VRホームスキャン・データ分析事例(10)―新製品採用時期に関する分析―

VRDigest編集部
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本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 新製品の採用(購入)に関する傾向が人によって大きく異なることは、一般によく知られている。流行のモノを誰よりも早く手に入れる人もいれば、慣じみの品から一向に離れない人もいる。今回は、そういった製品採用に関する個人差に着目した若干の分析事例を紹介する。

1.新製品採用における個人差

 図1はE.Rogersの有名なイノベーション採用タイプ分類であるが、昨年発売され、成功を収めた新製品3例(衣料用洗剤、即席袋麺、水産加工品)にその構成比を当てはめたものが図2である。(サンプル数の関係で、innovatorsはearly adoptersの中に含めている。また便宜上発売後12ヵ月までの購入世帯を対象としている。)これを元に、採用期別の特徴をそのプロフィールから追ってみる。

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2.プロフィールから見る採用期別の特徴

 採用期別の世帯特性別構成比を入力データとして主成分分析を行なったところ(図3)、子供の有無もしくは主婦年齢に関する軸が抽出された。採用期別に見ると、前期採用層(EA層、EM層)は第一主成分、第二主成分ともにマイナスの方向(主婦年齢が低く、小さな子供のいる方向)にポジションされ、一方後期採用層(LM層)及び未購入層はそのほぼ対角線上にプロットされている。このことから、新製品の採用時期は子供の有無と主婦年齢に少なからず規定されていることがわかる。さらに、個々の商品に関係なく同じ層が近いポジションを得ていることを見ると、そういった採用期による特徴は商品個有のものではなく、むしろ新製品一般(食品・日雑品の範囲で)に適用されるものではないかと考えられる。

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3.新製品志向派の存在

 そこで、前期採用層(EA層、EM層)における他の新製品8品の早期採用状況(発売後3カ月以内)を見てみた(図4)。ここで対象とした8品は浸透率がそれほど高くないものばかりであった為明確な差は見られないが、3例とも他の新製品を比較的多く採用している様子が伺える。さらに、今春発売された大型新製品2例(サラダ用ソース、衣料用洗剤)について、その浸透速度を後期採用層と比較したものが図5である。いずれの場合も、前期採用層の浸透が格段に早いことがわかる。これらは傍証にすぎないとは言え、やはりある商品の早期採用世削よ 同時に他の多くの商品についても早期採用世帯である可能性が高い(つまりは、新製品を好んで買う層=「新製品志向派」が存在する)ことを示唆していると言える。このような層の発見は製品の市場導入時における先行指標提供の上で極めて重要な意味を持つように思われる。

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 今回の分析から、多くの新製品を早期に採用する「新製品志向派」が存在し、子供の小さな若い主婦世帯がその中心を成しているという仮説が得られた。今後は、ではなぜそのような層が新製品の早期採用を行なうのかについて、情報量や感度、採用までのプロセス、また「家族」に対する意識とそれを取り巻く環境の変容といったファククーを考慮する中で、さらに研究を進めていかなければならない。同時にまた、採用期別の購買行動特性(チャネルや価格感度、採用商品の定着率など)に関する比較研究も必要と思われる。

                                 (消費者分析部 相原博之)

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