デジタルメディア教室(10)~ 仕様の耐久性・互換性 ~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

Microsoft社が公表している『デスクトップオペレーティングシステム(OS)の提供およびサポートの提供期間に関するガイドライン』によれば、今年の12月31日には、Windows95が有償サポート終了となり、オンライン上の技術情報提供だけが行われる「非サポート対象フェーズ」に移行する予定になっています。

 同社がこのようなOSのサポート期間にガイドラインを示したのは、製品入手が可能な期限やサポート終了に対応する準備期間を設けるための情報開示を求める「ユーザーの声」に応えるためということです。是非はいろいろあるでしょうが、ユーザーがその製品寿命(ライフ・サイクル)をある程度認識した上で、その導入を決定出来る仕組みそのものは、悪くないことと言えるのではないでしょうか。

ただし、これはパソコンの世界観の中では「容認」されるとしても、他の家電製品では、少なからず「パニック」になると思われます。ここで改めて感じることは、壊れていなくても、機能的に決定的な不都合がなくても「買い換え衝動」を刺激する要素が多分にある、パソコンという商品ジャンルの特殊性です。

その特殊性を容認させているのは、基本的には「互換性」だと思われます。データにしろ、アプリケーションにしろ、それを起動・閲覧・利用出来ることが、ある程度保証される(期待出来る)からこそ、パソコンの場合、箱(本体)の製品寿命に対して比較的「寛容」になることが出来ると言えるでしょう。携帯電話も、商品のライフ・サイクルとして、それに近いと言っていいかもしれません。

今、「互換性」ということに関して、パソコンとAV機器の中間をさまよう微妙なメディア(記録媒体)としてDVDがあります。

AV機器としてのDVDレコーダーは、99年にパイオニアが第1世代機を発売し、現在は松下、東芝など数社が発売していますが、今のところ、15~20万円程度する高級AV機器の部類です。

AV機器としてのDVDは、頭出しが不要、重ね撮りの不安なし、メディアが小さく省スペースなど従来のビデオテープにはない様々なメリットがあり、JEITAでも既存のビデオデッキから市場が移行するのは必定、というような見方があるようですが、本当に急速に普及していくのでしょうか?

DVDには、現在、DVD-R、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWの4つの規格があり、かつてのVHSとβのデファクトスタンダード競争を彷彿とさせる状況があります。大別すれば、メディアを覆うカートリッジの有無と書き変え可能回数の差ですが、生活者から見れば確認できる差が少ないにも関わらず、互換性など「理解しなければならないことがいろいろある」ということが、当面の敬遠要因になるのではないかと思われます。(VHSでも、S-VHS、D-VHS、3倍以上の長時間記録の仕様など、様々な互換・非互換の関係はありますが、こちらは大原則として映像・音声の記録と、用途を規定出来る点でDVDと性格が異なるよう思います)

それに加えるならば、生活者が抱く不安要因は「仕様」の継続性・互換性の"不確かさ"そのものなのではないでしょうか。

DVDは、パソコンとAV機器のように、以前は別の商品カテゴリーであったもののブリッジの役割を果たす典型的なモノと言えます。そして、デジタル技術という前提から、どちらかといえば、パソコン業界の思想と開発スピードで規格競争が行われているように思われます。

 冒頭述べたように、その思想と開発スピードは、パソコンの世界では「互換性」や「複製措置」の提供で許容されるかもしれませんが、パソコンとはまったく異なるライフ・サイクル持つ商品群に同じように適用した時に、生活者がそれを了承するかどうかについては、慎重に判断されるべきだと思います。

デジタルメディア時代においては、デバイスの商品カテゴリーを分けること自体が無意味という考えもあるかもしれません。

しかしながら「過渡期対応商品」が氾濫することは、結果的に生活者を混乱・疲弊させ、その先で目指すビジネスの成立を難しくするということもあるのではないでしょうか?

メディアマーケティング局 デジタルメディア部  石松 俊之

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