デジタルメディア教室(21)~広告放送としてのBS・CSデジタル放送~広告換算の指標は?

VRDigest編集部
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※本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 現在、日本には、地上波アナログ放送の他に、BSアナログ放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送、ケーブルテレビと、様々な放送サービスが存在します。そして、これらの放送サービスは、そのビジネスモデルによって大きく広告放送と有料放送の2つに分けられます。

 これまでは、広告放送といえば地上波民放局しか存在しませんでしたが、2000年12月にはBSデジタル民放局が広告放送としてスタートし、また有料放送を主体とするCS専門チャンネルの中にも広告モデルを併用しているチャンネルが存在します。

 そこで今回は、この地上波以外のBS・CSデジタル放送に着目し、広告放送としてのBS・CSデジタノ嶋巨送について考えてみたいと思います。

◆広告放送としてのメディアパワー

 2001年の日本の広告費は6兆580億円(電通調べ、以下同様)で、このうち地上波のテレビ広告費は2兆681億円と総広告費の34.1%にも及びます。一方、BS・CSデジタル放送を中心とする衛星メディア関連広告費は471億円と総広告費のわずか0.8%にしか過ぎません。

 しかし、BSデジタル放送の視聴可能世帯数は2002年8月未現在で約314万世帯に達し、CS専門チャンネルの中にも視聴可能世帯数が400万世帯を超えるチャンネルがいくつか出てきています。これは、視聴可能世帯数だけみると、BSデジタル民放局は福岡や札幌地区の地上波ローカル局を超え、400万世帯クラスのCS専門チャンネルは名古屋地区の局をも上回るといえます。このような状況下、「BS・CSデジタル放送の広告費のシェアは低すぎないか?」、「BS・CSデジタル放送にもっと広告費が投入されてもいいのではないか?」という声が聞かれるのも当然のことといえます。

 しかし、ここで見逃してならないのは、地上波の広告ビジネスは"視聴率"をベースに行われているという現状です。これは、広告放送としてのメディアパワーを測る要素として、<普及>の他にも<利用>が重要であるということを意味しているのに他なりません。

 つまり、視聴可能世帯数が名古屋地区の局を上回る400万世帯クラスのCS専門チャンネルであっても、平均視聴率が1%しかなかった場合、それは40万世帯クラスの地区の平均視聴率が10%の局と広告放送としてのメディアパワーは同等ということになります。逆に、視聴可能世帯数が少ないCS専門チャンネルであっても、平均視聴率が高ければ、強力なメディアパワーを有する可能性もあるといえますこ

 このように、BS・CSデジタル放送が、広告放送としてのメディアパワーを増大させる為には、<普及>を増やすとともに、<利用>についても考える必要があるといえます。

◆広告放送としてのBS・CSデジタル放送の評価指標

 一方、BS・CSデジタル放送が、広告放送としてのメディアパワーを増大させる為に欠かせないこととして、評価指標の整備があげられます。周知の通り、地上波においては"視聴率"が主な評価指標となっていますが、BS・CSデジタル放送ではどうあるべきなのでしょうか。この点に関しては、各事業者のおかれている状況や視聴者の特性によってその思惑が異なってくると思われます。

 まず、BSデジタル民放局は、基本的に総合編成である点などからも地上波民放局と競合する点が多く、地上波民放局との差別化を図ることが求められるといえます。その際、「BSデジタル放送視聴者」の「地上波のみ視聴者」に対する優位性を訴求する必要があると思われ、そこでの視聴者の切り口としては、性・年齢・職業といったデモグラフィツク特性のみならず、商品関与やメディア関与などの意識項目も重要になってくると考えられます。

 また、CS専門チャンネルについては、そのジャンルや視聴者の特性によって考え方が大きく分かれてくると思われます。例えば、「音楽」や「ゴルフ」チャンネルなどは、ターゲットがはっきりとセグメントされている為、視聴者プロフィールが明確に措きやすく、地上波民放局との差別化も図りやすいと思われます。

 逆に、「映画」や「ドラマ」など比較的ターゲットの幅広いチャンネルについては、視聴者プロフィーリレで差別化を図るのみならず、むしろ"視聴率"を導入することによって、地上波民放局と同じプランニングステージにのることにも意味があるかもしれません。

 以上のように、広告放送としてのBS・CSデジタル放送の可能性は未知数ですが、当社としましても、地上波デジタル化後の"視聴率"のあり方を考えると同時に、広告放送としてのBS・CSデジタル放送の評価指標の研究・開発等にも積極的に取り組んでいきたいと思っております。

デジタル戦略室デジタルメディア部 伊藤正裕

                                  v009961@videor.co.jp

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