テレビ放送と動画サービスのイメージは違う?!〜生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第二回 〜

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#ACR/ex #テレビ #動画配信 #消費者心理 #視聴実態
テレビ放送と動画サービスのイメージは違う?!〜生活者と「映像コンテンツ」の

第二回目は、生活者がテレビ放送と各動画サービスに抱くイメージの違いをテーマにお伝えします。

まとめ
・テレビ・動画サービスのイメージは、映像コンテンツの"向き×タイプ"で分かれる
・それぞれイメージポジションが異なる「テレビ(リアルタイム)」・「SNS上の動画」・「Netflix」
・さらに、テレビ放送は、"視聴方法の違い"によってイメージポジションが異なる

動画サービスの視聴実態〜生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第一回〜はこちら

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【ACR/ex】


ひと研究所では、テレビ放送と動画サービスがどのように捉えられているのかを理解するため、動画サービス利用者を対象に調査を行いました。

今回、イメージ評価にあたっては、動画コンテンツ専門サプライヤーに限らずSNSなどいわゆるOTT(Over The Top)サービスの中で動画コンテンツを配信する主なサービスを対象としました。

【図表1】は、各動画サービスとテレビに対するイメージ(考えずに見られる、役立つ情報が得られる等の印象項目)を調査した結果を基に、全体(15-64歳男女)でコレスポンデンス分析(※1)を行い、マッピングしたものです。

動画サービスとイメージワードが近い位置にあるものほど、生活者が抱くそのサービスへのイメージとの距離が他のサービスよりも近いことを表します。 このマッピングから、まずテレビと動画サービスは勿論のこと、動画サービス同士についても生活者が持つイメージは異なっていることがわかります。

私たちは今回の結果から、
<縦軸>
ソーシャルベネフィット(社会に開かれている)か、パーソナルベネフィット(個人に向いている)か
<横軸>
ストックコンテンツベネフィット(いつでも好きな時に楽しめる)か、フローコンテンツベネフィット(今流れている情報を得られる)か
の2軸で読み解きを行いました。

■テレビ(リアルタイム)は独自のポジションを確立?!
まず、「テレビ(リアルタイム)」「SNS上の動画」「Netflix」は最も遠くに位置づけられ、各々に対する生活者のイメージ(視聴ベネフィット)はほぼ重ならないことがわかりました。

「テレビ(リアルタイム)」は、ソーシャルベネフィット寄りに位置しており、「信頼性の高い情報が得られる」や「世の中の情報をリアルタイムに知れる」などのイメージとの距離が他のサービスより近く、エンタメだけではない報道も含めた幅広いジャンルを扱っていることが生活者にとって価値になっているようです。

「Twitter」「Facebook」「Instagram」といったSNS上の動画は、右下象限に位置しており、生活者からは短時間でリアルタイムに流れてくる情報を楽しめるイメージが持たれているようです。
一方、「Netflix」は左象限に位置しています。過去コンテンツを含めて自分の好きなときに見られて、長時間楽しめて、ストーリーに惹き込まれるといった没入して楽しめるというイメージがもたれています。

Netflixユーザーに視聴する動画ジャンルを聞いてみたところ、「海外ドラマ」(45%)が最も多く、次いで「映画」(44.5%)とやはりストーリーに没入できるコンテンツがよく見られているという結果となりました。「Hulu」や「Amazonプライムビデオ」も比較的近い位置におり、映画やドラマジャンルコンテンツの豊富さというイメージが浸透していると推察されます。

【図表1】テレビと動画サービスに対するイメージマップ(全体)

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テレビとOTT動画のイメージに関する調査(2018年12月)結果より作成

【画像をクリックで拡大】

動画サービスと一言でいっても、サービスによって生活者からの捉えられ方が異なっていることが確認できました。
その一方で、「テレビ(リアルタイム)」「テレビ(タイムシフト)」「TVer」といった「テレビ」の視聴方法の違いによっても、生活者における位置づけが異なることがわかりました。

「テレビ(リアルタイム)」が、右側(フローコンテンツ寄り)にあるのに対し、「テレビ(タイムシフト)」や「TVer」が左側(ストックコンテンツ寄り)にあるのは、視聴方法により選ばれやすいコンテンツジャンルが異なっていることが示唆されます。

