クラウドとは?
オンプレミスとの違いからメリット・デメリットまで解説
公開日:2025年12月1日

「クラウドってよく聞くけど、どんな仕組みで、導入するとどんなメリットやデメリットがあるのだろう?」「自社にクラウドを導入したいけど、具体的にどう進めればいいのか分からない」
このような疑問を抱く方は少なくないでしょう。
クラウドとは、インターネットを経由し、サーバーやストレージなどのITリソースを必要なときに利用できる仕組みです。コスト削減や柔軟性向上などの利点がある一方で、セキュリティやコスト管理の注意点もあります。
本記事では、クラウドの基本から仕組み・種類、メリットとデメリット、代表的な活用事例、導入の進め方まで体系的にご紹介します。クラウド導入を検討するための基礎知識を効率よく得られますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1.クラウドとは
- 2.クラウドの仕組みと種類
- 3.クラウドのメリット4選
- 4.クラウドのデメリット・課題と対策
- 5.クラウドの代表的な活用事例
- 6.クラウド導入の進め方
- 7.まとめ
1.クラウドとは
クラウドとは、インターネット経由で提供されるコンピュータリソースやサービス全般を指します。
サービス利用者が物理的な機器や設置場所を確保することなく、サーバーやストレージ、ソフトウェア、アプリケーションなどのITリソースをネットワーク経由で利用できるサービス形態です。
また、PCやスマートフォンなどの端末とインターネット接続環境さえあれば、サーバー管理や設備投資を必要とせず、サービスを利用できます。
従来のオンプレミスとの違い
先述の通り、クラウドはサーバーを自社で持たずに、インターネット経由でサービスを利用する方式です。一方、オンプレミスは自社内にサーバーを設置し、社内で管理・運用する方式です。
主な違いは以下の通りです。
| 項目 | クラウド | オンプレミス |
|---|---|---|
| サーバー | インターネット経由で利用 | 自社設備に設置・管理 |
| 管理・運用 | ベンダー | 社内 |
| コスト | 初期投資が少ない 運用コストが変動 |
設備投資や保守費用が大きい |
| スケーラビリティ | 柔軟に規模を拡大縮小できる | 物理制約があるため拡張は困難 |
| 通信 | どこからでもアクセス可能 | 社内ネットワーク内で利用 |
代表的なクラウドサービス
昨今では、さまざまな企業がクラウドサービスを提供しています。以下はシェア率が高い主要クラウドサービスです。
| サービス | 特徴 |
|---|---|
| AWS(Amazon Web Services) |
|
| Microsoft Azure |
|
| Google Cloud(Google Cloud Platform) |
|
2.クラウドの仕組みと種類
クラウドは、インターネットを通じて必要なITリソースを利用できる仕組みであり、その背景には高度な技術と多様なサービス形態があります。ここでは、クラウドの仕組みと、種類の違いについて解説します。
クラウドの仕組み
クラウドの仕組みの根幹にある技術は「仮想化」です。
仮想化とは、一台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを稼働させ、リソースを柔軟に分割・管理する仕組みを指します。
必要な時に必要なだけリソースを利用し、実際に使用した分だけ料金を支払う従量課金型が一般的です。
クラウドの種類
クラウドサービスは大きく「IaaS」「PaaS」「SaaS」の3種類に分類されます。
IaaS(Infrastructure as a Service)
サーバーやストレージなど、ITインフラを提供するサービスモデルです。利用者は仮想マシンやストレージ等のリソースを、必要に応じて柔軟に拡張できます。
PaaS(Platform as a Service)
アプリケーション開発や実行に必要なプラットフォーム(OSやミドルウェア)を提供するサービスモデルです。利用者は開発環境を構築する必要がなく、アプリケーション開発や運用に集中できます。
SaaS(Software as a Service)
