン」とは、企業や組織が消費者に割引の証書、すなわち、金券を提供することでインセンティブ(刺激)を与え、商品の購買欲求を喚起させるものである。したがって、企業や組織が製品、サービス、理念などを意図的に普及させるための「マーケティング・コミュニケーションの構造」の中の販売促進手段の-つといえる。

 図1の消費者向け販売促進に目を向けると、クーポンの他に図2のような促進策がある。

 これまで日本で行われてきた主な消費者向け販売促進策は、「値引」、「スタンプ」、「プレミアム」、「懸賞」などであり、最近注目されてきているのがダイレクト・マーケティングである。

 このようにクーポンはこれらの販売促進策と同じ範ちゅうにある販売促進手段の一つであるが、人によってその概念、イメージは大きく異なる。クーポンが日本に根付いていないことが最大の要因であろうが、クーポンはこれまでの販売促進策とは違い、アイデア、創造により、いろいろなテクニックがとれるために混乱が起きていることもあろう。

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(2)2つに分類されるクーポンテクニック

  図3は、米国で行われている主なクーポンのテクニックであるが、いろいろな手法でクーポンが消費者に配布されている。

それぞれの手法の中では、他社との差別化、すなわち、消費者の注目をひきつけるために、様々なアイデアが凝らされてきている。たとえば、雑誌オンページにサンプルを付ける(サンプルを使ってみて気にいったらクーポンで買う)、自社のカレンダーにクーポンを付けるなどだ。

  クーポンには、こうした多くのテクニックがあるが、その方向性から分類すると、大きく2つに分けられる。一つは、単なる販売促進効果(額面値引によるインセンティブ)のテクニックであり、もう一つは、広告という形態をとることにより、コミュニケーション効果と販売促進効果との相乗効果を狙うテクニックである。

  後者の有効な手段は新聞、雑誌のマス・メディアの利用であり、それゆえ、前者よりは経費がかかるが、反応は鋭く、特にコミュニケーション効果が大きい。この二つの分類を概念図にまとめたのが図4である。

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具体的に、クーポン広告と単なるクーポン・プロモニション(イン・/オン・パック)との効果の違いをまとめると、表1のようになる。クーポン広告は、コミュニケーション能力に優れていることから、新製品を消費者に紹介し購入させることや、より強力な販売増を招くことにより、小売店側の協力を得やすい点などが特徴である。

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(3)プリントメディアをより強力なメディアにするクーポン

クーポンすなわち、値引き、といったイメージが強く持たれているが、クーポンが生まれてきた背景を探ってゆくと、プリントメディアをより強力なメディアにするためのテクニックとして開発されたことに突き当る。つまり、クーポンを付けることによって、読者が広告に注目することを狙ったものである。その効果はリーダシップ調査でも明確に出ており、プリントメディアにとって、最後に残されたマーケティング・ツールであるといわれるゆえんでもある。

(表2参照)

 クーポンはプロモーション手段でありながら、クーポンが付くことにより、広告の補強もあわせ持っている有効な手段といえ、その効果はクーポン広告・という形態を取ることで、さらに強力なものになるといえる。

(4)-般的に言われているクーポンの特徴

 クーポンは消費者にクーポン=金券という他のプロモーションにはみられない、消費者の懐に直接結びつく利益を与えることから独自の特徴が生まれる。それは、消費者需要の創造が強力であるため、流通業者および販売員の支援が得られることだ。

 さらに、流通業者、販売員の支援は販売増に結びつき、好循環を生むことになる。特に、新商品や改良商品を試用させたい時、以前の利用者の再利用を促す時、短期蘭の一時的値引きにより競合商品のシェアを獲得する時、などに有効とされている。

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 小売店側の支援としては、棚フェイシング、ディスプレイ、タイ・イン広告、マネキンなどが考えられよう。しかし、これらはあくまでもクーポン発行者であるメーカー側からみた思惑である。

5)値引き、スタンプとクーポンとの違い

 小売店側からみると、販売増であるならば、値引き、もしくはスタンプと同じであり、クーポンを扱う必要はないという意見が出てくる。確かに小売店にとっては、単に小売店側の販売増ということでは、値引き、スタンプの方が現実的な数字を残すであろう。また、小売店がクーポンを扱うことになると、小売店の業務は繁雑になる。

 そこで、クーポンと値引き、スタンプとの違いを小売店に理解してもらい、クーポンへの協力を求める必要がある。その違いを整理したのが表3である。

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簡単に一表にまとめてあるが、この表にはいくつかの重要なポイントがある。そのポイントは次号に言及するが、そのポイントを、クーポンを発行するメーカーと取り扱う小売店が十分に理解し歩みよらなければ、日本でのクーポンの発展はおぼつかないであろうということが、今回実際に動いてみての実感である。

                                (クーポン企画室 大木眞願)

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