US Media Hot News 注目されるアマゾン・ドットコム最新動向

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 最近、米国の株式市場ではアマゾン・ドットコムの動きが注目を浴びています。

6年前にすい星のごとく現れ、瞬く間にブランドカをつけて躍進を続けてきたネット企業ですが、このところ株価動向が思わしくありません。アマゾンの成長神話に陰りが見えてきたのが原因で、投資家はもちろん、アマゾンを信奉するネット起業家たちの間で行方が案じられています。

 株価に異変が見え始めたのは今年初め頃からです。昨年末のクリスマス商戦で電気製品やおもちゃを大量に仕入れたのがたたり、やむなく叩き売りする羽目になったことなどが影響しました。売り上げは伸びているものの赤字も増える一方で、株価は回復するきっかけをつかめないまま今日に至っています。

 そんな中、問題のレポートが出ました。米有力証券リーマン・ブラザーズのアナリストが6月末に出した企業分析レポートです。「アマゾンの財務状況は脆弱で悪化している。」と記した内容が投資家の不安感を煽り、アマゾン株は急降下。その日だけで19%下落し、昨年末につけた最高値の約113ドルからは70%の値下がりとなりました。

 リーマンのアナリストの主張は、「アマゾンの経営は非効率で資金運用が下手、債務ばかり膨らんでリスクが高い。」というものです。たしかに、アマゾンは開業以来まだ一度も黒字を出したことがありません。それどころか、事業拡大を急ぐ余り、借金ばかりが膨らんでいます。いくら、新会社は初期投資を回収するまでの期間が必要とは言うものの、アマゾンはスタート・アップからもう6年が経過していますネット界のリーダー的企業ですので、そろそろ利益を上げてもらいたいところです。

 もちろんこのレポートに関しては、アマゾンも黙ってはいません。CEOのジェフ・ベゾス氏はアナリストの予想を「完全な間違い」と激しく攻撃し、積極的にテレビや雑誌のインタビューに出演して反論を試みました。べゾス氏によれば「赤字は出しているが、売上高やユーザー数は順調に伸びている」「20%前後の株価変動は茶飯事」「顧客にとっていいこと(例えば、商品の叩き売り)が株主にとって悪いことだとする単純な考えはやめるべき」と強気の反論を行ないました。

 しかし、その後も他のアナリストによる下方修正は相次ぎました。あるEコマース業界アナリストは「アマゾンは手を広げ過ぎた」と分析しています。

 そもそもアマゾンは書籍やCDを扱うネット通販サイトとして出発しました。アマゾンのビジネス・モデルはウォール街で働くコンピューター・プログラマーだったベゾス氏がハイテク勃興期を迎えていた西海岸へ一攫千金を夢見て向かう途上で生まれました。ベゾス夫人が車のハンドルを握る横でベゾス氏は携帯パソコンのキーをたたき、新しいウェブ事業の構想を膨らませたと言います。

 そもそも、ベゾス氏は家電や日用品など20品目を販売対象に挙げていましたが、小売り店との競合を考慮し、品揃えの面で断然優位に立てる書籍やCDに的を絞ることに決めました。当時、書籍の分野ではバーンズ・アンド・ノーブルズ、CD市場ではタワーレコードやHMVが勢力を伸ばしていました。いずれも豊富な品数が売り物の大型店ですが、アマゾンが揃える何万、何十万というタイトル数にはかないません。興味のある本の中身をオンライン上でちょっぴり読める"立ち読み"機能も効いたのか、アマゾンは瞬く間にオンライン業界の成功企業として不動の地位を固めました。

 ウェブサイトに過ぎなかった事業を1年後に会社化し、それから約3年経った97年5月にはナスダック店頭市場銘柄として株式上場。ネット株IPO(新規株式公開)ブームのはしりです。98年頃から

は食料品やペットなどもラインナップに加えて、売上高は96年の1580万ドルから今年は28億ドル規模に達する見込みです。

 しかし、アナリストの多くは"書籍・CDのアマゾン"とのイメージがあまりに強過ぎると懸念します。それ以外の商品をアマゾンで買い求めるというインセンティブが弱いと言います。商品の数が増えたために発送業務や在庫管理業務に追われ、ネット・ビジネスの長所を活かしきれていないことも気がかりです。

 アマゾンの社長兼最高業務責任者(COO)だったジョセフ・ガリ氏の辞任も、関係者の不安をますます募らせる結果となりました。約1年前に家電大手のブラック・アンド・デッカーから移籍してきたばかりのガリ氏のあまりに早い辞任は様々な憶測を呼び、再びアマゾンの経営不安説が流れました。

 今、アマゾンは正念場を迎えています。一説には、独自路線から他社との協調路線へ切り換えたとの話です。根拠になっているのはアマゾンが米玩具大手のトイザラスと結んだ業務提携です。向こう10年間に渡りセールスやマーケテイング面で協力するというものですが、おもちゃはアマゾンで既に扱っている商品。それを敢えてトイザラスと組むのは、今後は他社の助けも借りようという決意の現れではないでしょうか。

 アマゾンにとっては、海外事業の拡大も力を入れたい分野のひとつです。特に注目しているのは日本。米国に比べて読書人口が圧倒的に多く、人口が密集しているため効率良い配送サービスに適しています。アマゾンは年末までに札幌で消費者サービスセンターを開局し、来春には日本語サイトを立ち上げる計画もあるそうです。

 しかし、どんな壮大な青写真を描いたとしても、投資家や株主はアマゾンの経営に対する不安を払拭できないのではないでしょうか。最も望まれるのは、一刻も早い黒字転換です。アマゾンは、書籍・CD事業では今年にも実現できると期待しています。全体については、2年後の2002年との予想。これは、株価浮揚のための単なるリップサービスか否か......。

今後も、ネット・ビジネスのリーダーであるアマゾン・ドットコムからますます目が離せなくなりそうです。

Video Research USA, Inc.

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