US Media Hot News 2001年米国ドットコム企業の行方と"第2の波"

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 新世紀を迎えた各国の表情は様々ですが、米国では混迷レースの末、第43代大統領に選ばれたブッシュ大統領の就任式が、1月20日首都ワシントンで雪まじりの雨の中、厳かに行なわれました。新大統領に託された最大の課題は、クリントン政権下で8年間続いた好景気をどう維持するかです。しかし、企業の設備投資が先細りし、消費者の購買意欲が減退する中では、これ以上の好景気を望むのはどうやら難しそうです。

 突然の「利下げ」実施から察するに、米連銀は積極的に景気を後押しする姿勢ですが、景気を再び盛り上げるというよりは、せいぜいソフト・ランディング(景気の軟着陸)への準備という感じです。就任式の雨が、ブッシュ政権下での景気動向を暗示していなければいいのですが...。

 さて、産業界ではドットコム企業の行方が気になります。アマゾン・ドット・コムやプライスライン・ドット・コムがすい星のごとく現れ、"ドットコム元年"と、もてはやされたのがわずか2、3年前のこと。その後、雨後の筍のようにドットコム企業が登場し、斬新なビジネス・モデルやユニークなサービス内容で市場を賑わしましたが、昨年の中頃あたりからとうしたドットコム企業の不振が伝えられ、株価は激しく浮沈しています。マネジメントの悪さや、ずさんな資金繰りなどが原因で体力を持続しきれず、年末までに倒産した企業数は約210社。かつて「スター企業」ともてはやされた"プライスライン"や"アマゾン"にまでドットコム不況は及び、業界の自信を根底から揺るがしています。

 プライスラインは「逆オークション」と呼ばれる独自のび値付け方法を編み出して急速に事業を拡大してきましたが、サービス内容を増やし過ぎたことなどが影響し、昨年後半だけで従業員を約3割削減しました。コア事業の航空券販売に特化するために、食料品やガソリンの競売サービスも中止し、ソフトバンクと組んで日本へ進出する計画も断念しました。株価が165ドル近くまで急騰したのは過去の栄光で、今では見る影もありません。

 アマゾンも書籍からその他の商品へとサービスの幅を広げましたがうまくいかず、事業の縮小を余儀なくされています。オンライン玩具販売の"eトイズ"、ネット広告最大手の"ダブルクリック"なども

大量解雇に踏み切り、かつて成功を欲しいままにした企業の間でもリストラ話は後を絶ちません。

 ドットコム企業を奈落の底に突き落とした最大の原因は、安易なIPO(新規株式公開)とベンチャーキャピタル(VC)の引き揚げです。昨年3月の株価暴落を機に投資家の心理は一気に冷え込み、有象無象のネット企業に資金を投入して巨額のリターンを夢見る"金の卵探し"は終わりました。今や投資家の関心は、将来の利益から手持ち資金がいつ果てるかを示す「バーン・レート」に移り、堅実なビジネス・プランを掲げた企業を探しています。

 あるアナリストによると、昨年ドットコム市場に流れ込んだ資金の額は、1050億ドルでしたが、今年はせいぜい400億ドル弱との見込みです。

 では、「15世紀の活版印刷以来の技術革命」と言われたインターネット時代の先駆者は21世紀に名前を残さずに去ってしまうのでしょうか?多くの見方は「ノー」です。ドットコム企業はその技術力と機動力で新しい分野を切り開き、産業界が進むべき道を照らしてくれました。しかし、皮肉なことに、この先駆者のドットコム企業の足跡をたどって革命の真髄を引き継ぐのは、どうやら、かつて新興勢力に脅えた従来型の優良企業になるのではないでしょうか。

 経営の神様と崇められるジャック・ウェルチ会長兼CEO(最高経営責任者)が務めるゼネラル・エレクトロニクス社は、インターネットの取り込みこそ遅かったものの、その後大胆にネット化を進めています。GEグローバル・エクスチェンジ・サービスと冠した部門を設立し、顧客に対して24時間体制のサービスを敷きました。自社で必要な資材の多くをネット・オークションで賄い、2001年には140億ドル分を購入する計画です。在庫管理や人材管理といった社内プロセスにも積極的にネットを導入し、今年は20億ドルを節約できると見込んでいます。目標に掲げるオンライン売上高は300億ドルから40

0億ドルで、アマゾンの売り上げ数十億ドルとは桁違いです。

 クルマ業界のビッグスリーも昨年2月、ネットで部品を調達できるサイト「コピシント」の共同開発・運営を発表しました。取引額は年間2400億ドルに達すると予想され、自動車の製造コストを最大14%削減できる見込みです。同年12月にはディーラーと修理工場間の発注システムを合理化する共同事業にも着手し、自動車業界にもネット革命の大きな波が押し寄せています。

 ウオルマートやJ・C・ペニー、Kマートといった小売り大手も、豊富な資金力を武器にオンライン事業を拡大しています。各社のショッピング・サイトは社名の知名度と商品に対する信頼感が手伝って、オンライン販売サービスが賑わっています。また、サウスウエスト航空もいつの間にかチケット販売のノウハウを得て顧客をつかみ、プライスラインの牙城だった安売り航空券の分野を切り崩している様子です。

 こうした動きを業界では、ドットコム革命における「第2の波」と受け止めています。もちろん、中には創業当時の事業に固執して生き延びている"eベイ"や''eトレード"といった企業もありますが、一斉を風摩したいわゆる"ドットコム企業"は今後、厳しい状況下に置かれる可能性があります。

 今後、オンライン販売やB2B(ビジネス闇取引)は、市場を立ち上げて運営していくだけの力を備えた大企業の手により、新しい形で元気を取り戻せそうです。そして、これを支える企業向けの高速ネットワークや安定したプラットホーム、また、安全なネット接続サービスを構築できる企業が、21世紀のスターに成長していくことになるでしょう。

Video Research USA, Inc.

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