~「番組カルテ プロフィール分析」のご案内~ 番組視聴者の顔を描く試み

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 番組視聴者を表す指標としで性・年齢別の個人視聴率が広く使われています。しかし、例えば30才の女性と言っても、"独身会社員"もいれぽ'3人の子を持つ専業主婦"もいます。目に見えるライフステージも違えば、当然ものの考え方・価値観も違うでしょう。

 迫り来る放送のデジタル・他チャンネル化時代に於いては、視聴者の細分化も予想され、デモグラフィツク特性だけで彼・彼女らを判断してしまうのは危険です。

 そこでビデオリサーチでは、性・年齢以外の視聴者特性を把握する試み~番組視聴者の顔を描く試み~として、幾つかのアプローチを企画・研究しております。

 今号では、テレビ番組カルテを利用した「番組カルテ プロフィール分析」をご紹介させていただきます。

◆現在描写可能な"視聴者の顔"

"番細視聴者の顔"と言っても、求める結論の違いにより2つの視点が考えられます。一つは放送局(番組供給社)側からの視点、もう一つは広告主(番組提供杜)側からの視点です。

 放送局側からの視点では、番組の視聴者がどの様な人であるかを想像しやすい「視聴者モデル=視聴者イメージ(像)」が求められます。番組が誰に見られているのかが分かれば、その後の番組制作の参考になります。一方の広告主側からの視点では、目標とする広告効果達成の為の「視聴者モデル=広告接触】商品購入関心」が求められます。商品訴求ターゲットへ出来るだけ効率よくCMを到達させる為です。

 現在当社が実施している調査で、これら求める視聴者の顔を措くとすると、前者は主に「個人視聴率(視聴者構成割合)」、後者では主に「ACR」を利用することができます(図1)。

〔図1:現在描写可能な視聴者の顔〕

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「バラエティー番組A」を例に、視聴者の顔を描いてみると、

 「子供から大人(高齢者)まで全体が視聴者」

 「流行のものを特に選ぶわけではないが、新製品には興味がありそうで、...」

となります(例1)。(' 99年5月のACR及び視聴率データから)

〔例1:バラエティー番組Aの視聴者の顔〕

個人視聴峯(視聴者構成)

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※子供①:男女4~12才、子供②:男女13~19才、男①:男20~34才、男②:男35~49才、男③:男50才以上、女①:女20~34才、女②:女35~49才、女③:女50才以上。

ACR

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これでは、求める"番組視聴者の顔"が描けたとは言い難いものがあります。

 この様に、現在利用可能なデータだけで番組視聴者の顔を措くには、幾つか問題となる点があります。

 [個人視聴率(視聴者構成割合)]では...

    ①性・年齢(職業)以外の特性が分からない

    ②価値観・考えを表すサイコグラフイツクが分からない

  [ACR]では...

    ③調査が年1回のみ

    ④調査番組が、主なレギュラー番組約80番組+特定1週間に放送の番組のみ

    ⑤調査項目が膨大で、視聴者イメージが掴みづらい

 これら問題点を解決する調査・分析を思案していたところ、当社が実施している「番組カルテ」調査を用いる案が浮かび上がってきました。

 → 調査が年2回ある

 → レギュラー番組約250番組の視聴状況を調査している

 → 調査項目の追加によってプロフィールの拡充を図ることができる

 先述した問題点を踏まえつつ、視聴者の顔を描くのに最適な調査項目の選定、視聴者の顔を捉えやすいアウトプット形式の考察を行い、「番組カルテ」調査を用いた「番組カルテプロフィール分析」を企画・設計することとなりました。

◆アウトプット形式の考察

 この「プロフィール分析」データから、「番組の視聴者がどんな人であるのかを一目で把握できる」をテーマに各カテゴリー要素を簡単に分かり易くまとめ直した「まとめシート」を作成いたしました。(図2:まとめシート)

ポイント1:代表的な視聴者イメージを-言で表現

ポイント2:視聴者を表すキーワードを3つ掲載

ポイント3:数値比較(絶対評価)ではなく、順位比較(相対評価)で結果が読みやすい

ポイント4:1カテゴリー1シートで見やすい・利用しやすい

【図2:まとめシート】

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◆「番組カルテプロフィール分析」

 以上、「番組カルテプロフィール分析」の企画目的・コンセプトなどをご理解いただけたかと思いますが、ここで「調査概念」「調査項目」「販売形態」「調査概要」などについてまとめさせていただきます。

<番組カルテプロフィール分析の概念>

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<番組カルテプロフィール分析調査項目一覧>

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<番組カルテプロフィール分析販売形態>

 Ⅰ.プロフィールシート(4枚一組、番組別)

    ①まとめシート →(※【図2】で紹介)

    ②デモグラフィツクシート

    ③サイコグラフイツクシート

    ④商品購買・関心シート

 Ⅱ.全項目FDデータ(全番組)

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<テレビ番組カルテ 調査概要>

 調査対象者 :男女13~69才

 調査地域 :東京駅を中心とする30km圏

 標本数 :指令1000サンプル有効約790サンプル

 標本抽出法 :住民基本台帳より無作為二段抽出

 調査方法 :留置調査法

 調査時期 :5月中旬、11月上旬の年2回実施

 調査対象番組 :スポーツ・スペシャル枠などの単発番組とマンガ、幼児番組を除く約250番組(事前に任意番組の依旗可)

→★年2回調査

→★レギュラー番組約250番組対象

 (ただし、視聴者数が調査対象サンプル数の3%に満たない番組はカット)

