視聴率実践講座 ~ その7 ~「高齢者あり・なし」「未就学児あり・なし」で見る流入流出分析

VRDigest編集部
VRDigest編集部
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

※本記事は1997年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

第2章 流入流出分析 つづき

前号では、いきなり具体的事例からの説明となったことをご容赦下さい。読んで頂いてお気付きのかたも多かったと思いますが、"流入流出"も"累積"タイプの分析手法のひとつなのです。分析対象として設定した2つの時点の局間のすべての視聴関係を把握することができるものが、"流入流出"分析の特徴なのです。前号では、作表の中心に置いた局から他局への関係のみ示させて頂きましたが、実際のデータアウトプットは表1の形で出てきます。

vol353_18.jpg

 前号では、朝のテレビ視聴の立ち上がり状況について差があると考えられる「高齢者あり」と「高齢者なし」の世帯に分けて、そしてもうひとつ、育児代行タイプの番組が多い夕方のNHK教育の視聴の流れを「未就学児あり」と「未就学児なし」の世帯に分けて集計してみました。特に後者の事例は、母親が夕方の忙しい時間帯にNHK教育テレビに子供を預けている姿がうかがえるデータと言えるでしょう。

 特に編成マン向けの分析手法であることの理由はもうひとつあります。分析の時点設定を工夫することにより、番組宣伝の打ちどころの有力な手掛かりを得ることが出来るのです。例えば、テコ入れしたリニューアルバラエティ番組の内容を多くの世帯に知らしめたいという目的の場合で説明しましょう。番組内番宣で到達しない世帯(人)に対して、リニューアルアナウンスしたいということになります。具体的には、このバラエティ番組を見ていない世帯が見ている自局(他局という訳にはいきません)の番組、もしくは前後のステプレに番宣を投入すると効果的ということになります。流入流出分析で、このバラエティ番組に対しての視聴が"OFF"の世帯(人)からの視聴流入が多い番組への番宣投入が効果的ということになります。

さて、流入流出分析のもうひとつの代表的な使用方法をお知らせします。これは、番組制作者向けのデータとなります。「前週から翌週へ」(ベルト番組の場合は「前日から翌日へ」)というパターンのものです。前週の番組視聴世帯(人)の翌週への継続視聴状況を見ることを目的とするものだからです。R&F分析の速報的な意味合いを含め、他局との視聴率のやりとりが一覧できるものです。

■事例紹介

それでは具体的な分析事例紹介として、1日に2回放送されているNHKの「おかあさんといっしょ」の「未就学児あり」世帯のデータを見てみることにしましょう(図1)。夕方の再放送の到達率が20.4%と、朝に比べて高くなっています。夕方の再放送への朝からの視聴世帯の流入状況をみると、OFFの世帯から9.2%、NHK教育から5.1%、NHK総合(朝の番組到達世帯)から4.1%の順となっています。朝のNHK教育のこの時間帯はアニメが放送されており、OFFからの流入の多さとともにうなずける結果といえます。注目すべきは、朝夕ともに番組を見ている世帯が多いことです。幼い未就学児が成せる業ということでしょう。そしてこのデータは、朝のNHK教育のアニメの番宣の打ちどころを示させるものでもあるのです。夕方の「おかあさんといっしょ」再放送の番組の中、又は前後に朝のNHK教育アニメの番宣を投入することにより、朝のテレビセット「OFF世帯」に対して、番組を知らしめる可能性があることを示しているのです。

次に、「毛利元就」の事例を見てみることにしましょう(図2)。まず、当週の番組視聴世帯の翌週への継続率が75.4%と高いことが挙げられます。連続ストーリー系の番組を分析すると、視聴率の高低にかかわらず継続率は高いことが一般的には多いのですが、「毛利元就」も事例に漏れないようです。この「毛利元就」の分析の場合は、自局の継続率が高く、よって他局との流入流出関係もあまり大きく発生していませんが、一般的には、裏番組との流入流出の"やりとり"を観察することにより、競合する番組を見つけるための分析手法でもあるのです。

そして流入流出のデータ発生条件を説明させていただくことにします。あくまでも"世帯の流入流出分析"ですから、すべてのテレビセット同士の動きがカウントされます。当週に1台目のテレビでA局を、2台目のテレビでB局を見て、翌週1台目のテレビでA局を、2台目のテレビでC局を見たとします。すると、テレビセット毎に図3のような関係が生まれます。

 A→A〔自局の継続〕

 A→C・B→A・B→C

  〔当週からみた他局への流出・翌週からみると他局からの流入〕

ということになります。

vol353_19.jpg

vol353_20.jpg

vol353_21.jpg

(本社 テレビ調査部 加納永一)

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!