デジタルメディア教室(18)~次世代ハイビジョン(高画質)の開発状況~

VRDigest編集部
VRDigest編集部
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 5月の中旬にNHK術研究所で研究成果の-般公開があり、次世代ハイビジョンの展示がありました。まだ一般家庭に普及しているとはいえないハイビジョンなのにもう次の研究が始まっているのかという感じで見学しました。今回はこの新しいハイビジョンの研究とテレビの画質について考えてみましょう。

 BSデジタル放送が始まって1年半が経ちました。BSデジタル放送の特長は高画質、多チャンネル、高機能といわれています。この高画質がハイビジョンのことです。ハイビジョンは「High-definition Television」の意味で、「HDTV」とも呼ばれています。約30年前からM耽が世界に先駆けて開発した高品位テレビです。では何が高品位で、どのような特長があるのでしょうか。

高品位の訳①、視野角の広がり:テレビを見ると言うことは人間の視覚を刺激するものです。この視覚刺激における心理効果を充分に引き出すものとしてハイビジョンが研究開発されています。人間の目の視野は180°以上ありますが視覚的に有効視野は100°程度です。しかしテレビの視野は12°位しかありません。

例えて言うと節穴からのぞき見をしている感じです。ですから子供のころテレビを見るときはテレビから離れてみなさいといわれたことがあると思います。これは目が悪くなるからという要因もありますが離れてみることで現行テレビの特性が出るからなのです。

ハイビジョンも画面高さの3倍の距離から見るように設計されており、そのときの画面を見込む視野角は水平で約30°です。これは通常のテレビの倍以上あります。テレビ画面を見ることによって引き起こされる臨場感は、視野角が広くなることで増加し、水平約100°程度でそれ以上広がっても意味がない飽和状態になりますので、この100°以上の視野角が実現できるかが次世代開発のテーマになります。

高品位の訳②、情報量の多さ:通常のテレビ放送は「NTSC:National Television System Comitteeの略」という規格で放送されています。 日本とアメリカで採用されているカラー映像方式で、技術的には輝度信号Yと2つの色差信号B-Y、R-Yを伝送するシステムです。この方式は白黒テレビと互換性のあるのが特徴です去このNTSC方式以外に主にヨーロッパで放送されているPAL方式というのがあります。 ヨーロッパや中国から持ち込んだVTRが日本の機械で再生できないのはこの規格の違いです。

しかしハイビジョンは現行方式のNTSCでは画像の情報量が多くて放送できません。そこで新しい伝送方法が開発されました、それが衛星放送です。世界で初めてのアナログのBS放送でハイビジョン放送が1991年から試験放送を開始しました。その後2000年12月からはBSデジタル放送でも放送されています。

2003年12月ごろからは地上波もデジタノ叫ヒされハイビジョンが放送されます。通常のテレビより格段に情報量が多いのにどうしてデジタル放送で放送できるのでしょうか。デジタル放送で使われるのが画像や音声を圧縮して電送する方式「MPEG」という圧縮方式です。

本来パソコンで掟用する目的で開発されてきたもが、当時のパソコンの性能がMPEGの機能に追いつかなかったのでWindowsなどで採用されませんでした。最近のパソコンは高機能ですから当然動画が再生できるような環境を備えていますがパソコンの機種によっては再生できないものもありますね。肝EGはデジタルテレビで新しい規格を作ることで、デジタル放送に採用され現在放送されています。

高品位の訳③、走査線が細かい:テレビは何故動いて見えるのでしょう、ご存じでしょうが1秒間に30コマの絵を送ります。その絵を少しずつ移動して送りますと人の目の残存現象(前の絵が網膜に残る)が働いて動いて見えるのです。その1枚の絵をどうして送るかですが一昔前の書類の裁断幾を覚えていますか、1枚の書類を簾のように細かく裁断していきます。

これと同じように1枚の絵を細かく裁断して送るというのがテレビの画面を送る方法です。

この簾状に裁断したものを査線数といいます。現行のテレビはこの走査線が525本あります。ハイビジョンは倍以上の1125本です。走査線は多ければ多いほど鮮明な映像を表現できます。

また水平方向の画素数はNTSCの720画素から1,920画素になっていますし、画面のアスペクト比(縦横の比率:見た目はこのアスペクト比が†番印象に残る)は現行テレビの方式は3対4ですがハイビジョンは9対16へと横長ワイドになり臨場感が増すことになりました。

また臨場感は画像だけでなく音声の効果も大きいのですがこの音声は2/4チャンネルのPCMとなります。画像や音声を送る電波の広さ信号静或は現行の4.2MHzから20 MHzとなり、約5倍の画像情報をもつ規格です。デジタル放送では画像情報が圧縮されて6 MHz以内で放送されます。ハイビジョンは映画で使われる35mフイルムの画質にほぼ相当するとされています。

