BSデジタル放送は生活者にどのように見えている?

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 2000年12月1日午前11時、BSデジタル放送がいよいよ本放送を開始します。

 BSデジタル放送は、本格的なデジタル放送時代の幕開けとして、また、これまで基本的に一方通行だった"放送"に対して、データ放送などの活用によって双方向サービスが可能であることから『放送と通信の融合時代』を象徴するメディアの登場として期待されています。

 そこで、今回はBSデジタル放送が生活者にどの程度浸透しているのか、どのように見えているのかということを、これまでに実施したBSデジタル放送関連の調査から結果をご紹介いたします。

■BSデジタル放送の浸透状況

 まず、BSデジタル放送の認知度・興味度という観点からの浸透状況を、2000年9月に当社が実施した浸透状況調査の結果【グラフ1】から見てみます。(調査概要は11ページ参照)

【グラフ1  BSデジタル放送の浸透状況】

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 BSデジタル放送について、「言葉は知っている」レベルまでを含めた認知度は76.6%、「詳しく知っている」「ある程度知っている」をあわせた理解度は23.2%でした。知名度という点では、決して低い数値ではないと思われますが、理解度については、さらに底上げが必要といえる様です。

 また、BSデジタル放送への興味度では、「興味がある」と答えた割合が53.2%と過半数に達しています。認知度と同様に「非常に興味がある」と答えた割合は1割未満と「まだこれから」の感はありますが、『よくわからないが、なんとなく興味が持てる』というあたりに、一般生活者のBSデジタル放送に対する"期待感"がうかがえる結果ともいえるかもしれません。

 ちなみに、今年の6月に実施したMedia Contact Report(以下、MCR)では、BSデジタル放送の認知度は61.9%、理解度は13.9%でした。そもそもこの数値が「高いのか、低いのか?」ということの比較材料として、1998年のMCRのスカイパーフェクTV!を例に検討してみたいと思います。

※2000年と1988年では浸透度の測定方法は異なるため、あくまで参考DATAとご理解ください。

1998年MCRの調査時期は5月下旬で、パーフェクTV!とJスカイBの合併が発表されて約半年、まさに「スカイパーフェクTV!」として発足、本放送を開始する直前というタイミングにあたりますが、認知度は57%(加入者・解約経験者を含む)、理解度は17%相当でした。つまりBSデジタル放送は、本放送開始半年前にしてそれに近い水準のスコアを獲得していることになります。

 もちろん、BSデジタル放送が認知される環境にはCSデジタル放送の貢献もあるかと思われますが、この浸透の立ち上がりの早さには、BSデジタル放送のポテンシャルがうかがえるように思われます。

 では、BSデジタル放送のどのような点が認知されているのかを見てみることにします。下のグラフ

【グラフ2】は、BSデジタル放送についてどのようなことを知っているかをまとめたものです。

 この結果はあくまでも9月時点の調査結果であるため、本稿が発刊されるタイミングでは的を得ていない状況にある可能性は多分にありますが、BSデジタル放送の普及に向けて現時点で指摘出来る課題の抽出という意味合いで結果を見てみたいと思います。

【グラフ2  BSデジタル放送 認知内容】

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 BSデジタル放送に関する認知事項では、「高画質・高音質なデジタルハイビジョン」が52.6%で最も高く、ついで「12月に放送開始すること」が47.6%となっています。BSデジタル放送の特徴として放送・広告業界的に注目度が高いと思われる「データ放送」は25.9%と"BSデジタル放送で出来ること"について、まだ理解が浅いことは否めないようです。

 シドニーオリンピックはBSデジタル放送の浸透への貢献が期待されたビッグイベントでしたが、「BSデジタル放送の実験放送で中継すること」についての認知は4割未満の結果でした。これには、受信機器の供給面の問題から、家電及びその流通も含めた「盛り上げ」が積極的には行いにくい状況があったことが影響しているのかもしれません。

