デジタルメディア教室(1)~デジタル放送の放送制度面~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 今回から「デジタルメディア教室」を始めますも放送のデジタル化について新しい技術や制度についてよく分かるようにお話をしていきたいと思いますム よろしくお願い致します。

■BS放送のデジタル化

 皆様ご存じのように日件の12月にBS放送がデジタル化されました。それ以前に有料放送、多チャンネルがメインのCS放送がデジタル化されています。今後、全ての放送(中波ラジオを除く)がデジタル化されますし、新たにデジタルで放送を始めるメディアも増えてくるでしょう。今回はデジタルテレビ放送の基本部分の話をします。

 デジタル放送の事を語ろうとすると、放送制度面、放送技術的面、コンテンツ面といろいろな観点から見た事をお伝えしなければなりませんが、まず始めは堅い内容になりますが放送制度面の話をしましょう。

 放送は、皆様ご存じのように郵政省からの免許をもらって放送するという制度を取っています。デジタル放送もこの免許をもらうという事は同じですが、免許の条件が変わります。デジタル化の免許の条件について、昨年の国会でデジタル化に関連する放送法が改正されました。改正の内容の主な部分がテレビ放送と超短波放送の定義を変えたことです。デジタル放送になると扱う最小単位がコンピュータと同じ「ビット」で操作をする事ができるのでこれまでのアナログ放送に比べていろんなことが出来ます。 これまでのアナログテレビでは画像と音声と文字放送などを区別して扱っていましたが、画像も音声もデータも「ビット」で同じものとして扱うことが可能になります。そこで免許も画像、音声、データがミックスすることを踏まえた法体系にしなくてはならなくなりました。これでデジタルの放送局はこれまで別な免許が必要だったデータ放送も特別な申請をしなくても可能となりました。デジタル放送の円滑な発展に向けての制度的な土俵ができたことになります。

■地上波デジタルの改正点

 地上波デジタル放送の改正点について少し詳しく説明しましょう。2000年5月に、電気通信技術審議会から答申を受けて2003年から放送が始まる地上デジタルTV放送方式を変更しました。難しい内容ですが「変調階層」はデジタルになるとレイヤーで議論できるので、一番下の電送レイヤーのところはOFDMという技術を使っています。その上に情報の多重とか情報源符号化ということでMPEG2を使い、多重レイヤー以上のところではBS/CS地上ケーブルと技術を合わせるとした「地上デジタルテレビジョン放送方式の技術的条件」に合わせています。

 これを簡単に説明しますと、OFDMという技術を使うことにより同じ周波数の電波を複数の地点から同時に放送することができます。今までだとアンテナから遠く離れたところは、電波が弱くなるのでサテライト局を作り違うチャンネルで放送していました。チャンネルを変えなければ電波の干渉が起きゴーストになってしまうからです。このOFDMという方式を使うと同じ周波数で放送できます。ここで電波の有効利用ができるということになり、移動体受信(自動車などでの受信)が簡単にできることになります。

 またMPEG2というのは映像の圧縮方法です。国際的にこのMPEG2がテレビでは使われています。但し、このMPEG2にもフォーマット(HDTV/SDTVなどの違いをフォーマットといいます)が幾つもありますも米国は18のフォーマットを採用しました、日本では5つのフォーマットで放送しようとしています。

 MPEG2は国際基準になっていますがテレビ受信機にこのフォーマットに対応するプログラムが入っていなければテレビは映らないことになりますし、そもそも日本方式は1放送局の免許の帯域6MHZを13のセグメントに分けて1つのセグメント毎に変調を変えられるシステムにしています。例えばSDTV(現行放送)なら固定向けに4セグメントを使い、同時に移動体にSDTV(現行放送)放送ができるというような仕組みになっています。米国方式はアナログ技術をデジタルに変えたところがありますので日本のようなセグメント方式ではありません。ですから今後、移動体型テレビが車に組み込まれて世界中を走れるようになっても他の国のテレビは本国と同じように映らないということになりますね。携帯テレビができても同じ事が言えます。

■地上波デジタルの特徴

 地上波デジタル放送で決まった方式の主な特徴を、以下にまとめます。

(1)6MHzの帯域幅が放送免許としてもらえます。これを使ってHDTV(高画質放送)ならば1チャンネル又はSDTV(現行放送)レベルの品質ならば3チャンネル程度を放送することが可能になります。

(2)良好な移動受信が可能となるため、固定受信向けと携帯・移動受信向けの番組を随時組み合わせた放送や携帯端末での部分受信が可能になります。

(3)デジタルですからゴーストはありませんが電波妨害に強いOFDM方式を採用することにより鮮明な映像が見られることと周波数の有効活用ができます。

(4)国内の他のデジタル放送メディアとの整合性を確保でき、今後の通信やコンピュータとの融合によるマルチメディア放送にも対応可能になります。

 またデジタル放送はデータ放送ができることも特徴です。テレビ局は新たな免許はいりません。 BSデジタル放送でもデータ放送が始まりました番組連動、番組独立の放送が始まっています。テレビ局(今までの概念の)以外にデータ放送局も誕生しました独立番組を中心に放送されていますが蓄積処理をする受信機が開発されてきてからが本来のデータ放送になるのではないかと言われています。このデータ放送は日本特有のものです。データ放送はインターネットに似た番組制作方法を取ります。この制作方式(記述方式)が大きく分けて3つあります-1)MHEG、2)HTML、3)XML-日本はXMLを採用しました。XMLはインターネットの記述方式と同じHTMLの進化版というよりは包括した技術体系がXMLで、拡張性に富み、フレキシブルな方式でインターネット技術から進化してきました。これをベースにデジタルデータ放送を進めました。データ放送はBSデジタデジタル放送を念頭において採用しましたので放送が始まった2000年暮れに間に合うようにと関係者が熱心に動きました。しかし、まだ現場で制作する人の人数が少なく苦慮しているようです。

■デジタル音声放送について

 デジタル音声放送については、以下の2つが検討されています。

(1)衛星を使ってSバンド2.6Gで衛星から地上移動体向けに音声デジタル放送ができる仕組みで実験が実施されています。

(2)地上波を使うデジタル音声放送で新しい方法が考え出されています。この実験結果を受けて制度政策が始まります。

 デジタル放送は2000年を境にいろんなものが出来てきます。21世紀にはデジタル放送が盛んになり、放送メディア視聴者の多様なニーズに答えてくれるでしょう。

メディアマーケティング局 デジタルメディア部 森 一美

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