デジタルメディア教室(16)~多チャンネル時代の常用チャンネル~

VRDigest編集部
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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

2002年3月、遂に110度CSデジタル放送がスタートしましたが、現在、日本には、地上波アナログ放送の他に、BSアナログ放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送、ケーブルテレビと、いくつもの放送サービスが存在します。そして、これらの放送サービスの登場によってもたらされたことの一つとして"多チャンネル化"があげられますが、この"多チャンネル化"は、視聴時間量や常用チャンネル数(チャンネル・レパートリー)、テレビの見方など、視聴者の視聴行動にどのような影響をもたらしているのでしょうか。今回は、この"多チャンネル化"による視暗行動変化のうち、「常用チャンネル数の変化」に着目して考えてみたいと思います。

どんなに"多チャンネル化"が進展しても、視聴者は視聴可能なすべてのチャンネルを見るわけではなく、ふだんよく見る番細やチャンネルというものはある程度固定される傾向にあると言われています。そして、これまでもケーブルテレビ世帯に対する調査などをもとに様々な分析が試みられてきましたが、それらはあくまでも意識ベースの調査に基づくものでした。そこで今回は、これを実態ベースの"世帯視聴率デーダより検証した事例を2002年1月に発刊した「デジタルテレビ読本~デジタルメディア総合調査別冊~」の中からご紹介したいと思います。

まず、「常用チャンネル」の定義についてですが、ここでは「常用チャンネル」を視聴率データを用いて次のように定義しています。

常用チャンネル:"x分以上"視聴した日が、1週間に"y日以上"あるチャンネル

そして、視聴分数(x)と視聴日数(yの組み合わせによる1世帯あたりの平均視聴チャンネル数を、放送サービス弄り用パターン別(※1)に

・タイプⅠ(1日5分以上×週1日以上)

・タイプⅡ(1日30分以上×週2日以上)

の2タイプについて見てみると、次ページの図1のようになっています。

これによると、タイプⅠの場合、【G1】の「地上波のみ世帯」が約7ch、【G2】の「地上波+NHKBS世帯」、【G3】の「地上波+NHKBS+WOWOW世帯」が8~9ch、【G4】の「地上波+専門チャンネル(CATV)世帯」が約10chとなっており、「地上波のみ世帯」より「多チャンネル世帯」、中でも視聴可能チャンネル数が多いほど視聴チャンネル数が多くなっています。また、その増加した分のほとんどはBSアナログや専門チャンネルなど地上波以外のチャンネルとなっています。

【図1放送サービス利用パターン別平均視聴チャンネル数】

 ■タイプⅠ(1日5分以上×週1日以上)       +タイプⅡ(1日30分以上×週2日以上)

vol406_28.jpg

(世帯視聴率データ(関東地区)2801年11月5日-12月2日の4週平均)

しかし、これがタイプⅡになると、【G1】が約5ch、【G2】~【G4】が約6chとなっており、「地上波のみ世帯」と「多チャンネル世帯」での視聴チャンネル数の差は1ch程度に落ち着きます。また、その内訳を見ても【G2】~【G4】の地上波以外のチャンネルは1ch未満となっています。

これは、"多チャンネル化"することで、たまにチャンネルを合わせる程度の「選択肢的なチャンネル」は増加するが、ある程度「習慣的に見ているチャンネル」となるとほとんど増加せず、その中身もほとんどが地上波であることを意味していると言えます。

以上は世帯ベースでの分析結果ですが、個人ベースで分析してもほぼ同じ様な傾向が見られると予想されます。但し、個人ベースで見ると、習慣的な常用チャンネルとして地上波以外のチャンネルを取り入れている人も存在すると思われ、これらの層の人をさらに深く分析することは、地上波以外のチャンネルが地上波と差別化を図りつつ習慣的な常用チャンネルとしてのポジションを狙う際の一つの手がかりになるかもしれません。

 以上、"多チャンネル化"による視聴行動変化について、「常用チャンネル」という側面に焦点をあて、実際の"世帯視聴率デーダをもとにアプローチしてきましたが、今後は、"ターゲットによる地上波と地上波以外のチャンネルの見方の差"や"専門チャンネルのジャンルによる見られ方の違い"など、個人ベースでの分析にも取り組んでいきたいと思っております。

 また、このような分析を踏まえ、"多チャンネノ叫ヒの進展による地上波の持ちGRPへの影響"や"地上波デジタルでサブチャンネル放送を行った際のメインチャンネルへの影響"など広告放送の立場や、逆に有料放送からみた"多チャンネル化"など、事業者側の視点に立った分析にも積極的に取り組んでいきたいと思っております。

                  デジタル戦略室 デジタルメディア部  伊藤 正裕

                                 V009961@videor.co.jp

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