「景気が良くなると犬を飼う人が増え、景気が低迷すると猫を飼う人が増える」は本当か

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「景気が良くなると犬を飼う人が増え、景気が低迷すると猫を飼う人が増える」は本当か

近年、動物を特集した番組や動物の動画や画像を投稿しているSNSなどをよく目にします。動物の種類も多種多様になってきており、ハリネズミブームなど少し変わったペットブームもたびたび起こっています。しかし、そんな中でも不動の人気を誇るのは犬と猫ではないでしょうか。当社のACR/ex調査では、ペット飼育者の約6割が犬か猫を飼っているということがわかりました【図表1】。

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このように根強い人気がある犬猫ですが、「景気が良くなると犬を飼う人が増え、景気が低迷すると猫を飼う人が増える」という話があります。この真偽をACR/exの調査データを基に検証していきます。まず、犬の飼い主と猫の飼い主の特徴に違いがあるのかを検証してみます。

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【ACR/ex】

はじめに、それぞれの世帯構成を見ていきます【図表2】。

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犬猫の飼い主は全体に比べて単身者が少ないことは共通していますが、猫の飼い主は夫婦だけの世帯が多く、犬の飼い主は2世代・3世代同居の世帯が多いという結果になりました。それぞれの平均同居人数は、猫の飼い主が3.2人に対して、犬の飼い主が3.5人となっており、犬の飼い主の方が世帯の人数が多いことがわかります。

次にそれぞれの世帯収入をみていきます。

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世帯収入では、犬の飼い主は732万円で、全体より70万円ほど高く、猫の飼い主は660万円と全体とほぼ同程度でした。これは犬の飼い主が何世代も同居していることが影響していると考えられます。

家族人数が多いということは住居形態にも違いがあるかもしれません【図表4】。
ACR/ex調査では、一戸建て(持ち家・借家)など細かくみることが可能です。ここでは一戸建て、アパート・マンション、その他(間借りなど)の3つに分類して見ていきます。

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分類してみると、ペット禁止のアパート・マンションが多いこともあってか、犬猫どちらの飼い主も全体に比べ、一戸建ての割合が多く、アパート・マンションは少ないということが分かりました【図表4】。

一戸建ては、特に犬の飼い主に多く、全体に比べると16.6ptも上回っています。 大型犬の場合、スペースが広く庭がついていることもある一戸建てで飼うケースが多いということが窺われます。対して、猫はペットとして一般的に飼われている種類は身体が犬に比べて小さいものが多いため、比較的アパートやマンションでも飼いやすいと考えられます。

では、飼い主によってそれぞれの行動パターンには違いがあるのでしょうか。まず過去一年間に行ったレジャーや趣味の活動について比較します【図表5】。

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犬の飼い主はビデオ撮影やお菓子パン作りなどが猫の飼い主に比べて多くなっていますが、遊園地や買い物、旅行などアウトドアも多いことがわかります。それに対して猫の飼い主はモバイルゲームや読書などの項目で犬の飼い主を上回る結果となりました。この結果だけみると、犬の飼い主の方が比較的アウトドア、猫の飼い主は比較的インドアという印象を受けます。

さらに、今後行いたい活動にしてみると、猫の飼い主は遊園地に行きたいが高くなっているものの国内旅行は低く、動画視聴やモバイルゲームが高いことからやはり猫の飼い主はインドアな傾向であることがわかりました【図表6】。

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インドアな傾向にあるということは、あまり外に出ることはない=購買行動をあまり行わないため、景気が低迷するというということも考えられますが、今の時代はネットショッピングも普及しており一概にインドア・アウトドアが景気に関連しているとは言えません。

そこで、犬の飼い主・猫の飼い主の購買意識の差についても比較してみました【図表7】。

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犬の飼い主は「衝動買いをしてしまうことが多い」や「買い物をすること自体が好き」、「限定モノ・流行モノに弱い」などの項目が高い一方、猫の飼い主は「買い物には手間をかけたくない」や「必要なもの以外買わないほうだ」、「長年使い続けられるものを選ぶ」などの項目が高い結果となりました。このことから、犬の飼い主は新しいものや限定のものなどを衝動買いすることが多く、買い物自体を楽しむタイプです。一方、猫の飼い主は最低限の必要なものを長年使い続けて買い物には手間をかけないタイプということがわかります。景気は、多くの人が沢山のお金を使うことで循環して良くなるものです。つまりは、世帯収入が高く消費行動に積極的な犬の飼い主の方が景気向上の要因のひとつになっている可能性があります。

最後に「景気が良くなると犬を飼う人が増え、景気が低迷すると猫を飼う人が増える」は本当かを検証するために、景気をみる指標として、内閣府が発表している国内総生産(GDP)と犬を飼っている人と猫を飼っている人の数を比較しました【図表8】。

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この表を見ると、国内総生産は徐々に増加しているものの、犬の飼い主は2015年・2016年と減少し、2017年でわずかに増加しています。猫の飼い主は、2015年で若干減少したものの2016年からは増加しています。残念ながら、ここからは景気と犬猫の飼い主の増減の関係は導き出せませんでした。

しかし、ACR/exを使って分析をしたプロフィールから犬の飼い主は購買行動に積極的であり、世帯年収も高いことがわかったため、こうした要因から言われるようになったのかもしれません。

今後も面白そうなテーマを探して、様々な角度から分析・検証していきますので、ご期待ください。

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