→★朝5時台から夜11暗合放送の番組まで調査

◆調査結果のご紹介 ― 高学歴度一仕事と遊びの関心度・品質重視度など ―

 それではここで、調査結果の一部をご紹介させて頂きます。「番組カルテプロフィール分析」の企画目的・コンセプトを最もよく表した「Ⅰ.プロフィールシート①まとめシート」の中の、『高学歴度』『主婦有職度』『仕事と遊びの関心度』『品質重視度』のそれぞれ上位10番組を一覧にしたものが<例2>です。(※'99年11月の「番組かレテプロフィール分析」調査から)

〔例2:調査結果ベスト10

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各指標とも今までご覧になったことのないものかと思いますが、特別な調査手法を用いたものではありません。例えば『仕事と遊びの関心度』は、「自分の仕事・学校に関心のある」人の割合と「自分の趣味・遊びに関心のある」人の割合を合計したもので、各指標とも調査結果を読み取り易く集計し直したものとなっています。

 各指標についての説明と、それぞれの指標から読みとれることをまとめると、以下のようになります。

『高学歴度』  :最終学歴が「大学・大学院卒業」の人の多さを表します。

『主婦有職度』 :主婦(既婚女性)の中で、社員あるいはパートなどで「仕事をしている度合」を表します。反対に位置するのが専業主婦となります。

『仕事と遊びの関心度』 :「自分の仕事I学校」あるいは「趣味・遊び」に対する関心の度合          で、「日常生活の充実度あるいは積極性」として捉えます。

『品質重視度』 :ものを買う時に、「品質」と「価格」どちらを重視するかを指標化したものです。品質を重視する人は生活全般に「こだわりがある」「鋭い目をもっている」人として捉えます。

『高学歴度』の高い番組は、夜のニュースや教養・実用番組が多く、皆さんご想像の通りかと思いますが、スポーツニュースが2番組ランクされている点が注目されます。『主婦有職度』は、放送が土日あるいは夜遅い時間帯の番組が目立ちます。仕事があると平日の昼間はもちろん、夜の早い時間帯もテレビをあまり見られないと言うことでしょうか。

『仕事と遊びの関心度』は、一言で傾向を表すには難しいのですが、あえて言うとすれば、情報重視系あるいはややマニアック路線番組といったところでしょうか。万人受けする番組ではなく、一部の固定視聴者に支持されている番組が多い感じがします。『品質重視度』は、高齢者がよく見る番組が多くなっており、討論番組や時代劇がランクされている点が注目されます。

 この様に、各項目別に見ても番組による視聴者の違いは読みとれますが、実際に番組視聴者のプロフィールを捉えるには、これら項目を総合的に捉える必要があります。そこで、番組男視聴者プロフィール比較の活用事例を以下にご紹介いたします。

◆活用事例 ― 夜のニュース番組での視聴者プロフィール比較 ―

 夜のニュース番組を例に、「番組カルテ プロフィール分析」によってどの程度番組視聴者のプロフィールが鮮明になるのかを「個人視聴率(視瞭者構成割合)」と比較しました。(例3)

   (※'99年11月の「番組カルテ プロフィール分析」調査及び視聴率データから)

〔例3:夜のニュース番組の視聴者プロフィール〕

個人視聴率(視聴者構成割合)

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 ※子供①:男女4~12才、子供②:男女13~19才、男①:男20~34才、男②:男35~49才、男③:男50才以上、女①:女20~34才、女②:女35~49才、女③:女50才以上。

番組カルテ プロフィール

「ニュースA」⇒ 仕事にも遊びにも関心が高い音楽好きな人

「ニュースB」⇒ 情報欲求が強く、ニュース番組が大好きな高学歴の人

「ニュースC」⇒ 仕事にも遊びにも関心が高い高学歴な人

「ニュースD」⇒ 高学歴高収入でスポーツ番組好きなアウトドア派の人

「ニュースE」⇒ 品質にこだわりのある高学歴高収入インドア派の人

 個人視聴率(視聴者構成割合)からは、「ニュースC」が他のニュースに比べやや視聴者が若く、「ニュースD」がやや高齢者が多いという傾向は読みとれます。しかし、どのニュース番組も若干の傾向の違いはあれ20~34才以上の階層がそれぞれ9~28%の間で存在していて、一目で視聴者の傾向を読みとったりイメージするのには、更なる分析と考察が必要となります。

 一方の「番組カルテ プロフィール分析」からは、上記個人視聴率(視聴者構成)の傾向が殆ど同じ「ニュースA」と「ニュースB」でもプロフィールの違いが出ていて、番組視瞭者の違いを読みとることができます。

 このように同じ時間帯に放送され、かつ同じニュースという番組ジャンルのため、個人視聴率(視聴者構成割合)ではハツキリとした傾向の違いが読みとれない場合でも、「番組カルテ プロフィール分析」を用いることによって番組視聴者の違いや特徴が明らかになります。

◆おわりに...

 今号では、テレビ番組カルテを利用した「番組カルテ プロフィール分析」をご紹介させていただきました。価値観の多様化などと言われて久しいですが、今後推進されるデジタル・他チャンネル化時代に向けて、視聴者の特性を的確に捉えることは今以上に重要度を増すと考えられます。

 ビデオリサーチでは、視聴者のプロフィールを捉える様々なアプローチを企画・研究していきたいと考えております。

                             媒体調査局 調査分析部 長島英樹

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