US Media Hot News 米コムデックス2001より

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

今年も恒例のコムデックス(IT関連の展示会)が11月中旬にラスベガスで開催されました。キーワードは「モバイル」と「ワイヤレス」。キーワードこそ昨年と同じですが、今年は「タブレットPC」が完成に近い試作品として登場、多機能を備えた携帯機器が数多く出品されたり、有力製品が実用化まであとわずかの段階で披露されました。話題のゲーム機「Xbox」も出品されて体験コーナーは大人気。IT不振に加えて9月11日のテロ事件の影響からか来場者が少なかった今年の展示会でしたが、デジタル時代の到来を十分に感じさせてくれるショーとなりました。

厳重なセキュリティー体制が敷かれる中、物々しい雰囲気でショーは開幕しました。

IT全盛時代には約20万人が来場するほどの人気を博しましたが、今年の参加者は推定12万5千人。当初予想されていた15万人よりはるかに少なく、景気不振やテロの影響を受けている様子が伺えました。しかし、それだけに「例年より参加企業が絞られている」などの声も聞かれ、ショーはおおむね好評でした。

会場で人気だったのはマイクロソフトの展示場です。話題のゲーム機「Xbox」の全米発売前だっただけに、同社が設けた体験プレーのコーナーは常に黒山の人だかりでした。今やゲーム市場は映画産業をしのぐ規模だと言われており、この成長市場をゲームの分野だけにとどまらせず、IT分野に取り込みたいとの意思が伝わってくるようです。

マイクロソフトはほかにも「タブレットPC」を出品しました。これは「ウインドウズXP」をベースにしたモバイルPCで重さは1.5キロ以下とノートPCの約半分です。

しかし、機能面ではノートPCに負けないフル搭載で、高解像度のモニターとワイヤレス・ネットワーク機能も備えています。

紙に字を書き込むようにスクリーン上でペン入力できる上、バッテリーだけで丸一日作動する省エネタイプです。B・ゲイツ会長が「5年以内に最も普及したPCの形になる」と予想するだけあってマイクロソフトでは製品開発に力を入れており、同会長の基調公演では、米コンパック・コンピュータ、韓国エイサー、富士通などによるOEM生産の試作品が登場しました。マイクロソフトは来年早々の市場投入を予定しており、製品完成は間近です。

マルチ機能を備えたハイブリッド型のモバイル機器も目を引尊ました。フィンランドのノキアが展示した小型機器は黄色いタマゴの形をしており、携帯電話、カメラ、PDAの3役を果たします。モトローラは近々、ゲームや電卓、住所録のソフトウェアをダウンロードできる電話機を売り出す予定です。その他、新興メーカーが開発したウェブコンテンツをストリーミングできる目覚し時計や、ダウンロードした音楽フアイルをステレオ再生できるサウンドマシーンなど、目新しい製品も多数出品されました。

薄型液晶モニターも今回のショーの目玉です。コンパックが展示したのはデジタル・インターフェースの液晶ディスプレイで、アナログ方式のPCに液晶ディスプレイを接続した時に起こる問題を解決したのが売り物です。東芝は「ポリシリコン製法」を採用したディスプレイを展示しました。ポリシリコン製法とは、付属のドライバーチップをディスプレイに直接取り付ける製法で、これにより製品の小型化、高解像度化が進んで携帯PCの性能がアップする見込みです。

ちょっと変わったところでは、航空機メーカーのボーイング社が展示ブースを設け、機上でインターネットに高速接続できるサービスの投入計画を紹介しました。

今春発表した「コネクション」計画の一部で、機体の表面を覆うアンテナを利用した技術を採用しています。来年には機内でメガビット単位のネット接続をしたり、テレビの生放送を見られるようになる見込みです。料金は機内で携帯電話を使用するのとほぼ同額になる予定です。

多種多様な民生機器が集まりましたが、それをつなげるプラットフォームの確立にも参加企業や来場客の関心が寄せられました。ソニーの安藤社長は、単に個々の機器をネットワークに相互接続するのではなく、あらゆる機器をネットワークにつなげ、場所や時を選ばずにアクセスできる環境作りが急務であることを強調しました。同社はそのネットワークをUVN(普遍性のあるバリュー・ネットワーク)と名付け、世界標準の制定に向けた第一歩として、米AOLタイムワーナーとホームページ連携において提携、スウェーデンのエリクソンと携帯電話機の基準構築において提携したことを明らかにしました。

この携帯電話の基準構築には、さらに独シーメンスや韓国のサムスンといったメーカーと、米AT&Tワイアレス、NTTドコモ、英ボーダフォンなどの携帯電話会社が加わって、巨大なコンソーシアムが創設されました。

今年のコムデックスは規模が縮小したものの、業界の標準規格制定へ向けた動きやIT革命の流れを作る場となり、従来通りに「IT業界最大の展示会」としての役割を果たしました。しかし、近年、その役割が小さくなっているように見受けられます。出展コストが高いことや来場客の客層が絞られていないことを理由に、参加しない大手企業が増えています。デル・コンピュータやアップル・コンビュ」タは昨年に引き続き参加しませんでした。IBMやインテルは今年から不参加を決めました。

ただ、こうした企業もコムデックス開催期間中にラスベガス市内で会合の席を設けて特定の消費者グループやIT企業の幹部にコンタクトを取るなどしており、コムデックスが業界の吸引力になっていることは確かです。皮肉にも、今年は不況やテロ後のショックから「お祭り気分が抜けて良かった」との声すら聞かれ、コムデックスの存在意義を問う良い機会になったのかもしれません。

Video Research USA, Inc.

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