交通広告のプランニングをサポートするメディアデータを考える~その1~『交通メディアの特性を確認する』

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

■はじめに

近年のアカウンタビリティ議論(広告投資に対する効果・効率の重視)やオプティマイザー(*)のようなプランニングシステムの出現からもわかるように、多メディア化がすすむ広告業界では今まで以上に科学的で説得力のある広告計画とそれを支援する精緻なメディアデータが強く求められてきています。

 既に、テレビは機械式個人視聴率データが浸透してきており、新聞も第三回目の新聞社協同調査が行われ、積極的にデータ整備がすすめられています。また、当社でも各メディアの広告計画をサポートするためのデータ整備を推進しており、昨年は、雑誌総合調査をスタートさせました。

 そして今年度、さらなるメディアデータ整備の1つとして『交通メディアに関する既存データの見直しとビークルプランニングシステムの開発』を企画検討しています。

 そこで、今回から数回にわけて『交通広告のプランニングをサポートするメディアデータ』 について考えてみます。

*オプティマイザー:一定の媒体真の範囲内で効率的なメデーアスケジュ「ルを算出するコンピュータシステム

■交通メディアの特性をあらためて整理する

 交通メディアのデータ整備に関する具体的な企画内容について言及する前に、第1回目にあたる今回は『-般的にいわれている交通メディアの特性』をあらためて整理し、当社のデータを使って確認してみます。今回確認してみたい交通メディアの特性は以下の5つです。

①交通メディアは、都市生活者にとって第5のマスメディアである。

②交通メディアは、ターゲットセグメンテーション性に優れたメディアである。

③交通メディアは、長時間接触が期待できるメディアである。

④交通メディアは、テレビの空白時間をうめることができるメディアである。

⑤交通メディアは、インパクト効果が期待できるメディアである。

■交通メディアは都市生活者にとって第5のマスメディア('99年度ACR関東地区より)

では、『都市生活者にとって第5のマスメディア』という点について確認してみます。具体的には、'99年度ACR関東地区のデータを使用し、どれだけの人が交通メディアに接触しているかを1週間の「Reach」(累積到達率)でみてみます。

 「図1」は1週間の内、JR・地下鉄・私鉄(ACR対象の全路線、バスを除く))を1回以上利用した人の割合とさらにバスを含めた場合の1週間に1回以上利用した人の割合を示したものです。

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1週間のうち、12~69才男女の約6割の人が・地下鉄・私鉄などの交通メディアを1回以上利用しており、都市生活者にとっては第5のマスメディアと位置づけることができそうです。

■交通メディアはターゲットセグメンテーション性に優れたメディア('99年度ACR関東地区より)

 

つぎに、交通メディアの1週間でのReachをターゲット別で比較し、2つめの特徴『ターゲットセグメンテーション性』を確認します。結果は「図2」の通りです。

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 男女12~19才でのReachがもっとも高く、ついで女性20~34才、男性20~34才が上位にあげられます。このことからも交通メディアは学生・会社員に強いメディアであることが確認できます。

■交通メディアは長時間接触が期待できるメディア('99年度MCRより)

つぎに、交通メディアの3つ目の特徴『長時間接触が期待できるメディア』について確 認してみます。具体的には、'99年度MCRのデータを使用し、平日(木曜)と土曜・日曜にわけて、それぞれのメディアに接触した人は、1日平均で何分位接触しているのかを比較してみました。

(注)MCRでは交通メディアは公共交通機関(JR・地下鉄・私鉄+バス)として測定しています。また、MCRの調査エリアは東京30km圏内です。

 結果は「図3」の通りです。

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 交通メディアの接触者(利用者)は、平日・土日ともに1日平均1時間40分~50分接触(利用)

しており、プリントメディアの平均接触時間を上回っています。

 さらに、ターゲット別で各メディアの1日平均接触時間を比較したのが「図4」「図5」です。

「図4」は男女10~19才、「図5」は男性20~34才(ともに接触者)の1日平均のメディア接触時間です。

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 男女10~19才(接触者)をみると、①交通メディアの1日平均接触時間は1時間30分以上であること、②10~69才男女(図3)に比べ、テレビ・ラジオ・新聞の接触時間が相対的に短く、平日(木曜)と日曜では交通メディアはテレビに次ぐ接触時間量となっていることがわかります。

