視聴率分析手法のご紹介(6)NHK「新選組!」視聴に見る継続率~iNEX2新規メニューのご紹介~

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※本記事は2004年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 今回は、4月より正式運用を開始した弊社のネットワーク情報サービスシステム「iNEX2」におけるテレビ視聴率特別分析で新規メニューとして集計可能となった「継続率」についてご紹介します。これまでも「流入・流出」といった集計をすることで「継続率」を算出することができましたが、新規メニューとして独立して集計ができるようになったことで、皆さまの目に触れる機会も増えると思いますので、改めてご紹介させて頂きたいと思います。

 「継続率」はそれ自身に時系列的概念を内在させています。そのため視聴者が時間の経過とともにどれくらいその番組(局)を継続して視聴しているかということを明らかにすることができます「継続率」を使用する分析アプローチは大きく分けて2つあります。

     「前番組の視聴者がどれだけ後番組を見に来ているか」

     「前週の視聴者がどれくらい今週も同番組を見に来てくれたか」

これらを明らかにすることにより、番組編成などの考察にご活用頂けると思います。

 【図表1】は2004年1月18日放送のNHK総合「新選組!」から1月25日放送の「新選組!」およびこの放送時間帯と同じ時間帯(20:00~20:45)の各局の「継続率」の集計結果です(特性は世帯、視聴条件は1/3継続)。この結果をみると、1月25日の「新選組!」を前週の1月18日の「新選組!」から25.0%(a.前時点の到達率)のうち16.4%(c.重複率)の世帯が見にきました。そのため継続率(d=c÷a)は65.6%となり、65%の人が前週を見て、また今週も「新選組!」を見にきたということがわかります。日曜20時枠放送の他番組と比較すると「新選組!」は最も多くの固定視聴者を確保しているということがわかります。

<図表1

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◆データ(集計結果)の見方

 この様に、番組に対して色々考察が可能な分析手法ですが、【図表1】のデータの読み方について多少わかりにくいこともあろうかと思いますので、見方を整理してみたいと思います。【図表1】は「iNEX2-テレビ視聴率分析-特別分析(定型グラフ)-継続率<局比較>」による集計結果をアウトプットしたものです。

 集計結果は大きく4つに分けることができます。

 a.前時点の到達率=最初の時間帯(時点1)を見た人の割合

 b.後時点の到達率=後の時間帯(時点2)を見た人の割合

 c.重複率=最初の時間帯(時点1)と後の時間帯(時点2)を共に見た人の割合

 d.継続率=

c÷a×100=最初の時間帯(時点1)を見た人のうち後の時間帯(時点2)も見た人の割合

 ここでの場合(【図表2】参照)、aは1月18日20:00~20:45(時点1)の各局ごとに1/3以上(視聴条件)見た人となり、例えばNHK総合なら25.0%となります(N=593サンプル数全体)。bは1月25日20:00~20:45(時点2)の各局ごとに1/3以上(視聴条件)見た人の割合となります。cは1月18日20:00~20:45(時点1)と1月25日20:00~20:45(時点2)を共に見た人の割合、つまり両時間とも視聴した人の割合ということで重複率となります。dの継続率は、放送局ごとにどれくらい視聴者が続けてその局を見たのかを図る指標となっています。この継続率の計算方法は、ここでいうaとcとで算出された数値を元に計算します。例えば「NHK総合」の場合、aにあたる「新選組!」1月18日20:00~20:45を見た人の割合は25.0%、cにあたる、翌週も「新選組!」1月25日20:00~20:45を見た人の割合は16.4%。したがって継続率はaに対するcの割合で16.4%÷25.0%×100=65.6%となります。

<図表2

vol432_13.jpg

◆データを見る時の注意点

 「継続率」の集計結果を分析するにあたり、いくつかの注意点が存在します。以下に、その注意点を1つずつ述べていきたいと思います。

(1)集計母数の大きさ

 前項でご説明しましたが、「継続率」とはc÷a×100=最初の時間帯(時点1)を見た人のうち後の時間帯(時点2)も見た人の割合(【図表2】参照)で計算されます。つまり集計母数はa.最初の時間帯(時点1)となります。そのため「継続率」とは同じスコアであっても母数に違いがあり、比較するには注意が必要です。それはどのようなものか【図表1】を使って説明します。【図表1】のフジテレビ頂陸続率」は57.1%、NHK教育は60.0%とほぼ同じ頂陸続率」となっていますが、a.前時点の到達率(時点1)を比較しますとフジテレビ14.7%、NHK教育0.5%とそもそもの母数に差があります。あくまで、「継続率」とは前時点に対する割合のために、このように「継続率」は同じぐらいの結果になります。「継続率」を比較して分析する時には集計母数に対して注意が必要です。