 ちなみに、【グラフ2】で示した事柄について、その認知に関わらず"どの程度関心が持てるか"を調査したところ、「地上波系の民放は無料放送」が59.5%でトップでした。これは認知度との差が大きく、周知させることでBSデジタル放送に対するポジティブな態度形成に貢献する要素と思われます。同様に「各局の放送番組・内容」(認知度12.0%,関心度54.5%)も認知度と関心度の差が大きく、一般生活者が『知りたいこと』であり、BSデジタル放送を視聴する動機の形成には不可欠なポイントと言えるでしょう。

次に、認知度・興味度を性・年代別に見てみることにします。【グラフ3】

【グラフ壬 BSデジタル放送 浸透度(認知・興聴〉 性・年代別】

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 BSデジタル放送の認知度、興味度を性・年代別に見ると、いずれも女性に比べ男性が高い傾向にあり、認知度ではサンプル数が少ないため参考程度ではありますが、男女とも10代で低い点が目に付きます。また、男女の同年代で比較すると、認知度に対する興味度の歩留まりが男性に比べ女性で低調になっています。

 単純な認知度、興味度の点から言えば、9月時点で想定できるBSデジタル放送を受容する可離の高いコアターゲットは男性の30~40代と言うことも出来そうです。

■BSデジタル放送を、どのようなメディアに見せるのか?

 さて、性・年代別の浸透度状況の違いをご紹介しましたが、具体的な内容理解については、【グラフ2】で示したように9月時点ではまだ浅い面があるようです。そこで、今後のBSデジタル放送のプロモーションにどのような方向性があるのかについて、考えてみたいと思います。

 とにもかくにも『早期の視聴者獲得』という目標を立てるのであれば、現在の浸透度がより高い層ほど、潜在的なニーズが高く、よりスムーズにBSデジタル放送を受容する土壌があると判断して、その層を重点ターゲットとする考え方があると思われます。一方、そのような目先のことではなく、広くあまねくBSデジタル放送というメディアの存在を理解浸透させることが必要なのだ、という考え方もあるでしょう。前者はまさに「販促」であり、後者はターゲットを広くとらえた「ブランド戦略」のような考え方と言えるでしょう。

 ちなみにスカイパーフェクTV!の前身である「パーフェクTV!」が開局した時のテレビスポットCMキャンペーンの展開を振り返って見ると、本放送開始の1ヵ月前、1996年9月から12月までの4ヶ月、毎月平均2000GRP(世帯/関東地区)規模の展開で、出稿パターンは深夜帯(23:00以降)にウェイトのある「コの字型」でした。

「コの字型」の出稿は、OA・情報機器や電話・通信サービス、自動車など、男性をターゲットにした耐久消費財系の商品種類で採用されることが多い出稿パターンですが、かつ「深夜帯」に出稿のウェイトがあることから、プロモーションのメインターゲットを、男性の20~30代とする意志のあったことが類推できます。これはあくまでも、テレビCM出稿実績を切り口としたケーススタディにすぎませんが、初期の関心層に注力してプロモートするという意味では、妥当な方策であったように思われます。

 クリエイティブについても言及すると、起用タレントは映画監督のクエンティン・タランティーノ、NBAプレーヤーのチャールズ・バークリー、スーパーモデルのナオミ・キャンパリレであり、タレントのメジャー感やグローバルなイメージを借りつつ、代表的なコンテンツである、映画・スポーツを連想させることに狙いがあったのであろうと思われます。(ただし、この時点ではメッセージの柱は『多チャンネル』だったのですが...)

