全国新聞総合調査「J-READ」調査分析結果データのご紹介(3)エリアマーケティング(都市部と地方では格差)としてのデータ活用

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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

新聞のメディアパワーを科学的に示す...

1.はじめに

当社『全国新聞総合調査』(データ名は『J-READ』)結果紹介の第3回目です。『J-READ』は、全国47都道府県(しかも各県金射での同一設計・同時一斉調査によるデータベースですから、新聞の到達状況や閲読者プロフィールはもちろん、生活意識や消費性向など多様な切り口で「エリア内」や「エリア間」を比較していくことが可能です。

そこで今回は新聞データから少し距離をおき、エリア別に見る「日本の生活者」の断面をご紹介致します。

2.各都道府県のインターネット利用時間量

まず図表1をご覧下さい。これは各都道府県の個人全体によるインターネット利用時間量の上位県・下位県をまとめたものです。

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これによると、全国平均は約23分で、上位県には大都市圏を抱えた都府県が並び、一方下位には東北の各県が目につきます。最も利用時間が長い東京都と最も短い秋田県の間には、インターネットの利用において2倍強の開きがあることが分かります。

ちなみに、インターネットだけでなくテレビ・新聞・雑誌などの各マス媒体についても同様の接触時間を調査していますが、インターネットは時間量の絶対値が低いわりに県によるバラツキが大きくなっているのが特徴です。

これを「都市部と地方の格差のあらわれ」というのは簡単ですし、インターネットを使うような層が大都市に集中しているという側面もあるのかもしれません。

しかし、ここで肝心なのは「インターネットを使うような層」の実態です。インターネットユーザーは、どこに暮らしていても似たような特性を持っているのでしょうか。それとも何かしらの「お国柄」を帯びているものなのでしょうか。

そこで、以下ではインターネット利用時間量が最長の東京都と最短の秋田県に注目し、両都県のインターネット利用者のプロフィーリレを観察してみることにします。

3.東京都・秋田県のインターネット利用者の割合

まず、両都県におけるインターネット利用者の割合をおさえておきましょう。(図表2参照)

先ほどの時間量同様、ユーザー自体の占める割合も、両都県の間には大きな開きがあることが見て取れます。

このように「インターネットを使うような層」のボリュームが、そもそも違うわけですが、問題はその中身です。

以降、本稿ではこの「1週間に1日以上インターネットを利用した人」を『インターネットユーザー』と定義し、両都県の比較をしていきます。

【図表2】インターネット利用者の割合

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4.インターネットユーザーのプロフィール

1)デモグラフィツク特性

図表3では、基本的な属性をまとめました。

【図表3】インターネットユーザー デモグラフィツク特性

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両都県ともそれぞれの「全体」と比較すると、「インターネットユーザーは男性のシェアが高い一方で平均年齢は若く、金銭的にも恵まれた人たちである」ということになりそうです。

さらに両都県のインターネットユーザー同士を比較して、「東京のユーザーのほうがより若く、よりお金に余裕があって...」という傾向もありますが、これだけではプロフィールとして無味乾燥過ぎますし、第一、両都県のインターネットユーザーの違いが際立ちません。

そこで、上記のようなフェイスシート項目だけにとどまらず、生活意識や趣味レジャー活動、さらには商品関与度に至るまで両都県のインターネットユーザーの各質問回答率を比較し、両者に有意差があるかどうか、比率の差の検定をおこなってみました。

東京(あるいは秋田)のインターネットユーザーは、秋田(あるいは東京)のユーザーとどんな項目で有意差があるのか、すなわち、両都県のインターネットユーザーの違いはどのような部分に認められるのか、以下、順にご紹介していきます。

2)フェイスシート

まず、フェイスシート部分で有意差の認められた項目をご覧下さい。(図表4参照)

これによると、両都県のインターネットユーザーを比較した場合、東京都のスコアが高いのは「未婚・1人住まい・集合住宅居住」という部分です。

一方、秋田県において高スコアとなるのは、「無職・産業労働者・農林漁業・三世代家族・一戸建て持ち家」といった項目です。

中でも三世代家族が3割、一戸建て居住が8割にのぼるなど、秋田のインターネットユーザーには「大家族性」のようなものが感じられます。

先ほどの性・年齢・年収からだけでは措ききれない特徴のひとつと言えるでしょう。

【図表4】フェイスシートで有意差のある項目

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3)起床在宅率

続いて、両都県インターネットユーザーでの起床在宅率(=自宅で起きている割合)を見みます。(図表5参照)

【図表5】起床在宅率と有意差のある時間帯(週平均)

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一般に「夜型のメディア」と思われがちなインターネットですが、両都県のユーザーの生活パターンには明らかな差があるようです。

東京都では酸かに0時台・1時台という深夜において有意差がありますが、秋田県のインターネットユーザーは、むしろ朝型でかつ帰宅も早い傾向がうかがえます。

4)生活暮社会満足度

では各種満足度ではどうなるでしょうか。(図表6参照)

【図表6】各種藩足度で有意差のある項目

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J-READでは生活面や社会面など、計22項目に対する満足度を調査していますが、両都県のインターネットユーザー間で有意差が認められたのは右の6項目でした。

しかも東京都でスコアが高いのは「道路や鉄道などの社会基盤」だけであり、残りの福祉や環境・住宅といった日々の生活に密着した満足度では秋田県のほうが高くなっています。

