インターネットバナー広告の認知効果 ~4社共同調査の結果より~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

◆はじめに

 バナー広告をはじめとするインターネット広告の効果とはどのようなものがあるのでしょうか。広告素材を「クリック」することにより広告主のサイトに誘導する機能は他のメディアの広告にはない大きな特徴ですが、バナー広告のクリック率の低下が問題となっています。その一方で広告に接触することそのものにはどのような効果があるのかについて改めて検証する必要がありそうです。

 今回ご紹介するのは、私どもビデオリサーチネットコムと、インターネット広告の大手メディアレップである、株式会社サイバーコミュニケーションズ(CCI)、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)、ダブルクリック株式会社(DCG)との共同で実施した、バナー広告の広告効果に関する調査結果です。これはクリックすることにより広告主のWebサイトに誘導されるという「ダイレクトレスポンス効果」の他に存在するバナー広告の「ブランディング・認知効果」の測定を目的として実施したものです。

◆調査概要◆

1.調査目的 バナー広告のブランディング・認知効果の測定

2.調査地域 全国

3.調査対象者 株式会社ビデオリサーチ所有のオンライン調査パネルから、ビデオリサーチネットコムのインターネット母集団推計調査の比率に合わせて、性年齢・ブロック別に対象者を選定。

4.調査対象 男女13才以上

有効回収目標:1000サンプル(有効回収:973サンプル)

5.調査方法 インターネットによるWebアンケート

① 上記3により抽出した調査対象者に対して、E-Mailにより調査依頼。

② 調査用Webサイト(図1)に調査対象バナーを掲出。

③ 対象者は、同サイト上のフォームにより回答。

6.調査期間 2001年6月27日(木)~7月1日(日)

7.調査実施 株式会社ビデオリサーチ

◆調査対象バナー広告素材の選定方法◆

・メディアレップ3社(CCI、DAC、DCG)の協力に基づいて前述の調査実施中、及び直前までに出稿のあった48のバナー素材を選定(長期出稿バナーを除く)。

・バナーサイズは486×60ドットの標準バナーとした。(ファイル容量は10KB前後)

・ターゲット配信(性別・年齢ごとに別の広告素材を配信)されているものは対象外とした。

●図1:調査用Webサイト(アンケートページ)

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◆バナー広告の認知状況~出稿量と認知率の関係~

 まず、今回の調査対象となったバナー広告素材の認知状況について見てみましょう。アンケートでは、「このバナー広告を見たことがありますか」という質問に対して、「見た」、「見たような気がする」、「見たことがない」という選択肢を用意しました。今回の調査はバナー広告の認知効果の検証という目的から、より厳密に認知を規定するため、実際のバナー広告を助成想起の手段とし、「見た」「見たような気がする」のうち、「見た」を認知と定義しました。

 48素材の認知の調査結果はそれぞれその素材の出稿量に影響を受けます。そこでバナー広告の認知率と出稿量(インプレッション数)との関連をみるため、今回の調査結果からバナー広告素材ごとに「平均認知率」とそれぞれの出稿量(インプレッション数・実績)の関係を図示すると、バナー広告素材は大きく分けて3つのタイプに分かれることがわかります。(図2)

 ・Aタイプ インプレッション数が増せば、認知率も徐々に上昇するタイプ。

        標準的な広告のタイプ。(対象素材の9割弱のシェアを占める)

 ・Bタイプ 少ないインプレッションで、急速に認知率が高まる。シリーズ的なバナー広告で

        以前のキャンペーンの蓄積効果が影響するケースが多い。

・Cタイプ 広告を大量に出稿しても、認知率が高まらないケース。限られたプロパティ(ジャ        ンル)での出稿、または、インプレッションは多いが接触回数(フリークエンシー)が極端に多いキャンペーンのケースが多い。