動画サービス利用者にとって、「テレビ(リアルタイム)」はニュースやスポーツ中継などのリアルタイムでの"情報"を得たいときに選ばれやすく、「テレビ(タイムシフト)」や「TVer」では、ドラマ等の"没入できるコンテンツ"が選ばれやすいと推察されます。

■夜21〜23時台は、一人で考えずに笑えるコンテンツを選びがち?!
第一回の「動画サービスの視聴実態」で、20代では夜21〜23時台に動画を見ている層が、一定数存在することを紹介しました。動画を普段から視聴する20代は何を重視して映像コンテンツを選択しているのでしょうか。

上位には、「一人で楽しめる」「笑える」「考えずに見られる」といった要素が挙がりました。この3項目は、全体でみても変わらないことから、年齢を問わず動画ユーザーにとっては同居者がいてもいなくても「一人で楽しめる」ということが21時以降の映像コンテンツ視聴では最も重視されていると言えます。

また、「疲れた心が癒やされる」や「他のことをしながら見られる」も上位にあることから、集中して意識を向けるようなコンテンツよりも、気軽に"ながら視聴"できるようなコンテンツが好まれるようです。



<20代における夜21〜23時台における映像コンテンツ視聴時の重視点>

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テレビとOTT動画のイメージに関する調査(2018年12月)

■20代の動画ユーザーが、欠かさず見たいテレビ番組は??
動画サービスが生活者に浸透し、映像コンテンツの選択肢が増えた分、テレビ番組以外の動画を視聴するという行動が夜の時間帯を中心に徐々にでてきています。ただ、20代の動画利用者に聞いてみたところ、7割の人が「欠かさずに見たいと思う具体的なテレビ番組」をあげています。 その中から、「欠かさず見たい夜の番組」と「その理由」をいくつか紹介します。

●「アメトーーク!」:お笑いが好きで、お笑いの番組の中で平均的に一番面白いと思うから
(28歳女性 )
●「しゃべくり007」:毎回絶対おもしろいから(22歳女性)
●「全力!脱力タイムズ」:いつも面白くて一番好きな番組だから。笑いのクオリティがとても高い
(28歳女性)
●「ニンゲン観察バラエティ『モニタリング』」:見ててみんながいい気持ちになるから(28歳男性)
●「水曜日のダウンタウン」:攻めた企画が多くて面白い(28歳女性)
●「月曜から夜ふかし」:司会者の話や企画が面白いから(26歳男性)
●「世界の果てまでイッテQ!」:毎週必ず笑える安定感、世界のことを知れる面白さもあるから
(21歳女性)
上記のように、「面白い」という理由でバラエティ番組を挙げる意見が多く見られました。
やはり「笑える」という要素は、夜の時間帯に映像コンテンツを選ぶ重視点の1つのようです。

一方、夜のバラエティ番組でも、
●「ザ!世界仰天ニュース」:いろいろな出来事を知れて見聞が広がるから(29歳 男性)
●「マツコの知らない世界」:生活に役立つ情報を知ることができるから(24歳 女性)
●「クレイジージャーニー」:自分では絶対行かないような世界が見られるから(28歳女性)
のように、面白さだけでなく自分の知らなかったことが知れることも求める声も数多く見受けられ、 自分で積極的に調べるほどではないけれど、程よくマニアックな情報を届けるという点も選ばれるコンテンツとして重要な要素であると感じました。

動画サービス利用者の多くが、「欠かさず見たいと思うテレビ番組」があることからも、変化する生活行動やその時間帯に求める要素に応えたコンテンツを提供することで、増え続ける選択肢の中からテレビ番組は選ばれ続けるのではないかと感じました。

動画サービスの視聴実態〜生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第一回〜はこちら

(※1)コレスポンデンス分析とは
統計解析手法の1つで、相対的に似通った項目を明らかにするため、各項目を数値化する分析手法である。カテゴリー間の関係性をマッピングし視覚化できるため、自社と競合ブランドのポジショニング分析などでよく活用されています。

【調査概要】
■テレビとOTT動画のイメージに関する調査
調査対象者:15〜64歳の動画サービス利用者
サンプル数:男性:2009人、女性:2285人
調査エリア:関東1都6県
調査方法:インターネット調査
調査時期:2018年12月14日(金)〜16日(日)

■ACR/ex
調査対象者:12〜69歳男女個人
調査エリア:東京50Km圏
目標サンプル数:4800人
調査方法:電子調査票による調査
調査時期:2014年/2015年/2016年/2017年/2018年 4〜6月調査

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