ソフトウェア自体をインターネット経由で提供するサービスモデルです。利用者はアプリケーションをインストールすることなく、すぐに利用できます。
3.クラウドのメリット4選
クラウドの主なメリットを4つ解説します。
- 初期費用を抑えられる
- 利用量に応じた従量課金
- 拡張性が高い
- 最新技術(AI・データ分析基盤)を迅速に利用可能
メリット1:初期費用を抑えられる
クラウドは、物理的なサーバーや機器を購入せずに利用できるため、導入時に高額な設備投資やシステム構築が不要です。
また、多くのクラウドサービスは初期費用が無料、もしくはわずかな設定費用で済むケースが大半です。
一部サービスでは契約や初期設定に費用が発生する場合もありますが、オンプレミスに比べて大幅に費用を削減できます。
メリット2:利用量に応じた従量課金
クラウドの料金体系は、必要な分だけ利用し、使った分だけ料金を支払う「従量課金型」が一般的です。具体的には、CPU稼働時間やストレージ容量、データ転送量などのリソースに応じて料金が決まります。
この料金体系により、小規模事業やテスト導入、需要の変動が大きいサービスでも、コストを最適化できます。無駄な支出を防ぎ、投資対効果を最大化できる点も、クラウドのメリットの一つです。
メリット3:拡張性が高い
クラウドは、利用開始後もCPU・メモリ・ストレージなどのリソースを自由に増減できます。事業拡大やアクセス急増にも柔軟に対応しやすく、安定したサービス提供を継続できるでしょう。
また、短期的なキャンペーンや繁忙期の処理負荷が増えた場合でも、必要な時に必要な分だけリソースを追加できます。オンプレミスのように物理的制約に縛られず、スピーディな拡張が可能です。
メリット4:最新技術(AI・データ分析基盤)を迅速に利用可能
クラウド事業者は、AIやビッグデータ分析、機械学習、IoTデータ分析などの最新技術をサービスとして提供しています。
たとえば、Microsoft Azureの「Azure Machine Learning」や、Google Cloudの「Vertex AI」、AWSの「SageMaker」などを利用すれば、専門的な開発環境を構築せずにAIモデルの学習・運用を行えます。
またクラウドは、AIや機械学習、データ分析などの高度な処理を支える「基盤」としても活用可能です。
なお、AWS、Azure、Google Cloudといった大手クラウドサービスは、AI・データ分析・セキュリティ・分散処理などの機能を継続的にアップデートしているため、常に最新の環境で利用できます。
4.クラウドのデメリット・課題と対策
続いて、クラウドの以下2つのデメリット・課題と対策を解説します。
- コスト管理の難しさ
- セキュリティ面の懸念
デメリット・課題1:コスト管理の難しさ
クラウドでは従量課金が基本であるため、利用量や処理量が増えると毎月のコストが膨らむ可能性があります。
特に、新たなサービスの追加時や、データ転送量が増加した場合には、それに応じた費用が発生する傾向があります。また、既存システムとの連携時には、API連携費用や通信費などの追加コストが発生するケースもあるでしょう。
また、コストが変動しやすいため、予算管理が困難になる点もクラウドの課題です。
対策としては以下を実践しましょう。
- 従量課金の料金体系を事前に把握し、上限設定や社内運用ルールを明確に定めておく。
- 不要なリソースや未使用サービスを定期的に棚卸しし、ストレージやインスタンスを整理して無駄な出費を抑える。
デメリット・課題2:セキュリティ面の懸念
クラウドはインターネット経由でデータをやり取りするため、不正アクセスや情報漏えいのリスクが伴います。外部からの攻撃によるものだけでなく、利用者側の不適切な設定やヒューマンエラーによる情報流出の危険も考えられるでしょう。
しかし、クラウドのセキュリティ環境は、クラウド事業者のセキュリティポリシーや体制に依存するケースが多く、自社での直接的な管理は制限されがちです。
対策としては以下の方法が有効です。
- 暗号化技術・侵入防止機能・ISO認証などを備えた信頼性の高いクラウドサービスを選択する。
- アクセス権限管理や多要素認証を導入し、操作ログの取得・監視を徹底する。
- 社内でセキュリティ教育や運用ルールを整備し、人的ミスによる情報漏えいを防ぐ。
