デジタルメディア教室(2)~デジタル化の期待と意識の変化~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 放送のデジタル化への期待について、数牢前テレビ・ラジオのデジタル化という話を聞き、デジタル化でテレビ・ラジオが新しくなるのかという期待と不安があったと思います.その当時を振り返って現状と重ねあわせてみます。

■なぜデジタル化を進めるのか。

 数年前パソコンのCPUが500MHzになって、これをテレビに組み込むとインターネットがテレビのようになると言われました。これとは対照的に当時の放送業界はデジタル化にあまり積極的ではない、という話が毎日のようにマスコミに流されていました。これを受けてかインターネットテレビのスピードを速めようという話が聞かれました。当時の放送業界を取り巻く環境は、放送のデジタル化の目的をHDTV(高精細度テレビジョン、いわゆるハイビジョン放送)と多チャンネルがデジタル化の目的と理解されていたようで、現在のものとは異なっていたかもしれません。

この間題を考え直してみましょう。なぜデジタル化を進めるのでしょうか。テレビというものが50年たって、体質改善、変貌を迫られていると感じます。一般の人でテレビ視聴時間は1日当たり4時間とちょっとで、この数字は何年も変わっていません。

 何故でしょうか,と考えると、番組制作者の制作能力が落ちたのではなく、テレビ固有のメカニズムからではないでしょうか。テレビはこの50年でテレビの出来ることをしてしまいました。テレビは「テレビを見る驚き」が必要といわれています。最初はテレビそのものが驚き、見えた事が驚きで、次に色が付きカラーになりました。月からの映像を見た、宇宙からの地球を見た、カメラが行けるところは全て見た、見つくしてしまったことでテレビはテレビそのものの機能を見せるものがなくなってしまいました。刺激が無くなったからではないでしょうか。見せるものがないといってお色気番組やコメディアンが、自分で笑ってこちらを向かせようとしているバラエティ番組が多くなったと感じているには私だけではないはずです。テレビは1953年に始まり、2003年に50歳を迎えますもアナログテレビはこの50年で自分の持っている魅力を全部吐き出してしまったと考えられないでしょうか。

■デジタルはラジオ・テレビを変える。

 それならば新しい命を吹き込んで、テレビそのものを変えなければなりません。

これがデジタル化でしょう。デジタル化はテレビを変えると思います。これまでのテレビは情報提供が一方的で、スイッチをつければ黙ってニュース、ドラマを送って来て、こちらからは何のアクションも出来ません。見たい番組も自分の時間に合わせるのではなく、テレビ局が決めた番組編成時間に合わせなくてはなりません。テレビを好きなシーンで留めてからもう一度戻してみるのは当たり前の欲望であり、それが出来ないテレビはもう詰まらないのです。それが出来る事がデジタルテレビで、デジタルを使えば他にも色々な事が出来るのです。これがデジタル化の原点ではないでしょうか)最近、このような話が通じるような環境になってきたように感じます。

 デジタル化をデジタルラジオで考えてみましょう。デジタル化はインターネットの技術がいろんな事に使えます。上りのデータ通信(*)はインターネットが使えるし、音声、動画を送ることもできます。デジタルラジオで動きのあるものが携帯電話でも見られ、音楽を聴きながら情報を流せます。デジタルテレビで出来るものはBSデジタル放送が始まって何となく想像がつくようになりましたが、デジタルラジオの世界で出来ることも同じです。デジタルラジオは、CD並みの音質で動画も24コマ/秒以上の動画で自然な動きが出せますムインターネットのリンクを付け音楽情報提供ができます。

ジャケット、コンサートの予定等を1つの画面に入れながらの放送や、音楽を売ることも出来るのです。インターネットとのリンクでデジタルラジオは成立するのではないかと考えます。受信機はラジオでなくなり個人の情報端末になるでしょう。デジタルラジオはテレビなのか、ラジオなのか、インターネットを見ているのか解らないという時代になると思います。

*:家庭からの情報が発信されるのを上り情報と言いますも反対に下り情報とはテレビ局などから発信される情報(番組やデータ)をいいます。

■デジタルラジオの使われ方。

 デジタル化でチャンネルが増えると収入はどうなるでしょう。日本のテレビ局の主な収入は広告収入ですム広告はGDPの1%を占め、5兆円から6兆円となっています。販促、新野・雑誌、電波で1/3ずつ、テレビの広告費は2兆円弱でネットワークのキー局がほとんどを占め、デジタル放送で分け合うだけにしかなりません。ラジオは見えないから通信販売は不利と思いがちですが、デジタルラジオは商品を見せることができ、これで物を売ることができますもデジタルラジオの受像機は携帯電話に組み込まれ、インターネットに繋がり、コマーシャルを放送しながら物を売っていくことが、これからの収入源になるでしょう。テレビではこの事がもっと出来て、デジタルテレビではこのような仕組みが広範囲に使われると思います。

 このような新しい技術は使ってみなければいけないのです。デジタル放送は、放送の帯域を1/13のセグメントに分けてこの中で何でも出来るのです。業界は常に新しい技術が先に来て後を追いかけていますが、デジタル化は今のテレビが50年たって1回なくなると意識しましょう。その後にテレビではないもの、新しいデジタルテレビ・デジタルラジオ、新しいメディアが生まれてきます。デジタル放送という新しい発明が出てきて、使い方を模索しています。新しいものが出来ると新しいことをやらなければなりません。デジタルテレビだともっともっと色々な事ができます。我々の意識もデジタル化にあわせて変えていけたらと思います。

メディアマーケテイング局 デジタルメディア部  森 一美

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