トップニュースにみる世論の反響一束京サミット1986、中曾根内閣支持率とニューリーダー、ダイアナ・フィーバー、ソ連チェルノブイリ原発事故のVTS調査の反響-

- VRDigest編集部
※本記事は1986年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。
東京サミット、ソ連の原発事故、チャールズ・ダイアナ英皇太子ご夫妻来日と、今年のゴールデンウィーク前後には、大きなニュースが相次ぎました。機動隊の姿がようやく衝から消え、ダイアナ妃来日を目前にひかえた5月7日、8日に行なわれたフジテレビと共同の世論調査の結果がまとまりましたのでご紹介します。
調査概要
◆調査地城:東京都
◆調査対象:男女20歳以上の男女個人:
◆サンプリング方法:層化無作為二段抽出方法(抽出フレーム:電話帳)
◆調査期間:昭和61年5月7日(水)~8日(木)
◆調査方法:電話調査(VTS)による世論調査
◆回収状況:有効回収500人
◆調査実施:フジテレビとビデオ・リサーチの共同調査
◆標本構成:
〔1.トップニュースは原発事故〕
調査時点で、最も印象深く受けとめられていたニュースは、なんといっても、ソ連の原発事故でした。次いで東京サミット、3位には、ほとんど毎日のように報じられた子供の自殺が挙げられています。(グラフ1)
〔2.労多くして......東京サミット終る〕
派手な前宣伝の割には、円高も止まらず日本にはこれといった成果もなく終った感のある東京サミット。
成功とみなしている(「非常に成功」+「まあまあ成功」)は約3割で、不成功(「それはど成功したとは思わない」+「失敗だった」)とみる方が上回っています。(グラフ2)
"戒厳令"とまで言われた厳しい警備体制については、事前のPRが徹底していたことや、過激派の動きも活発だったことなどもあってか、「このくらいの警備はしかたがない」とする容認・あきらめ派が6割を占めています。
リビアの名指し非難に加わったことには「避けるべきだった」とするのが3割、「やむを得なかった」と考えている人が5割強となっており、半数以上の理解を得ているようです。
〔3.中曽根内閣、支持率と次期総理の条件〕
天皇在位60年、東京サミット、チャールズ・ダイアナ皇太子ご夫妻来日と、ゴールデン・ウィークを中心に、続けざまの派手な政治ショーで人気を盛り上坑 一気に解散、同時選挙へという段どりだったはずの中曽根首相。
サミットでの不調が響いてか、支持率は1年前と較べ、やや低下気味です。(グラフ3)
同時選挙問題が焦点となっており、勢いポスト中曽根が問題になるわけですが、次期総理は誰がいいか、という質問では、翳りが見えてきたとはいえ、現職の中曽根氏がやはり別格、18%の支持を集めています。続く"ニューリーダー"は宮沢氏7.6%、安倍氏7.2%、竹下氏5.2%とほぼ横一線に並んでいる状態です。ニューリーダー達の支持層をみてみると、男性では宮沢支持がやや多く、3人の中で唯一1割を越える支持率となっています。また安倍氏は若年層の支持が特徴的です。
次期総理の条件としては、「経済政策に強い人」と「外交政策に強い人」の2つが強く望まれています。(グラフ4)
〔4.不安を投げかけるソ連原発事故〕
ソ連のチェルノブイリで起った原発事故は、日本では特に影響はないとされていますが、7割近い人が不安を感じる、と答えています。日常生活でも「雨にぬれないよう気をつけている」「野菜やくだものをよく洗ってから食べる」などの配慮をしている人が半数を越えており、放射能等の問題に敏感になっているのがうかがわれます。
そこで気になるのが日本の原発の安全性。「日本の原発はソ連のものとは型が違うし、技術も進んでいるので、今回のような事故の心配はない」という発表はありましたが、そうはいっても日本にも同様の危険性がある、と考えている人が6割を越えており、対岸の火事ではすまされないという気持ちがあらわれている、といえるでしょう。(グラフ5)
〔5.ダイアナ・フィーバーは?〕
チャールズ・ダイアナ皇太子ご夫妻の来日については、来日直前に行なわれた調査にもかかわらず、日英親善に役立つという好感的な評価が圧倒的です。(グラフ6)
来日中、マスコミを埋めつくしたダイアナ妃のイメージは花にたとえれば「バラ」。「鉄の女」サッチャー首相とは対照的に華やかな魅力で、イギリスのPRに貢献しています。(市場調査部)
注)VTS:VR Telephone Interviewing System―コンピュータと連動させたスピーディな電話調査による―