US Media Hot News その後のTivo(ティーボ)株式会社~PVR 市場の現状

VRDigest編集部
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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 パーソナル・ビデオ・レコーダー(PVR)が市場に登場して3年が経ちました。登場当初は「数年後にビデオレコーダー(VCR)に取って代わる」と騒がれましたが、実際は期待されたほど普及していないのが現状です。ただ、最近になって各社による新製品の投入やライセンス供与などの積極的な事業展開のおかげで普及ピッチが加速しており、家電メーカーはもちろん、広告会社やスポンサー企業なども今後の行方を注目しているところです。

 PVRはデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)と呼ばれることもある全く新しいコンセプトの家電で、1999年に登場しました。機能はVCRに類似しており、開発者側はVCRの代替品になることを期待していました。しかし、装置の取り付けが煩雑なことや消費者にとって必需品でないこと、それに何といっても値段が高いことが障害となって思い通りに普及していません。現在、一億世帯ある全米家庭のうちPVRを所有するのはわずか100万世帯ほどで、VCRが一家に一台以上あるのに比べると遥かに少ない数字です。

 TivoはPVRサービスの先駆けで、ライバルにはソニックブルー傘下のReplayTVやマイクロソフトのUltimateTVなどがいます。99年当初はTivoとReplayTVが凌ぎを削っていましたが、現在はTiv oが一歩リードしています。

 同社は収益を上げるよりも加入者数を増やすことが先決と判断し、自社の手元資金を切り崩してまでPVR装置やサービス料金の値下げに努めました。PVRのコンセプトを広めるため、技術ライセンスを供与したりサービスのプラットフォームを一般公開したりする戦略をとり、今ではソニーが家電製品の基幹システムにTivoの技術を統合する計画です。米ネット配信サービスのリアルネットワークスなどはTivoのPVRに音楽のダウンロードやビデオゲームといった機能を提供する考えで、PVRはマルチ家電に変貌しようとしています。

 今年2月にリリースした新製品「シリーズ2」はTivoにとってさらに追い風となっています。同製品は値段が399ドル、収録時間は最大60時間、年末までにオンラインゲーム対応機能の搭載が可能になる予定で、発売当初は売り切れが出たほどの人気です。おかげで販売台数は年初来8万7千台ほど増え、Tivoの普及台数を一気に50万台前後にまで押し上げました。

 業界アナリストらは、シリーズ2の性能もさることながら第1号機の販売時に実施していた資金切り崩しを廃止したことに高い評価を置いています。おかげでTivoの業績は今年に入って大きく改善し、来年には損益分岐点に達すると期待されています。

 一方、ReplayTVは装置の値下げをせずに勝負に出たため加入者数を増やせず低迷し、ソニックブルー社に買収されました。新しく後ろ盾を得て再出発したReplayTVですが、最近発売した新製品「Re playTV4000シリーズ」は、最低価格が700ドル(録画可能時間により価格が異なる)に設定されており、これまでに約5千台が売れただけと芳しくありません。ブロードバンドへの接続などTivoよりも機能性は高いのですが、この価格は一般消費者が簡単に買える金額ではありません。マイクロソフトのUltimateTVも販売台数は約4万5千台にとどまり、予想ほどの成績を上げられずにいます。

 今後、PVR普及のカギとなるのは値段と機能です。一般に家電製品は199ドルがヒット価格で、ここに到達すると販売台数がグンと増えるといわれます。しかし、PVRは仕組みが複雑な上、高価な部品を搭載しているためコストが下がらず、値段がなかなか安くなりません。値下げするには内蔵チップの数を減らすか、大量生産する方法がありますが、どう実現するかはこれからの課題です。

 広告業界との摩擦を回避することもPVRの普及に重要です。PVRは番組の合間に流れるCMを飛ばせるため、広告スポンサーや大手テレビ局はPVRの台頭に難色を示しています。事実、ハリウッドのメディア業者は著作権侵害を理由にReplayTVに対する訴訟を起こしています。

 一方、Tivoは広告業界に歩み寄りの姿勢を見せています。例えば、家電販売大手のベストバイと契約して同社の広告がテレビで流れている最中に画面の隅に小さなアイコンを表示し、そこをクリックするとさらに詳しい宣伝のページへいける仕掛けを付けました。番組を早送りすると画面上にCMが浮かび上がる技術も考案するなど、新しい広告の視聴方法を模索しているところです。

 視聴者主導による目新しい広告の楽しみ方も生まれています。今年放映した全米プロフットボール試合「スーパーボウル」では、多くの視聴者が売れっ子歌手ブリトニー・スピアスの登場するペプシコーラのテレビCMを何度も巻き戻して見たという話です。広告業界にとって嬉しいPVR利用法である上、制作側に魅力的な広告作りを促すとして歓迎する声が多数聞かれます。

 機能面では、PVRに付加価値をつけて、単体としてよりも他の家電製品と組み合わせるほうが普及に役立つとする意見が多く出ています。業界内には、マイクロソフトがUltimateTVと話題のゲーム機「Xbox」を統合するとの噂もあります。また、ケーブル事業者の戦略で、次世代のデジタル・セットトップ・ボックス(STB)にPVRが組み込まれる計画もあり、今後どのような組み合わせが出現するか楽しみです。

 今後、PVRの成長ペースが加速すると予想する声は多いものの、近い将来にVCRと肩を並べるほどになると見る向きは少数派です。むしろ、PVRのユーザーはVCRのユーザーと一線を画し、普通のTV視聴では飽き足らないニッチユーザーが多いだろうとの意見が聞かれるなど、今後の行方から目が離せません。

                                Video Research USA, Inc.

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