デジタルメディア受容の現状 ~MCR調査データより~

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 2000年12月1日、ついにBSデジタル放送がスタートしましたが、こういったメディアのデジタル化の流れは、今後ますます加速するものと思われます。そこで今回は、既に先行して普及しているデジタルメディアを3つ取り上げ、MCR調査データをもとに、その普及状況やユーザープロフィールについてご紹介していきたいと思います。

●デジタルメディアとは?

 普及状況やユーザープロフィールをみる前に、そもそもデジタルメディアとは何なのか?について整理してみたいと思います。

 デジタルメディアというものをどう捉えるかについてはいろいろな考え方があるかと思いますが、ここでは図1のように、CSデジタル放送やBSデジタル放送といった「放送系」や、インターネットに代表される「通信系」に加え、ソフトやハードも「コンテンツ系」、「情報家電系」、「モバイル系」としてデジタルメディアと捉えています。このように、デジタル化の進展にともない「メディア」というものの意味する範囲は広がってきていると言え、デジタルメディアについて考える際も広い視点で捉えていく必要があるのではないかと思われます。

vol390_01.jpg

※この図は「メディア」の概念拡大の流れを示しているものでもあり、単純に分類をあらわしているものではありません。

 以下では、これらのデジタルメディアのうち、現時点である程度普及しており、広告媒体としても注目されている「CSデジタル放送」「インターネット」「携帯電話」の3つについて、その普及状況とユーザープロフィールをみていきたいと思います。

※ここでは、各デジタルメディアユーザー抑調査をもとに次のように定義しています。

                 (MCR調査概要は7ページ参照)

CSデジタル放送 :自宅で「パーフェクTV!」または「ディレクTVを視聴することができる。

インターネット :ふだん「パソコン」を使ってインターネットをしている、かつ、ふだん「自宅」でインターネットをしている。

携帯電話 :携帯電話・PHSで「メール機能」または「ブラウザ機能」を「月に1日程度」以上使用している。

●デジタルメディアの普及状況

 まず、普及状況についてみると(【図2】)、CSデジタル放送が4.4%、インターネットが25.0%、

携帯電話が25.7%で、インターネットや携帯電話は個人全体のほぼ4人に1人が利用していると言えます。携帯電話のスコアが若干高いようにも感じられますが、その理由としてはMCRの調査地域が東京30㎞圏と都市部に集中しているという点や、ショートメールサービスなども含まれる可能性があるという点が考えられます。

 それでは、参考までにこれら3つのデジタルメディアのユーザー重複状況を見てみましょう。これについてみると(【図3】)、インターネットと携帯電話の重複利用者が個人全体の9.7%と最も多く、次いでCSデジタル放送とインターネットが1.9%、CSデジタル放送と携帯電話が1.5%となっています。ちなみに、3つのうち1つ以上利用しているという人は42.8%で、4割以上の人がいずれかのデジタルメディアを利用しているということになります。また、2つ以上利用しているという人は11.5%、3つとも利用しているという人は0.8%でした。

【図2 デジタルメディア普及状況】

vol390_02.jpg

【図3 デジタルメディアユーザー重複状況】

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●デジタルメディアのユーザープロフィール

 次に、それぞれのユーザープロフィールについてみたいと思います。ここでは、デジタルメディアの受容と関係が深いと思われる、a)基本属性、b)メディア関与特性、C)コンテンツ関与特性、d)機器リテラシーの大きく4項目についてみることにします。

 a)基本属性

   まず、性・年齢をみると(【図4】)、いずれも平均年齢が個人全体より低く、特に携帯電話ユーザーの65%は10~20代となっています。男女比については、CSデジタル放送ユーザーやインターネットユーザーで若干男性が多いものの、それほど大きな差はみられませんでした。

   また、平均世帯年収をみると、個人全体の769万円に対して、インターネットユーザーが866万円と約100万円高く、次いでCSデジタル放送ユーザーが819万円、携帯電話ユーザーは個人全体とほぼ同じ766万円でした。

【図4 性・年齢】

vol390_04.jpg

b)メディア関与特性

まず、平均メディア接触時間をみると(【図5】)、CSデジタル放送ユーザーが個人全体より長く、特にラジオの接触時間が長いのが目立ちます。彼らはもともと放送の多チャンネル志向が高いと言えるのかもしれません。逆に、インターネットユーザーや携帯電話ユーザーは個人全体に比べメディア接触時間は短く、特に携帯電話ユーザーの短さが目立ちます。但し、彼らは起床在宅時間も短いことから、決してメディアに対する関与が低いとは言えないと思われます。

