急成長のNetflixの実態に迫る〜Netflixユーザーってこんなひと〜

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#ACR/ex #ユーザープロフィール #動画配信
急成長のNetflixの実態に迫る〜Netflixユーザーってこんなひと〜

近年、巨大IT企業群"FAANG"の一つに数えられるNetflix。世界に1億6千万人以上の会員を抱え、日本のユーザーも年々増加していると言われます。しかし、Netflixユーザーの詳細なプロフィールや内訳はあまり明らかにされていません。またNetflixは、契約時に会員の一般的なプロフィールを取得しないなど、従来のマーケティング的なセグメントを重視していないとも言われています。とはいえ、存在感を増すNetflixのユーザーを捉えることは、今後のメディアコンテンツビジネスの動向に示唆が多いと思われます。そこで今回は、彼らの意識や行動にどのような特徴が見られるのか、当社の「ACR/ex」で集計できるデータを活用し、考察してみました。

※以下、ユーザーとは、「最近1か月の間で当該サービスを利用した人」とします。

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【ACR/ex】

2016年から国内でユーザーを伸ばしつづけるNetflix

まずは、日本国内における動画配信サービスのユーザーについて、概況をみてみます。下のグラフは、日本でユーザーの多い主要8サービスについて、ユーザー数の推移を示したものです(図1)。動画配信サービスの中ではYouTubeのユーザーが圧倒的に多く、他サービスの追随を許さないことが分かります。

図1:各動画配信サービスの推定利用者数の推移

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データソース:ACR/ex2019,全国7地区


一方で、各サービスのユーザー数の伸び率を見ると、印象が異なります。2016年(AbemaTVはサービス開始の時期を考慮し、2017年)におけるユーザー数を1とした時の、2019年におけるユーザー数の比率は、ユーザー数最多のYouTubeが1.1倍というスコアで、やや頭打ちと言えます。一方、ユーザー数の伸び率が最も高いのは、Netflixで8.0倍でした。直近3年でユーザー数が急激に増加したことが分かります。

急増しているNetflixユーザー、彼らはどういう人たちなのでしょうか。当社の「ACR/ex」データで紐解くと大きく4つの特徴がみえてきました。

1.Netflixユーザーは平均よりも高所得

まずは、彼らの職業や年収をみてみます。Netflixユーザーと全体それぞれの職業構成をみると(図2)、Netflixユーザーは全体よりも「給料事務・研究職」をはじめ有職者の割合が多く、「主婦・主夫」や中高生の割合は少なめですまた、有職者の中でシェアは大きくないものの「専門職・自由業」「自営」の割合がNetflixユーザーは全体の倍近くというのも興味深い特徴かもしれません。


図2:職業の構成割合

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データソース:ACR/ex2019,全国7地区


実際に、Netflixユーザーの平均年収は、世帯年収、個人年収ともに全体平均より高めで、ややリッチな人が多いことが分かります。2020年6月現在、Netflixの利用料は最もベーシックなプランでも月額800円(税別)で、長く加入すれば少なくない出費となりますが、Netflixユーザーには楽しみにお金をかける余裕があるようです。



図3:世帯年収・個人年収の平均額比較

<世帯年収>
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<個人年収>
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データソース:ACR/ex2019,全国7地区

2.上昇志向あり、ただしワークライフバランスにも気を使う

平均よりもやや高所得のNetflixユーザー。仕事に対する意識をみてみると、「スキルアップのため勉強したい」「成果主義・能力主義でキャリアアップ」「独立・起業に関心がある」と答える人の割合が高く、仕事におけるステップアップに意欲的な人が多いことが分かります。同時に、「自分はいわゆる"会社人間"」と答える人は少なく、「仕事より余暇を優先して考える」「趣味やライフワークに時間をさく」と答える割合も高いです(図4)。

Netflixユーザーは、仕事への向上心を高く持ちながらも、自分の時間や個性を重視し、ワークライフバランスのとれた生活をしていることがうかがえます。


図4:仕事への意識

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データソース:ACR/ex2019,全国7地区

3.自分が気に入ったものは高くても買う!

そんな彼らの購買意識をみてみると、「気に入れば値段が高くても買う」「注目したものは無理をしても買う」「よい物や欲しい物は買っておく」人が多いです(図5)。Netflixユーザーは、自分の気に入ったものを積極的に購入する人が多いことが分かります。



図5:購買意識

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データソース:ACR/ex2019,全国7地区

4.Netflixユーザーはセンスに自信あり

積極的に買い物をしているNetflixユーザー。自分の選択や感覚に対してどのように認識しているのでしょうか。味覚、視覚、嗅覚、聴覚、触覚、いわゆる「五感」や、「時代・流行を先取りするセンス」について、Netflixユーザーには「自信がある」と答える人が多いことが分かります(図6)。自分に自信を持ち、感性に合うものを購入し、楽しんで生活している様子が目に浮かびます。


図6:感性への自信

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データソース:ACR/ex2019,全国7地区

まとめ

ACR/exのデータから、Netflixユーザーの特性が明らかになってきました。彼らの多くは、平均よりも高所得者が多く、仕事にもプライベートでの購買活動にも積極的です。また、新し物好きな面や、自分の暮らしに向上心やはっきりとした意思を持つ面もうかがい知れます。

では、そのような人たちに、なぜNetflixは受けたのか。理由はNetflixの細部にわたるホスピタリティにありそうです。
Netflixには、ユーザーの細かいニーズに応えるための機能が多く存在しています。例えば、画質によって異なる料金プランがあったり、約30か国語の多言語対応がされていて外国語の勉強に活用できたりもします。また、動画配信サービスによくあるレコメンド機能も、Netflixではユーザーが興味を持ちそうなサムネイルを自動でカスタマイズして、おすすめ動画を表示してくれます。自分のニーズに合わせて、自由に作品や視聴形態を選択できるNetflixは、趣味嗜好がはっきりし、向上心のある人たちにマッチするサービスなのではないでしょうか。

今後、どこまでNetflixが普及していくのか興味は尽きませんが、それに伴うユーザーの特性の変化にか注目していく価値はあるでしょう。ユーザーの地上波番組の視聴傾向や、他のエンターテインメントへの関与を捉えることで、メディア問わずこれからのコンテンツ制作やサービス開発にヒントがあるかもしれません。

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