時差で大きな影響が出る! 第27回夏季オリンピック競技大会シドニー2000 テレビ視聴状況(関東地区テレビ視聴率データ)

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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 今年最大のスポーツイベント第27回夏季オリンピック競技大会が、9月15日(金)から10月1日(日)までの17日間(但し、サッカー予選は9月13日(水)からスタート)、オーストラリアの首都シドニーで開催されました。

 今世紀最後となるこの大会には、史上最多の200カ国・地域(個人資格参加の東ティモール含む)、約1万1000人の選手が参加、競技数も野球や日本が発祥の競輪などが正式種目に加わり、これも史上最多となる28競技300種目が行われました。

 ここ数年、現地でオリンピックを応援する人たちが増加しているように思われますが、それでも、多くの人はテレビで観戦・応援したのではないでしょうか。

 オリンピック中継をテレビ視聴する上で、大きな影響を及ぼすのが時差です。前回のアトランタ(アメリカ)大会は7時間、前々回のバルセロナ(スペイン)大会は13時間と時差が大きく、競技の生中継が深夜に及び、テレビで観戦するのは大変でした。しかし、今回のシドニーでは時差は日本より2時間早いだけで、生中継が深夜に及ぶことはありませんでした。しかし、平日の日中の競技は働く人や学生にとっては視聴しにくい中継もあったでしょう。

 では、オリンピック中継はどれだけテレビで視聴されたのでしょうか。関東地区のデータでご紹介します。

 ビデオリサーチが1962年に関東地区で視聴率調査を開始して以来、夏季オリンピック大会は1964年の東京大会から10回開催されていますが、東京大会当時は現在と視聴率集計の仕様が異なるため、1968年の第19回メキシコ大会からの大会平均視聴率をご紹介します【図1】。時差の問題や中継競技、日本選手の参加競技や戦績など、様々な状況が大会によって異なるため、単純な比較はできませんが、前回のアトランタ大会と比較すると、今回のシドニー大会は放送分数はやや少なくなっています。平均視聴率でみると、全番組平均ではアトランタ大会よりやや高くなっています。競技の多くが日中に生中継されることが多かったためか、夜間の平均視聴率は民放の平均では前回より低くなっていますが、夜間以外の放送ではNHK・民放とも前回より高くなっています。

 では、シドニー大会期間中、テレビはどのくらい視聴されたのでしょう【図2】。今大会は深夜の中継は地上波ではあまりなかったため、6~24時と19~23時の平均総世帯視聴率をみてみました。大会期間の9月15日(金)~10月1日(日)の17日間の6~24時平均は47.7%、19~23時平均は70.1%でした。大会終了後の10月2日(月)~10月15日(日)の2週間を通常週(以降、通常過と表記)として比較すると、6~24時平均で4ポイント、19~23時平均で2ポイント高くなっており、夜間に比べ日中の視聴が高かったことがわかります。

【図1】夏季オリンピック大会平均視瞳率

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※夜間の番組とは19:00~ 22:59の間に放送が開始された番組

※大会平均は開会式放送日(9/15)から閉会式放送日(10/1)までの期間で算出。(但し、開会式前9/13&14に放送されたサッカー男子予選番組も含む)

※ NHK:NHK総合+NHK教育 民放:民放5局計

【図2】シドニーオリンピック期間中の経世帯視聴率

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 特に、土曜日・日曜日は日中にマラソンやサッカー・野球など人気競技があったためか、通常週より6~24時平均で8ポイントも高くなっています。

 次に、一人あたりのテレビ視聴時間でみてみましょう【図3】。6~24時の18時間においての大会期間中一人当たりの平均視聴時間をみると、4時間15分と通常週より多くなっています。性年齢別にみると、未成年や若い女性の視聴時間はあまり差がみられませんが、その他の年齢層では視聴時間が大幅に増加しており、特に男性50才以上では約50分増加しています。もちろん、テレビ視聴時間の増加分がすべてオリンピック中継の視聴かどうかは、このデータからは言いきれません。この期間中、巨人がセ・リーグでの優勝を決めていますが、その他には、特に大きな事件事故、テレビ番組の特別番組などはあまりみられず、かなり多くの人がオリンピック中継をみたことが推測されます。