(2)「継続率」における裏番組

 「継続率」においての裏番組は、時間枠に基づいて集計された結果です。つまり、今回の【図表1】でいうと1月18日20:00~20:45(時点1)から1月25日20:00~20:45(時点2)の「継続率」の集計の場合「新選組!」の時間枠ですので、他局の継続率も1月18日20:00~20:45を時点1とし、1月25日20:00~20:45を時点2としています。

そのため、その集計時間枠に他局が複数の番組を放送している時は注意が必要となります。

集計時間枠で複数の番組を放送している時は複数の番組を含む継続率となります。

(3)「継続率」における世帯内複数テレビ稜勤

 ビデオリサーチで行っている視聴率調査は、世帯内に複数のテレビがあればその複数台のテレビの視聴記録を調査します。したがって、同一時間帯に複数のテレビが稼動していた場合にはその両方が視聴したと記録されるので、実際のチャンネルの動きとは異なる、あくまでも世帯を単位とした視聴の動きが「継続率」として集計されます。したがって1つの世帯がいくつもの局の継続に該当するということが起こります。

(4)「継続率」における視聴判定について

 「継続率」において視聴判定が1/3以上だとその時間帯に複数の局を視聴したという人(世帯)が出現してしまいます。これは「(3)「継続率」における世帯内複数テレビ稼動」と同じ問題、現象によるものです。そのためひとりの人(1つの世帯)がいくつもの局の継続パターンに該当するということが起こります。

◆データを読んでみる 一継続率の高い番組一

 「継続率」についてその集計内容やデータの見方・注意点についてご説明をしてきました。最後に前週からの継続率が高い番組、つまり固定視暗者の占める割合が多い番組がどのような番組なのか、データを扱う際の注意点を踏まえながら見ていきます。

<図表3

vol432_14.jpg

 【図表3】は1月12日(月)~2月1日(日)の3週間の日本テレビ~NHK総合における19時~22時放送レギュラー番組の1週目と2週目、2週目と3週目の「継続率」を平均し、「継続率」が高い番組を上位から20番組、そして「継続率」が低い番組を下位から20番組を抜き出したものです。期間はレギュラー番組で比較したいため、特別番組やスペシャル番組の放送が少ない3週間を選びました。また、特別番組などがあった時は、その週は集計対象から外しています。

 表をみると最も継続率が高いのは、テレビ東京「ポケットモンスターAG」の72.5%、続いて日本テレビ「火曜サスペンス劇場」となっています。番組ジャンル別にみると上位20番組では「アニメ」が8番組、「ドラマ」が7番組と多くなっています。「アニメ」にしても「ドラマ」にしても、次週に内容が続く構成になっていますから、その「継続率」は「その他の娯楽番組(バラエティ番組など)」や「映画」、「教育・教養・実用」といった番組ジャンルに比べて、高くなる傾向があることがわかります。このように各番組の特性を加味しながらデータを読み込んでいくことが重要です。

 次に「継続率」の下位20番組を見ていきましょう。その内訳を番組ジャンル別に見ていくと、「その他の娯楽番組レヾラエティ番組など)」が10番組、「教育・教養・実用番組」が4番組、内容により「番組ジャンルが変化する番組」が4番組、「映画」、「ドラマ」が1番組ずつと、毎回内容が変化する番組ジャンルが多く見られます。

 さて「継続率」の高い番組と低い番組の世帯告期恵率を比較してみると「継続率」が高くても世帯視聴率の低い番組、あるいは「継続率」が低くても世帯視聴率の高い番組があることがわかります。「継続率」と「世帯視聴率」、この両者の関係はもっと深く分析していことが必要と思われます。

◆最後に

 今回の分析から「継続率」が高い番組にはドラマ、アニメといった番組ジャンルが多いことがわかりました。また、「継続率」が高い=固定視聴者がいる、ということではあるのですが、必ずしも「継続率」の高い番組=「高視聴率番組」ではないようです。しかし、「継続率」が高いということは、毎回同じ視聴者がテレビの前にいる、つまり毎回同じターゲットに到達する番組ということに他ならなく、量だけではなく番組がどのように見られているかを表す1つの指標と考えることもできます。

 この度「継続率」は「iNEX2」におけるテレビ視聴率特別分析の新規メニューとしてお手元で簡単に集計可能となりました。是非広く皆さまにご活用頂きたいと思います。

                        (メディア調査局テレビ調査部 浅野剛司)

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