高品位の訳④、1秒間に送る画面の数と送り方:現在のテレビは1秒間に30画面(フレーム)を表示しますが、画面の表示の方法に2種類あります。インターレース表示とプログレッシブ表示という方法があります。

インターレースは画面表示のため走査線を上から下へまず奇数行だけ行ない、次に偶数行の走査を行なう表示方式です。1フレームで走査するライン数はノンインターレースの半分ですむため、垂直同期周波数を低く抑えることができます。ただし、1フレームの表示が1ラインおきとなるため、ちらつきが出やすいという欠点があります。プログレッシブでは、順次画面に表示しますムパソコンと同じ方式でです。アナログテレビにこの方式はありません。またデジタル放送で採用されている1秒間に表示される画面の数は60枚です。視覚的には1秒間に90フレームの映像を見ると実物と映像との区別がつかなくなります。映像を見ているにもかかわらずあたかも自分がその場所にいるような錯覚を起こさせることが出来るのですが、今回NHKで開発された次世代ハイビジョンはここまでの機能には到達していませんでした。プログレッシブタイプの1秒間に60フレームのものでした。

以上が現状のハイビジョンの解説でした。では次世代ハイビジョンはどのように違うのでしょうか。ハイビジョンは高い臨場感をめざした放送メディアとして開発されてきています。

この思想はこれからのハイビジョンの開発でも変わりません。デジタル放送の開始に伴いハイビジョンの普及は少しずつ進んでいます。

将来のハイビジョンを考えるとき、臨場感のみならず没入感や立体感も生じさせる放送メディアが求められて来るということから、これを実現する映像システムとして、次世代ハイビジョン(超高精細映像)を開発しているとのことでした。

 次世代ハイビジョンの開発目的。視聴者のニーズに大画面化が上げられますム少しずつですがプラズマディスプレーなどが家庭に普及しはじめました。プラズマディスプレーなどの大画面では現状のハイビジョンよりも広い視野角が好まれることが示されています。

大画面では画面を見込む視野角を広げると、視距離が相対的に短くなり、その視距離において画素構造(1枚の絵を作るのに色の点で作ります)が見えないよう超高精細映像にする必要があります。NHKの技術研究所で開発しているものは、当面の目標として水平の視野角100°以上を可能とする、走査線4000本の映像システムを検討していました。実際に走査線4000本の撮像を見ました。視野角110°の表示で実際にその場に居るような高臨場感を実現していました。

 また開発されたテレビカメラは800万画素のカメラでした、皆さんが使うデジタルカメラは通常200万画素。高級品で400万画素です;人間の網膜を画素にすると1億画素以上といわれていますが先ほどの視野角から言うとものを見るのにはすべてが有効である必要はありませんから800万~1200万あると人の目に近いといわれています。

この次世代ハイビジョン現代は実験室で見せることは出来ますが、どのような方式で家庭に届けるのか、この開発はこれからです。衛星を使うか、地上波かケーブルテレビかという以上に情報量が大きいのでどのような圧縮技術を使うかということのほうが問題かもしれません。また記録方法(録画方法)も開発しなくてはなりません、家庭で録画するということではなくテレビ局として映像素材の録画です、また編集装置も新たに開発が必要です。

このように一つの新しい受信機を開発するということはいくつもの関連機器を開発しなければならないということになります。また現在放送されている放送方式との互換性も問題になります。次世代ハイビジョンを現行のハイビジョン番組や現行の525木方式の番組などへ変換することも考えておかなければならないからです。

この関連機材の開発が全てそろわないと放送ということが実現しないのです。 しかし番組制作において背景画像、町の風景、海外の素材としての利用することは放送以上に早く実現することが可能です。事前に撮影した次世代ハイビジョン画像をベースにしてスタジオで撮影した人物などと合成していく方法は放送より早く実現できるでしょう。現行のハイビジョンも開発された技術はすぐに放送にということではなく医療や印刷といった部分でも使われて来た経緯があるからです。

公開された次世代ハイビジョンは非常にきれいなものでした。映画館で見る映画より締麗なのかもしれません。しかし現在もハイビジョンはあまり売れてはいないようです。現在のハイビジョンが開発された当時やはりNHKの技術研究所で公開がありました。その当時も見学に行きました。見学したものと実際に数牢後アナログの衛星放送で放送されたものを比較すると画質は落ちています。伝送方法、圧縮方法家庭用テレビとして開発していく中で開発当初のクオリティーが維持されなかったのは仕方がないことかもしれません。

今回の開発された次世代ハイビジョンは、現行のハイビジョンに比べ4倍以上のクオリティーを持っていますが、まだまだ家庭に新しい商品として届くまでには仕様がどんどん変わるのではないかと思います。

技術先行の世の中です、開発した技術を追い越すような使い方を考えるのは視聴者かもしれません。技術大国日本の技術をもっと活用したいですね。

(デジタルメディア部 森 一美)

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!