ラジオのはなし 聴取率測定編(第4回)

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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

~ローカルピックアップ方式のまとめ~

 先月は道路沿いに測定機とアンテナを設置し、通過車両の聴取状況を自動測定するというテーマで、ローカルピックアップ方式の問題点を4つ挙げました。

先月号で指摘した問題点

1)FMは測定できるが、AMは測定できない。

2)数の測定が出来ない。

3)ローカルシグナルは年々、漏れなくなっている。

4)換算式が複数になった。

 この中で(1)(2)は道路沿いで自動測定するというテーマに限定した問題点なので、(3)(4)がカーラジオ調査でのローカルピックアップ方式が抱える本質的な問題だといえるでしょう。

 今月は逆に、この方式のメリットについて考えてみます。

【カーラジオの特徴】

 

カーラジオと家庭用ラジオの一番の違いは何でしょうか?

 まず内部回路で比較すると、カーラジオにはバーアンテナと呼ばれる「磁力」を使ったアンテナが組み込まれていません。そのためアンテナを取り付けないと、ラジオ単体では放送が受信できないのです。このことについては連載中に何度か触れました。

 今回はそういう視点ではなく、聴取局測定技術の立場から「受信状態が刻々と変化する」ことをカーラジオの最大の特徴として取り上げたいと思います。

 さっきまで非常に良好に聞こえていたと思ったら、ビル影で突然電波が弱くなったとか、踏み切りの架線からノイズを受けたとか、時には不法無線が混信してきたりする事さえもあります。

 カーラジオは移動体受信であるために、家庭用ラジオとは比べ物にならないほど不安定要素を抱えています。

【機械式調査手法】

 

現在、機械式ラジオ聴取率測定については、音声識別(オーディオ・マッチング)方式や、ラジオ放送局の送出設備で番組音声に、耳には聞こえないID信号を重畳する「音声すかし方式」などが提唱されています(図1)。

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しかし、いずれの方式でも番組音声の受信品位が悪くなると精度低下を招きます。さらに、程度によっては測定不能にすらなります。

 人間の脳には、たとえ断片的な会話であっても、それをつなぎあわせ総合的に判断できる素晴らしい能力があります。そのため、人には聞えるが、機械では判定できないケースがどうしても生じてしまいます。

【メリット】

 さてローカルピックアップ方式の最大の良さは、番組がはっきり明瞭に聞えているとか、ガーガー雑音まじりで聞いているというパラメータには全く精度が左右されない点です。なにしろ、ローカルシグナルというのは、チューナー回路を「ⅩⅩⅩKHz」に受信セットするために、チューナー自身が発射する電波なのです。(表1)

 国道沿いでの通過車両の自動測定は夢物語ですが、個々のカーラジオのフタを開き、内部にローカルシグナルをピックアップする特殊センサーを忍び込ませることができれば、非常に安定した聴取局データ(選局周波数データ)が得られます。(音声識別方式を採用したVRカーラジオメータ第二試作機では、音声識別回路の精度を算出する基準側測定機として、このローカルピックアップ方式も搭載したほどです。)

 そして最後に調査データとして使えるようにいくつかの補完機能のセンサーとその電子回路を付加することで、カーラジオメータシステムが完成します。

技術開発部 田中 博

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