 つぎに、男性20~34才(接触者)でみると、①交通メディアの1日平均接触時間は1時間40分以上であること、②10~69才男女(図3)に比べ、テレビの接触時間(特に平日)が相対的に短い(3:32→2:39)ことがわかります。

 (→交通メディアは相対的にテレビの接触時間が短いターゲットでも1時間30分~2時間の接触時間を安定的に確保できるメディアであることがわかります)

■交通メディアはテレビの空白時間をうめることができるメディア('99年度MCRより)

交通メディアの4つ目の特徴『テレビの空白時間をうめることができるメディア』について確認します。具体的には、'99年度MCRデータを使用して、平日(木曜)と土曜・日曜の毎60分棚虫率を交通メディアとテレビで比較してみました。

「表1」は、10~69才男女でのテレビと交通メディアの曜日別毎60分平均接触率および「交通メディアとテレビの毎60分平均接触率の差(交通-テレビ)」をしめしたものです。テレビは、平日・土日とも19時~22時台の接触率が高いのに対し、交通は平日の通勤・通学の時間帯(7時~9時台と17時~21時台)での接触率(利用率)が特に高く、次いで、土曜日の午前と午後の利用率が高くなっており、自宅外接触メディアという特性を反映した結果となっています。(因みに、10~69才男女では交通メディアの平均利用率がテレビの平均接触率を上回る時間帯はありませんでした)

 「表2」は男女10~19才に絞ってテレビと交通メディアの毎60分平均接触率を比較したものです。特徴的な点として、①交通は平日と土曜日の7時~8時台および15時~18時台の利用率が高いこと、②平日の8時~11時台と16時台では交通の利用率がテレビの接触率を上回っていること、が挙げられます。

 「表3」は男性20~34才に紋ってテレビと交通メディアの毎60分平均接触率を比較したものです。特徴的な点としては、①交通は平日の7時~9時台と17時~22時台の利用率が特に高く、次いで土曜日の7時~9時台・11時~12時台・17時~19時台の利用率が上位にあげられること、②平日の7時~10時台と16時~17時台では交通の利用率がテレビの接触率を上回っていること、が挙げられます。

これらのことより、自宅外接触という特性をもつ交通メディアは、ターゲットによっては、1日のなかでテレビの接触率をも上回る時間帯があることが確認できます。

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■交通メディアはインパクト効果が期待できるメディア('99年度雑誌メディア調査より)

では、交通メディアの5つ目の特徴『交通メディアはインパクト効果が期待できる』という点について確認します。具体的には、'99年度雑誌メディア調査の結果を使用し、各メディアに出稿された広告に対する生活者の評価を比較してみます。

「図6」は、交通広告(電車・駅内など)に対する生活者の評価を示したものです。

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全体的な傾向としては、交通メディアは『新製品の名前が覚えやすい』『企業名が印象に残る』『商品名が印象に残る』などの評価が上位にあげられており、インパクト面の評価が高くなっています。

 男女13~19才、男性20~34才でみても、①全体的な傾向は12~69才男女とほぼ同様であること、②男性20~34才では交通メディアに対する評価が全般的に高くなっていること、がわかります。

 「図7」は、『新製品の名前が覚えやすい』という点での生活者の各メディアへの評価を比較したものです。12~69才男女でみると、「テレビCM」(88.1)が最も高く、次いで「新聞広告」(31.3)、「雑誌広告」(29.9)、「交通広告」(20.1)、「ラジオCM」(10.4)という順となっています。

 つぎに、男女13~19才、男性20~34才でみると、トップはともに「テレビCM」となっていますが,「交通広告」への評価が相対的に高まっていることがわかります。

 これらのことより、「交通広告」はターゲットによってはインパクト効果が期待できるということが確認できます。

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■おわりに

 

今回は、当社の既存データを使用してマスメディアの中での交通メディアの特性(の-部を確終いたしました。

 『交通メディアに関する既存データの見直しとビークルプランニングシステムの開発』については、現在企画検討中ですので、具体的な内容はあらためてご紹介させていただきます。

 今後は、いままで以上に交通メディアを支援できるようなデータの整備に積極的に取り組んでまいりますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。

メディアマーケティング局 プランニング部  新妻 真

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