US Media Hot News 回復基調を見せる米ドットコム企業

VRDigest編集部
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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 1月の半ばから下旬にかけて、米国では企業の第4四半期の決算発表が相次ぎました。2001年の年間業績は米景気の低迷を反映して総じて低調でしたが、明るい話題も幾つかありました。中でもウォール街が歓喜したのはアマゾン・ドットコムの決算です。同社は四半期ベースで初の黒字を計上し、一時は会社の存続さえ危ぶまれた瀕死の状態から見事に復活しました。ネット競売のイーベイも好調で、景気の波に左右されない底力を見せてくれました。ヤフーは減収でしたが収益力は回復しており、ネットバブル崩壊後に各社が種を蒔いてきた事業見直しの成果が少しずつ芽を出してきているようです。

 実は、アマゾンのJ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は2001年10-12月での黒字化を公言していました。しかし、最近は主力のCDや書籍の販売でさえも苦戦しており、公約実現を期待する声もほとんどありませんでした。ところが、ふたを開けてみると500万ドルの黒字です。それも、巨額の原価償却費や買収費用を除外して企業側に都合よく計算した「プロ・フォーマ」ベースの数字ではありません。一般会計原則に準じて厳格に算出した方式での黒字ですから、大きな驚きとなりました。

 アマゾンを瀕死の状態から救ったのは、流通業務の見直しなどによる積極的なコスト削減と、中古品売買などによる利ざやの拡大です。

 ユーザーの購買パターンを読んで販売品目や数量の予測を立てるようにした結果、在庫を約2割減らすことに成功しました。配送ミスを減らし、労働生産性を約3割上げたことも2,000万ドル以上のコスト削減につながりました。従来でしたら地方配送センターにひとまず回していた品物のうち、約4割を倉庫から目的地への直接配送に切り替えたことも貢献しました。

 利ざや拡大の面では、大手小売業者にサイトを開放して手数料を徴収する事業を始めました。こちらの利ざやは約45%で、アマゾンの主力事業の利ざやが平均25%であることを考えると大変効率のいい事業です。さらには、利ざやが85%もある中古品の販売を大きく増やし、全体に占める数量の比率を一年前の1%弱から約15%まで引き上げました。

 しかし一方で、売り上げを伸ばすために書籍やCDを平均2割から3割引くなどしており、安売り路線を続けて業績を伸ばせるか疑問視されています。先ごろ発表した、99ドル以上の品物の送料をタダにするサービスが電化製品や家財など高額商品の売れ行きを促進してくれそうですが、こうした商品は意外にも利ざやが小さく、全体への貢献度は未知数です。

 あの手この手に奔走したアマゾンと異なり、イーベイは従来通りの業務で快進撃を続けています。2001年10-12月期の売上高は前年同期に比べて64%伸びました。通年でも売り上げが増加し、純利益は約9,040万ドルと前年に引き続き黒字です。今後の成長も期待され、同社では2005年の目標として売り上げ300億ドル、純利益30億ドルを掲げています。

 イーベイの強さの秘密は、ユニークなビジネスモデルと柔軟な事業展開にあるようです。今では珍しくないネットオークションですが、1995年の創業当初、在庫を一切抱えず、時間と空間を超えてユーザーに取引の場所を提供するアイデアは画期的でした。インターネットの特性を最大限に活かしたネット競売は売り手と買い手が出会いやすく、瞬く間にユーザーの心を捉えました。取り引きはある種のスリルがあり、まるでゲーム感覚で楽しむユーザーも多いようです。

 人気を狙ってネット競売業者が増える中、イーベイはその道の第一人者としてブランドカや品揃えで他社をしのぎ、首位の座を守っています。ただし、決してその上にあぐらをかいているわけではありません。ユーザーの声を大切にし、日々、業務を吟味して改善の手を加えています。例えば、売り手と買い手の信用度を評価するシステムはユーザーのチャットからヒントを得ました。売り手が前もって上限金額を提示して競売をスピーディーに終了する手法も、稼ぎ頭のひとつである自動車オークションもユーザーの声に耳を傾けた結果です。その方法は様々で、時にCEOが自らユーザーのもとへ足を運んで話を聞き、時にユーザーグループを本社へ招待して意見交換の場を設けています。

 米国内で強力な地盤を構築し終えたイーベイは海外展開に積極的で、2001年には海外部門で初の営業利益を出しました。ドイツをはじめとする西ヨーロッパでは事業が軌道に乗り、次のターゲットはアジアです。シンガポールで事業を立ち上げたのに続き台湾や中国に進出する計画もあるといい、世界規模の躍進が期待されます。

 ただし、日本での事業展開には苦戦しているようです。「ヤフー・オークション」に先手を打たれたのが原因と見られ、いったんヤフーに流れたユーザーを寝返らせるのは容易でないため事業売却や提携などを検討している様子です。

 そのヤフーですが、2001年の売上高は前年に比べて約35%減少しました。広告収入に依存していたことがあだになり、景気低迷のあおりを受けた格好です。ただし10-12月期の決算で、リストラ費用などを除いた最終利益は前年同期の約2倍となり、収益力が回復基調にあることを物語っています。

 全体的に上向き加減になってきたドットコム企業ですが、アマゾンにしてもイーベイにしても株価はまだまだ割高です。株価に見合う中身を伴うためには更に積極的な成長戦略を打ちたてて行く必要がありますが、むやみな業務拡大は凋落を招きかねません。バブルなき高成長をどう実現するか-ドットコム企業の正念場はこれからです。

Video Research USA, Inc.

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