US Media Hot News 米ネット企業、本格的に復調か?薄利多売のアマゾンなど

VRDigest編集部
VRDigest編集部
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 米国ではネット企業が本格的に復調し始めたとの見方が広がっています。ビジネスモデルの見直しによる経営基盤の強化や国内ユーザーの掘り起こし、世界規模でのインターネットの普及が要因です。それを裏付けるかのように、ヤフーやアマゾンドットコムといった大手ネット企業はそろって好調な7-9月期決算を発表しました。同期に倒産・破産したネット企業の数も昨年に比べて半数以上減っており、ネットバブル崩壊の傷跡がようやく癒えてきたようです。

 アマゾンドットコムが先月下旬に発表した7-9月期決算は事前予想を大きく上回る内容で、株式市場などは大きく沸きました。売上高は多くて8億3千万ドルと見積もられていたのが、蓋を開けてみると8億5千万ドル強と前年同期比で約33%アップ,利益面では赤字が続いているものの、赤字幅を1億7千万ドル強から約3500万ドルに縮める偉業を成し遂げました。

 アマゾン復調の秘訣は、徹底した低価格路線です。もっとも、アマゾンはもともとバーチャルストアの特性をいかして固定費を除いたディスカウント料金で品物を販売してきました。そのため一部では、同社がなかなか黒字転換できないのは利ざやが小さいからだとされ、路線変更を迫る声も聞こえていました。しかし、同社では利ざやの拡大よりも薄利多売を目指し、多様な試みに着手しました。

 その現れが今年初めから実施している無料配達制度です。普通、通信販売では購買代金が高くなるほど送料も上がるものですが、アマゾンはネットバブル崩壊後に減った顧客を繋ぎ止めようと99ドル以上の買い物について送料を無料にしました。反響は思いのほか大きく、顧客を維持するどころか、今までオンラインショッピングに消極的だった消費者を引き寄せました。一層の新規ユーザー掘り起こしを狙い、その後、購買総額の下限を49ドルまで下げ、8月にはさらに25ドルに引き下げました。実はこの制度は採算を度外視しており、送料絡みの損失が今期は1千万ドルと前年の約5倍に膨れ上がってしまいました。しかし、無料配達と引き換えに配達日数が延びても構わないという購買客が増えているため、今後は損失額を抑えられる見込みです。

 新しく始めたウェブページ賃貸事業も貴重な収入源に育っています。使用料は僅かですが、ウェブページを貸すだけですから売り上げが殆どそのまま利益につながります。小売り大手のターゲットやオフィスデポなどオフラインの小売業者との提携関係を深めて、オンライン事業への依存度を軽減しています。

 eベイの同期決算も目を見張る内容となりました。売り上げは前年同期に比べ約5割増しの2億8千万ドル、純利益に至っては前年同期の3倍以上を稼ぎました。同社のウィットマンCEOが「3年前には誰もeベイでクリスマスのプレゼントを買おうと考えもしなかったでしょうが、今や我が社のサイトは立派なショッピングサイトです」と語る通り、同社はオンライン販売業界の中で確固な地位を築き上げています。

 eベイの強さは中核のオークション事業の巧みな運営にあります。もともとバブル崩壊直後から回復の足取りを速めていた底力のある企業ですが、扱うラインに自動車や電子製品といった高額商品を加えたり、積極的な国際展開を推し進めて好業績を上げました。同社にとって幸いなのは、ユーザーがサイトへ訪れる目的が、値段が高くても欲しいものを探し、購入するためや、安い値段で見つかれば買いたいという理由のため、あまり景気に左右されないという点です。

 さらにeベイがサイドビジネスのように展開してきた「価格固定サービス」の急成長も今期の業績に貢献しました。このサービスでは中古の書籍やビデオ、ゲームを小売価格の半値以下に固定しており、オークションにつきものの心理的、時間的なプレッシャーを避けたいユーザーに受け入れられています。

 ヤフーは4-6月期決算で7四半期ぶりに出した黒字を7-9月期でも維持することができました。売上高は約2億5千万ドルと前年同期の約1.5倍です。ただしポータルサービスの柱であるネット広告収入が上向いたというわけではありません。安定収入を得るために相次ぎ立ち上げた新サービスが奏効しました。2月に買収したホットジョブス・ドットコムの求職情報サイトや出会い系サイト、ゲームサイトなど会費制サービスを増やしたのが勝因です。

 こうした企業に共通しているのは、ネットバブル崩壊を契機に事業内容を見つめ直し、いち早く再建計画に着手した点です。インターネット人口は世界的に見るとまだまだ増加傾向にあり、2000年末に4億人を超える程度だったユーザー数が2005年末には約12億人に増えている見込みです。ひとまず頭打ちになったと見えた米国でも、向こう3年間で5千万人ほどユーザーを増やせそうだとの観測があります。ユーザー数が緩やかながら増加を続けている限り、そこにビジネスチャンスが潜んでいます。ヤ

フーやeベイは時流を見つめ、ユーザーを惹きつけるサービスを積極的に導入しながら、収入源を多様化してリスク分散をしてきました。

 今後、ほかのネット企業でも続々と業績が上向く予感がしますが、同時に企業間の縄張り争いも激しくなりそうです。例えば、比較的新しいサービスに中古品の売買サービスがありますが、この分野ではアマゾンとeベイがライバルになりつつあります。これまで棲み分けが出来ていた企業間に相互乗り入れる形で競争が起こり、ネットバブル崩壊とはまた違った淘汰の時代がやってきそうです。

Video Research USA, Inc.

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!