 BSデジタル放送も、11月1日からBS6社共同のテレビスポットCMの出稿を開始しています。また、今後各局独自のプロモーションも展開されるようです。

 BSデジタル放送のメディア全体が、また各放送事業者がそれぞれ、そのようなターゲットを想定し、どのようなメッセージ(特徴)を柱とするのか、それに対する生活者の反応はどうなのか、といったことについては、当社でも注目していきたいと考えています。

■BSデジタル放送への期待内容を探る

 今回ご紹介したデータは、BSデジタル放送のきわめて基本的な浸透度評価ではありますが、「まだ分からないこともあるが、なんとなく期待出来そうなBSデジタル放送」という一般生活者の認識がうかがえると思われます。調査では、BSデジタル放送の視聴意向についても調査していますが、調査設計上、視聴する意志決定の"確かぎを求める選択肢を用意したために、「内容を見てから決める」「よく知らないのでわからない」が大多数を占める結果となったことを付け加えておきたいと思います。

 この『よくわかっていないながら、漠然とした期待感』は、ある意味、不確かなものであるかもしれませんが、同時に、地上波系民放BS局が無料放送であることや、デジタルハイビジョンと並ぶBSデジタル放送の特徴であるデータ放送など、"伝われば有効と考えられるメッセージ"は、まだまだ残されていると言えます。

 そこで、今回の結びにBSデジタル放送への期待内容を探るという意味で、本年のMCRで当社、社内研究項目として調査した、BSデジタル放送の番組編成タイプ別視聴意向の結果をご紹介します。【表1】

 調査した編成タイプはBS局が本年の5月時点の資料を基に、当社で編集・加工したものです。

【表1 番組構成タイプ別 視聴意向度】※スコアは「是非みたい」

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 各番組編成タイプで「是非見たい」という回答の上位は、「最新劇場映画を地上波より早く見られる」(31.9%)、「『映画』中心」(29.7%)、「『映画』『スポーツ』『音楽』中心」(29.2%)「最新ニュースをいつでも見られる」(28.1%)となりました。これはいわゆる「専門チャンネル」的なニーズに近いように思われます。

 提示されているものの中では、「スペック」が具体的でわかりやすいことも要因と考えられますが、「映画」のコンテンツジャンルとしての"強さ"は指摘できると思われます。

 逆に「テレビ画面上で商品購入出来るショッピング番組」は、現在の通販番組との違いが直感的に分からなかった可能性もありますが5.2%にとどまり、「双方向サービス」の発展には、相当の啓蒙活動が必要ということを表しているのかもしれません。

 今回ご紹介したデータは、決して新しいものではありません。この原稿が発刊されているころには、かなり状況が変わっていると考えられます。

 そのようなBSデジタル放送の浸透度等に関する最新動向についてのご紹介は、別の機会を予定しています。

 これからの数年間、テレビメディアは激変の時期を迎えます。郵政省が東経110度CSの放送事業者認定の審査基準に「BSデジタル放送の普及及び健全な発達に寄与すること」を掲げているように、BSデジタル放送は、本放送の開始を前にして、放送と通信の融合の象徴であると同時に、今現在ある種の垣根をもうけて論じられている「放送メディア」全体の融合を象徴するメディアであるとも言えます。

 そのような背景をふまえ、本稿は今後、メディアが多様化・複合化していくにあたって、BSデジタル放送、CSデジタル放送では「誰に向けて、何を最初に言い」「何が最初に伝わったのか」、そこからどのような知見が得られるかということのケーススタディとごヨ型軌ヽただければ幸いです。

                 メディアマーケティング局 デジタルメディア部 石松俊之

ビデオリサーチ自主調査 調査概要

 調査地城    東京30㎞圏

 調査対象    満13才~59才の男女個人

 サンプリング方法 無作為二段抽出法

 調査期間     2000年9月20日~2000年9月26日

 調査方法     留置調査法

 回収状況     指令標本数800サンプル、回収標本624サンプル

Media Contact Report(MCR)調査概要

 調査地城    東京30㎞圏

 調査対象    満10~69才の男女個人

 サンプリング方法 無作為二段抽出法

 調査期間     2000年6月5日~2000年6月11日

              ※10日(土)は公立小中学校の休校日を設定

 回収状況    指令標本数2,600サンプル、有効標本数1,986サンプル


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