デジタルメディア教室(9)~地上波デジタル放送、開始前夜に思ったこと~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

■はじめに...全国に足を運んでいます

 早いもので2001年もあと残すところ、3カ月となってしまいました。

 少し気が早いかもしれませんが、東京・大阪・名古屋の3大都市圏における地上波デジタル放送の開始)、あと2年にまで迫っています。この年末から翌年春にかけては、技術面、制度面ともに、一つの山を迎えることになりそうです。

 ビデオリサーチと致しましても、これからの変化を乗り越えていくために、この8月からは東阪名の各局を訪問し、「これからの視聴率調査の在り方」や「今後のテレビメディアビジネスの方向性」などについて、意見交換を開始させていただきました。また、筆者と致しましては、東阪名の3エリアのみならず、その他のエリアの局にも足を運ばせていただいております。

 そういった場では、夜の宴席を含め、実に様々な考えや悩みをお聞かせいただきました。そして、わたくしどもと致しましても、今後のデータ提供を行っていく上で、改めて気持ちを引き締めていかなければならないと思った次第です。よろしくお願い致します。

■元気な局って何だろう?

 その一方で、様々な局を訪問させていただいて改めて考えさせられたことがありました。

 それは「元気な局って何だろう?」ということです。今回のデジタルメディア教室ではいつもとは少し視点を変えて、そんなことを考えてみたいと思います。

 テレビ局である限り、視聴率が好調な局の方が、もちろん元気がある方向に向いているような気がします。しかし、これから訪れるであろう変化を想像した時、極端に言えば、現行と同じビジネスモデルを継続することができない可能性がある中では、「それだけでいい」とは単純には割り切れないようにも思えるのです。

 人

  わたしがこのことを考え始めてから、改めて痛感したことは「やはり人だな」ということでした。もっと言えば、「番組」ではなく、「人」だということです。幸いなことにわたしがお会いすることができた方々には実に魅力的な人が多かったように思います。そうした人たちがいる。そうした人たちが前に進もうとしている。そういった人材のいるテレビ局は、デジタル放送時代においても必ず何かを切り開いていくように思うのでした。

 組織

  月並みですが、次に組織を思います。つまり、どんなにいい人材がいたとしても、その人間が能力を発揮できるような場がそこにあるかどうか?ということです。また、個々の人材の意思が分散することなく、より増幅される場があるかどうか?ということです。

  どの局にも必ずすばらしい方はいらっしゃると思います。しかし、その人が生き生きと働いているか?というと必ずしもそうではないようにわたしは思うのです。これって、単純に考 えても、もったいないですよね?

 交流

  次に感じたのが、いろいろな意味での交流です。その最たるものは人事だと思いますが、編成経験のある営業マン、営業経験のある企画・開発者。こうした人たちの言動には何より説得力を感じましたし、社内的なサポート体制も自ずとしっかりしてくるように感じました。言うまでもなく、人も組織もナマモノです。流れの止まったところから力は湧いてこないということなのだと思いました。

3つのマーケティング

  3つのマーケティングとは、編成・営業・視聴者に対する明確な考え方や行動規範があるかどうか?ということです。もっと簡単に言えば、自分たちの「志」を自覚しているのか?ということです。これからのデジタル放送時代においては、必ず自局の存在意義を問う局面が表れてくると思います。それをブランディングと呼んでもいいかもしれません。ここを起点に前述した「人」「組織」「交流」が機能しているのか?ということだと思います。

トップの意思

  既に述べたものが「現場」であるとすれば、こちらは「経営」です。実はわたくしもトップや役員クラスの方には、毎回お会いさせていただけるわけもないのですが、それでも感じたこととしては、やはりここが柔軟かつ強固な会社は強いな、ということです。言うまでもなく、社長を超える会社は存在しないと思うわけです。

■終わりに...2003年、2006年を迎えるために

 さて、ここまで思うところを書かせていただきました。実際、「元気かどうか?」にはこの他にも、経済的な側面や系列、開局順などいくつかの要素があるかと思います。しかし、それはある意味、今言っても仕方のないことのようにも思えます。筆者と致しましては、多少青臭い議論かとも思いましたが、やはり上記の①~⑤あたりを「元気な局の要素」として取り上げたかったのでした。

 それは、「デジタルという無機質なテーマに取り組む際にも、実は最も大切なことはこうしたアナログな人間の意志であり、組織なのではないか?」ということを筆者は言いたかったからです。2003年、そして2006年を迎えることは確かに容易ではないと思います。しかし、その難しさを技術論や経済的な側面にだけ押し付けるのは違うのではないか?ということが言いたかったからです。

 こうしたことを書くことは本来、非常に借越で、わたくし自身や弊社をある意味棚の上にあげてしまっているかもしれません。しかし、そこには悪意や驕りの気持ちがないことをくれぐれもご理解していただければと存じます。

 そして、当社としても、「これからの視聴率の在り方」や「データサービスの在り方」を考えていかなければならないわけです。その際には、もう一歩踏み込んだテレビ局にとっての「デジタル対応」や「ブランディング論」、そして「編成論」「営業論」についても視野を広げ、アシストできるように心掛けていきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

メディアマーケティング局 デジタルメディア部  尾関 光司

                                 v005647@videor.co.jp

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