 ちなみに、オリンピック中継・ハイライト全番組(261番組)を、それぞれ放送分数の1/3以上見た場合を「視聴した」と判定して、どれだけ多くの世帯が「視聴した」かをみると、98%の世帯が少なくとも1度はオリンピック番組を視聴したという結果がでました。非常に多くの人がオリンピックに関心を持っていたと言ってよいでしょう。

【図3】シドニーオリンピック期間中の1日(6~24時)当たりのテレビ視聴時間

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 では、シドニー大会でよく視聴されたのはどのような番組だったのでしょう。【図4】をみると、今回の大会で最高視聴率だったのは9月23日(土)に放送されたサッカー男子準々決勝の日本対アメリカ戦の後半で42.3%でした。この試合に準決勝進出がかかっていたことに加え、この日は土曜日かつ秋分の日だったこと、また、試合展開も同点で延長戦・PK戦へと進みハラハラさせる展開だったことなどから、多くの世帯がこの中継を見たようです。日本の負けが決定したPK戦の終盤では、最高毎分視聴率は52.2%を記録しました【図5】。なお、この準々決勝を放送した時間(前半後半およびハーフタイム時のニュース放送を含む)の総世帯視聴率(HUT)は73.0%で、前4週平均視聴率の61.1%を12ポイント上回りました。 次に高かったのは、高橋尚子選手が金メダルを獲得した女子マラソンの中継で、40.6%でした。レースが日曜の朝7時スタートだったにもかかわらず、スタートから視聴率は20%を越えゴール直後には毎分視聴率は59.5%を記録しました。放送時間の総世帯視聴率は58.5%と、前

4週平均視聴率の44.7%より約14ポイント上回りました。【図5】。

 このほかには、野球予選の最後の試合となった日本×アメリカ戦や田村亮子が金メダルを獲得した柔道決勝、開会式、閉会式など注目を集めた競技や中継が高視聴率を記録しています。

【図4】シドニーオリンピック 高視聴率番組10

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※主な競技内容は、局発表の放送予定兢技に準じていますので、実際の放送とは異なる蛾合があります。

【図5】サッカー男子準々決勝・女子マラソン 毎分視聴率

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【図6】サッカー男子準々決勝・女子マラソン視聴分数分布

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オリンピック中継の視聴率で高視聴率を記録したサッカー男子準々決勝、女子マラソンがどれだけ多くの世帯でみられたかを視聴分数の分布でみてみましょう【図6】。

サッカー男子準々決勝の前半・後半(中断ニュース含む)を、ほんの少しでも視聴した世帯は7割ありました。放送の2/3未満と視聴の短かかった世帯も2割いますが、放送の2/3以上と視聴の長かった世帯も全体の約3割みられます。185分の放送に対し、視聴世帯の平均視聴分数は98分と放送の半分以上となっていました。

 女子マラソンの視聴分数分布もサッカーと似た結果となっていますが、長く視聴した世帯の割合がサッカーよりもやや多くみられ、視聴世帯の平均視聴分数も195分の放送に対して、108分となっていました。

 どちらの中継も放送時間が3時間を越える長いものでしたが、休日であったことと、試合・レースの展開がおもしろく、視聴者がひきつけられた結果の表れでしょう。

 さて、最近のオリンピックは、地上波だけではなくNHK衛星放送で放送も多くみられ、シドニー大会の中継・ハイライトは9月13日~10月1日では360時間以上放送されました。しかし、現段階では衛星放送が全世帯で視聴可能なわけではないので、今回は地上波の視聴状況についてみてきました。

 しかし、次回のアテネ大会の時にはBSデジタル放送・地上波デジタル放送も始まっており、オリンピック中継も、デジタルでの高画質画像、データ放送で詳細データなど今回とは異なる中継の形が予想され、視聴のされ方も今回のオリンピックとは異なる傾向がみられるかもしれません。

                           媒体調査局 調査分析部 中奥 美


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