●図2.バナー広告の認知率とインプレッション数との関係

vol399_02.jpg

今回の分析に当たっては、標準的なキャンペーンのタイプであるAタイプの調査データ(認知率、及び調査開始時点までのインプレッション数)から分析を行いました。

図7はAタイプの各バナー素材のインプレッション数と認知率の関係について、①調査対象者全体、②男性20~34才層、③女性20~34才層のそれぞれについて、べき乗関係式を求めてこれを図示したものです。

●図7.認知率とインプレッション数による「べき乗関係式」

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関係式をもとにバナー広告の出稿量(インプレッション数)ごとに「推定認知率」をまとめると表1のようになりました。全体平均では、「500万インプレッション→認知率:15.1%」、「2000万インプレッション→認知率:22.1%」と推定されます。

 また、性別・年代別にみると、男女とも20~34才の層でインプレッション数に対する認知率の割合が高くなります。

●表1.インプレッション数ごとの認知率の推計値

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◆バナー広告への興味・関心度

 次に調査対象となったバナー広告素材に対する興味関心度について見てみましょう。

 図3は、バナー広告素材への興味関心度(当該バナー素材に興味があると回答した人の割合)について、バナー広告素材についての認知別にみたものです。

 非認知者を含めた全体でみると、バナー広告への興味・関心度は平均で37.4%でしたが、これを各々のバナー広告の認知者でみると、68.9%と高い関心度が示されています。また男性においては年齢が高くなるほど、関心度が高くなることがわかります。

●図3.バナー広告への興味関心度(性年齢別)

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◆バナー広告への好意度

 続いてバナー広告への好意度(当該バナー広告を好きと回答した人の割合)について見てみます。好意度の平均は全体では39.3%となります。これを認知者でみると67.0%と良好な結果となることがわかります。また性別にみると、男性では興味関心度と同じく高年齢層ほど好意度が高くなる一方、女性では20~34才の層での好意度が最も高くなります。

●図4.バナー広告への好意度(性年齢別)

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◆バナー広告のクリック経験

 バナー広告のクリック状況についてみてみましょう。調査対象となった48素材のバナー広告において、当該広告の認知者(「見た」と回答した人)でのクリックの経験率の平均は38.3%となります。一方、認知者について「見た」+「見たような気がする」とした場合には、16.1%となっています。

クリック経験率を性・年代別にみると、男性では高年齢層ほどクリック経験率が高く、男性50才以上では51.3%となります。また、女性は各層とも男性よりクリック経験率が低いが、女性の中では50才以上の層がもっとも高い経験率を示しています。

●図5.バナー広告のクリック経験率(バナー広告の認知者べ-ス)

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 一方、バナー広告のクリック経験率と興味関心度、及び好意度との関係をみてみましょう。表2はバナー広告のクリックの有無による、バナー広告への興味・関心度、及び好意度をみたものです(いずれも素材ごとの平均値)。これをみると、「バナー広告のクリック経験者」では興味・関心度が93.3%、好意度が84.0%と非常に高いスコアとなっています。その一方、「バナー広告は認知したがクリックしなかった人」においても、興味関心度は55.3%、また好意度は56.9%と良好なスコアを示しており、「バナー広告をクリックしなくとも、バナー広告による商品広告への興味関心や好意を喚起することができる」と云えるでしょう。

●表2.バナー広告のクリック経験による興味関心度、好意度の関係

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◆さいごに

 今回はバナー広告の出稿と認知との関係、また、興味関心度や好意度の喚起といったインターネットバナー広告についての調査結果をご紹介致しました。私どもでは今後ともインターネットの広告効果を明らかにするための調査を継続的に実施する予定でおります。事例の蓄積による推定結果の精緻化はもとより、インターネット広告の効果に関する各種の指標開発・整備を進めてまいります。

                   株式会社ビデオリサーチネットコム 江村 謙太郎

                               (emura@vrnetcom.co.jp)

■お問い合わせ先■

株式会社ビデオリサーチネットコム

 TEL:03-5540-6502 E-Mail:info@vrnet.co.jp

または、株式会社ビデオリサーチの営業担当者までお願いいたします。

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