  また、平均メディア支出をみると(【図6】)、いずれも個人全体より高く、メディアに対してお金をかけていると言えます(※ここではテレビのような世帯支出と雑誌のような個人支出を単純に合計しています)。そして、興味深い点としては、いずれも雑誌への支出が個人全体を上回っているという点をあげることができます。

【図5 平均メディア接触時間】

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※( )内は合計/起床在宅時間

※インターネットは、パソコンでの利用のみ携帯電話は、携帯電話+携帯端末でインターネット

【図6 平均メディア支出】

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※( )内は合計

 ※テレビは、CSデジタル放送+ケーブルテレビの費用

携帯電話は、携帯電話+PHSの通話・通信費用

c)コンテンツ関与特性

まず、積極的に収集する情報ベスト5をみると(【図7】)、CSデジタル放送ユーザーではスポーツや生活情報、インターネットユーザーではパソコンやインターネット、携帯電話ユーザーでは音楽、ファッション、ショップなどが上位にあがり、それぞれの間で差がみられました。さらに、個人全体とのスコアの差をみると、ほぼ全てがプラスであることから、いずれも情報に対してアクティブであると思われます。

また、平均ソフト支出についてみると(【図8】.)、いずれも個人全体より高く、ソフトに対してお金をかけていると言えます。特に携帯電話ユーザーの音楽ソフトへの支出が高さが目立ちます。

【図7 積極的に収集する情報ベスト5

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【図8平均ソフト支出】

vol390_08.jpg ※( )内は合計

※映画・音楽・スポーツは、CD・ビデオ・DVD等の購入・レンタル費用

ゲームは、ゲームソフトの購入費用

d)機器リテラシー

機器に対する抵抗感をみると(【図9】)、いずれも個人全体より低く(CSデジタル放送ユーザーのタッチパネルを除く)、機器に対する抵抗感は小さいと言えます。

特にCSデジタル放送のリモコン、インターネットユーザーのリモコンとキーボードに対する抵抗感の低いことが目立ちます。

【図9 機器に対する抵抗感】

vol390_09.jpg

※スコアは、「とても抵抗を感じる」+「やや抵抗を感じる」

以上のa)~d)を踏まえ、各デジタルメディア別にそのユーザープロフィールをまとめると、次のようになります。

 CSデジタル放送ユーザー :時間とお金に余裕があり、メディアに接触する時間も長く、お金            もかけている。また、情報に対してアクティブで、ソフトに卓)お金をかけている。リモコンに対する抵抗感が低い。

 インターネットユーザー :年齢が比較的若く、お金持ちで、メディア・ソフトともにお金をか             けている。情報に対してアクティブで、リモコンやキーボードに対する抵抗感が低い。

携帯電話ユーザー :年齢が若く、在宅時間・メディア接触時間ともに短い。収入は平均的だが、メディア・ソフトともにお金をかけており、情報に対してアクティブ。

●おわりに

以上、デジタルメディア受容の現状ということで、「CSデジタル放送」「インターネット」「携帯電話」の3つを取り上げ、その普及状況とユーザープロフィールをみてきましたが、そこからデジタルメディアは、メディアやコンテンツに対する関与が高く、情報に対してアクティブで、機器リテラシーの高い、比較的若い人に受容されているということがわかりました。また、一口にデジタルメディアといっても、その特性の差によって普及の速度にも、ユーザーのプロフィールにも差がみられるということもわかりました。

そして、今回はご紹介できませんでしたが、このようなデジタルメディア受容の現状をふまえ、今後デジタルメディアは世の中全体のどのような層から受容されていくのか?また、その際に阻害要因となるものは何なのか?という課題に答えるべく、分析の切り口のひとつとして、生活者を「メディア」に対する「噂好(意識)」でグルーピングした「メディア噂好別グルーピング分析」等も試みています。この分折から、例えば、携帯電話は実はテレビ好きな人に多く受容されている、ということもわかりました。しかし、これも切り口のひとつに過ぎません。今後は、他にもメディアに対する「行動(実態)」や、「コンテンツ」を切り口とした分析、また、それらを実際のビジネスにどう活かすめかといった視点も必要であると思われます。引き続きこのような「デジタルメディア受容の今後の方向性」に関する研究を進めていきたいと思っております。

メディアマーケティング局 デジタルメディア部  伊藤 正裕

Media Contact Report(MCRの調査概要)

・調査地域 :東京駅を中心とした半径30km圏

・調査対象者 :満10~6 9才の男女個人

・標本抽出法 :住民基本台帳より無作為2段抽出法

・標本数 :指令標本数2,600人 有効回収漂本数1,986人

・調査方法 :訪問による質問紙留置法

・調査対象日 :2000年6月5日(月)~11日(日)

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