US Media Hot News 米ゲーム業一界にXbox登場

VRDigest編集部
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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 景気に陰りが見えてきた米国経済ですが、そんな空気をよそにゲーム業界は活気で溢れています。活況のもとは米マイクロソフト社が昨年11月に新発売したゲーム機「Xbox」。同月に任天堂が続いて発売した「ゲームキューブ」も人気で、先行しているソニーの「プレイステーション2(PS2)」を加え、熱い戦いが繰り広げられています。今のところ3者は互角に戦っている様子ですが、オンライン化を目指すマイクロソフトの登場でゲーム市場の業界勢力や収支モデルが一変するとの見方もあり、今後の展開が楽しみです。

 昨年11月15日に全米一斉発売となったXboxは鳴り物入りのお目見えとなりました。ニューヨーク市のタイムズスクエアにある大型玩具店トイザらスでは16時間も前からXboxを求める客の列ができ、そこへマイクロソフトのB・ゲイツ氏が駆け付けて、時計が零時を打った瞬間に先頭の客に商品を手渡すといったパフォーマンスも見られました。その日、多くの小売店では新製品を完売し、年内に150万台を売り上げる目標も楽々と達成できた模様です。

一方、Ⅹboxの発売日から3 日遅れて発売されたゲームキューブの売れ行きも好調です。最初の1週間で50万台以上が売れ、年内に出荷予定だった商品は11月末までに出尽くし、その後20万台以上が追加出荷されました。ゲーム市場は不況しらずで、景気が下り坂に差し掛かった昨年のクリスマス商戦では一人気を吐き、消費者は200~300ドルするゲーム機の購入に加えて、一本50ドル近いソフトを平均して2本前後購入したといいます。

 Xboxとゲームキューブの戦いは今のところ甲乙つけがたく、勝敗を分ける声はまだ聞かれません。ゲーム機の中身を見ると、メモリ数やポリゴン数でXboxが上回り、ゲームソフトの読み込み速度や画像の質が勝れているように見えます。しかし、実際はソフトによって速度や画質がまちまちで、ゲームキューブに軍配の上がることもしばしです。

値段はXboxの299ドルに対しゲームキューブは199ドルと手ごろですが、何と言っても購入の決め手となるのはソフトの充実度でしょう。しかしこれも、Xboxにはシューティング・ゲームとして最高の出来だと言われる「ヘイロー」があり、ゲームキューブにはバージョンアップでさらに魅力を増したスケートボード・ゲーム「プロスケーター3」があるなど、どちらもそれぞれ主力ソフトがあり選択に困ります。もっとも、品揃えにこだわるなら先行しているPS2が群を抜いており、ハード価格がXboxと同額(299ドル)です。昨年のクリスマス商戦では3機中、最も売れ行きが良かった様子で、「やっぱりPS2が一番」といった声も聞かれました。

ただ、将来、業界の勢力地図は大きく塗り替えられる可能性があります。ワイルドカードは勿論、Xboxです。開発責任者のR・バック氏が「勝ち目のないビジネスはしない」と豪語する通り、マイクロソフトは勝算を掲げて新しい事業に乗り出しました。その意気込みは相当で、Ⅹboxの開発にあたり本社に3棟のビルを構え、最高幹部を相次ぎプロジェクトに送り込みました。結果、2000年3月に市場参入を表明して以来、驚く速さでゲーム機を完成させ、市場に君臨するソニーや任天堂と互角に戦う力をつけています。同社では最終的に3割から5割のシェアを勝ち取れると見込んでおり、これまで日本企業の独壇場だった市場は大きく揺さぶられそうです。

Xboxが従来のゲーム機と大きく異なる点は、マイクロソフトがⅩboxを「次世代家電の中心となるIT機器」に位置付けていることです。メモリ数を増やし、DVDや音楽CDに対応できる仕様とし、テレビやビデオデッキに準じる装置に仕上げました。本体に標準内蔵したオンラインゲーム用のネットワークアダプターと10ギガバイトのハードディスクは、新しいゲームのエピソードをダウンロードしたり、離れた場所にいるプレーヤーとのゲーム対戦を実現する設計です。(PS2もオンライン対応を始めましたが、まだまだ装備はオプションの段階です)

機体の心臓部に組み込んだのはペンティアムⅢ。メモリ数は64MBで統一し、従来のように、処理する音や映像によってメモリ数を変えることをやめました。これでゲームソフトの制作は比較的容易になり、今後、面白くて緻密なソフトを多数開発できるとマイクロソフトは期待しています。

ただ、売上台数で大きな市場シェアを獲得できても、それが利益につながるかは未知数です。今後、Xboxを現役のハードとして売る場合、製造コストは向こう数年間に100億ドル以上かかる見込みです。試算によると一台あたり100ドル以上の損失を出すことになり、決して割のいい事業とは言えません。ハードへの投資は約6年かけてソフトのライセンス料で回収するのがゲーム機メーカーの定石で、売るたびに赤字が出るのはPS2も同じことですが、ソフト市場の先行きを考えると、そろそろ収支モデルを見直す時期がきているかもしれません。

ゲームソフト市場の世界規模は現在170億ドルで、今後4、5年は毎年15%前後のペースで成長すると見られていますが、ゲーム先進国で世界市場の3分の1を占める日本では、90年代後半をピークにソフト市場が下り坂を迎えています。ゲームがオンライン化され、ハードが単なるゲーム機からIT機器へ変貌するとなれば、ソフト依存の収支モデルではますます無理が生じるでしょう。その点、任天堂はゲーム機の価格や開発コストを抑え、ハードを今後も単なるゲーム機として扱い、業界の流れとは一線を画す方針のようです。果たしてこの先、ハードはゲーム機とIT機器に2分化するのか、それとも一方が廃れるのか暫く目が離せそうにありません。

Video Research USA, lnc..

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