秋田県には金銭的な充足だけではない「生活の質」の高さがあるようです。

5)生活意識

同様の傾向は、他の年活青書故に関するデータにも、あらわれています。(図表7参照)

【図表7】生活意識で有意差のある項目

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全90項目の質問のうち、有意差があったのは23項目という結果になりましたが、その中身は実に特徴的です。

住環境に機能性・利便性を求め、海外やお金に対する意識が高い東京に対し、秋田ではクルマや地域・コミュニティに対する関心の高さだけでなく、政治意識の強さを示す項目などが多くピックアップされました。

東京のインターネットユーザーが先の「満足度」部分で、交通網などのインフラ面に反応していたこととも関連しますが、交通の便の良さを背景に、海外や各種経済活動に意識が向いている東京都と、クルマを重要な生活手段としながら地味や家族に根ざした生活を送っている秋田県。

同じインターネットユーザーでも、首都在住と地方在住では、これほどまでに考え方が異なっているのです。

6)趣味・レジャー活動

さらに、最近1年間におこなった趣味・レジャー情動の結果が図表8です。

【図表8】趣味・レジャー活動で有意差のある項目

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全80項目のうち、有意差が見られたものが10項目で、東京都が高かったものは「海外旅行」「コンサート(外国人アーティスト)」の2項目、秋田県で高かったものが「温泉浴」「ドライブ」「スキー」など8つでした。

秋田県で挙がっている項目の多くが、クルマでの移動を前提とし、しかも複数人で楽しむことが多いようなものであり、先ほどの「生活意識」部分を実際の行動面から裏付けるような結果となっています。

7)所有耐久財

最後に、具体的な商品関与度を示すデータとして、各種耐久財の所有状況を比較してみましょう。(図表9参照)

【図表9】所有耐久財で有意差のある項目

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全99項目の選択肢のうち、有意差が見られたものが25項目で、東京都が高かったものが7項目、秋田県が高かったものが18項目という結果です。

両都県とも、「寒いから」「暑いから」「水がおいしくないから」というように容易に購入動機が想像できる商品がある一方、東京都の「ファクシミリ」「パソコンソフト」「DVDプレーヤー」「DSLへの加入」などは、いかにもインターネットユーザーらしい特徴と言えます。

また秋田県では、ここでも「軽乗用車(国産)」を筆頭にいくつものクルマ関連項目がピックアップされていますし、さらには「BS機器(アナログ)」「洗髪洗面化粧台」など家族みんなで使えるような商品ジャンルがいくつも挙げられています。

8)まとめとして

ここまで、インターネット利用時間がかたや最長、かたや最短という東京都・秋田県に着目し、両都県のインターネットユーザーのプロフィーリレを観察してきました。

本稿でご紹介できなかったデータの中にも、興味深い結果がいくつか見受けられました。

例えば‥

・ 「関心のある商品広告」においては、東京都で「海外旅行案内」「本・書籍などが高く、秋田県では(やはりというべきでしょう)「軽乗用車(国産)」「普通乗用車(国産)」などが高い。

・ 「CATVの加入」は東京都で高く、秋田県では「BSアナログ出勤「CS放送」が高い。

・ 「各種耐久財の欲求」「各種サービス・施設の利用意向」といった「今後の意向」に関する項目で「有意差あり」となるのは、すべて東京のインターネットユーザ」側のスコアが高いものばかりである。

などといったものです。

しかし、中でも最も注目すべきは、比率の差の検定によって「有意差あり」と見なされた調査項目の数かもしれません)

今回検定にかけた項目(選択肢)数は、フェイスシートから商品利用などまでを含め、トータルで約1000項目に及びます。

そのうち、両都県のインターネットユーザー間で「有意差あり」と判定されたのは約150項目でした。

しかし、「インターネットユーザー」に限定せずに、「東京都全体」と「秋田県全体」のデータを用いて同様の検定もおこなってみたところ、「有意差あり」と判定されたのは約340項目にのぼりました。

つまり、多少乱暴に整理すれば、「東京都民全体」vs「秋田県民全体」よりは、「東京のインターネットユーザー」vs「秋田のインターネットユーザー」のほうが遣いは少ないということであり、ひいては「インターネットユーザー同士には、それなりの共通性もある」いうことを意味しているのかもしれません。

もちろん、ここまでご紹介してきたように、同じインターネットユーザーであっても両都県の間には大きなプロフィールの違いはあるのですが、これらは県民特性の主要部分がさらに純化(じゅんか)される形で顕在化しているものばかりです。

その意味で、両都県のインターネットユーザーはそれぞれの「都民性」「県民性」をベースにして構成されており、すなわち「今やインターネットは単なるパソコンおたくだけのツールにとどまってはいない」というふうに藍哩しても差し支えないといえそうです。

5.最後に

今年からリリースされた『J-READ』データを用いることにより、今回ご覧いただいたような分析が47の全都道府県で可能となっています。

新聞の読者データという側面はもちろんのこと、このようなエリアマーケティングに資する側面をも備えたデータであるということをご理解いただければ幸いです。

なお、当社では『J-READ』の中から新聞関連以外のデータだけをまとめた報告書の提供も計画中です。

ご興味のある方は、当社営業担当者までお気軽にお問い合わせ下さい。」

※来月号では、当達戟の最後として「新聞広告のプランニング」という打-READ』本来

 の活用事例をいくつかご紹介する予定です。

                (第一マーケティング局メディアマーケティング部 布川(ぬのかわ)英二)

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