- 生成AIを活用する場合、教師データとして扱う個人情報や機密情報はクラウドにアップロードせず、オンプレミス環境で安全に運用・併用することも重要。
5.クラウドの代表的な活用事例
本章では、クラウドの代表的な活用事例を紹介します。
業務システム
グループウェアや会計システムなどの業務システムをクラウド化することで、複数拠点の連携やテレワークの推進が容易になります。
たとえば、Microsoft 365は代表的なサービスであり、メール・カレンダー・ファイル共有などを統合的に提供します。
また、会計システムをクラウド化すれば、リアルタイムでのデータ共有や管理が可能です。社員同士だけでなく、外部の税理士との連携もスムーズになります。
このように、業務システムのクラウド化は、社内外を問わずデータや情報の共有を円滑化します。
AI/ビッグデータ分析
クラウドでは、大量データを扱うAIやビッグデータ分析に最適な基盤を提供します。
データウェアハウス(DWH)をクラウド上に構築することで、大規模データの集約・管理・分析が可能です。
また、DWHと機械学習サービスを組み合わせることで、SQLなどを用いたデータ操作からモデル作成・推論までを一貫して行えます。高度なデータ活用もスムーズに実現できるでしょう。
業界別事例
続いて、業界別事例を紹介します。
医療(電子カルテの共有)
クラウドにより、電子カルテを効率的に共有でき、必要な外部医療機関・医療従事者が迅速にアクセスできます。医療連携の質の向上につなげられるでしょう。
また、通信の暗号化(SSL/TLS)やアクセス権限の厳格な設定、多要素認証(MFA)などのセキュリティ対策を備えたクラウドを導入すれば、患者情報の安全性も確保できます。
製造業(IoTデータ解析)
クラウドは、IoTデータのリアルタイム解析を通じて、製造現場の効率化と品質向上を実現します。
たとえば、生産設備やラインに設置されたセンサーからデータを収集し、これをクラウド上で集約・分析することで、リアルタイムに異常検知ができます。
また、クラウドで稼働データを解析し、設備の振動や温度変化を検知すれば、故障の兆候を事前に把握可能です。
小売業(需要予測)
クラウド上で店舗ごとの販売傾向をリアルタイムで一元管理できます。さらに、AIによる需要予測を組み合わせれば、店舗ごとの在庫最適化と収益最大化を実現できます。
仕入れ量や販促施策の最適化は、機会損失や在庫ロスの削減にもつながるでしょう。
6.クラウド導入の進め方
最後に、クラウドの導入ステップを紹介します。
STEP01 目的と要件の明確化
クラウド導入を成功させるには、コスト削減、業務効率化、柔軟な拡張性確保など、目的を明確にすることが重要です。
まずは、現状のシステムや業務プロセスを分析し、課題や改善点を把握しましょう。その後、目的に基づき、性能・セキュリティ・可用性・規制対応といった要件を整理します。
STEP02 クラウドサービスの選定
次に、自社の目的に最も適したクラウドサービスを選定します。
複数のサービスを比較し、以下のような観点で評価することが重要です。
- 信頼性・稼働率
- サポート体制
- 料金体系・コストモデル
- セキュリティ対策
- SLA(サービス品質保証)
さらに、トライアル導入やパイロットテストを通じて、実運用に近い状況で性能や操作性を検証することが推奨されます。
STEP03 環境設計
クラウド導入においては、安定稼働とセキュリティを両立するための環境設計が欠かせません。
主な設計項目として、以下が挙げられます。
- データ保存方法とバックアップポリシー
- データの暗号化方式
- IAM(IDおよびアクセス管理)の設計
- ファイアウォールやネットワーク制御の設定
これらを明確にすることで、運用開始後のリスクを最小限に抑え、ガバナンスを強化できます。
STEP04 構築・移行
設計内容をもとに、選定したクラウド環境上で必要なリソース(仮想マシン、ストレージ、ネットワーク構成など)を構築します。
その後、既存システムやデータを段階的にクラウドへ移行し、各工程で以下を実施します
- 動作確認
- 性能テスト
- セキュリティテスト
問題が見つかった場合は修正と再テストを繰り返し、安定稼働を確保します。
STEP05 運用開始と監視体制の整備
本格的に運用を開始し、監視ツールを用いてパフォーマンスやセキュリティを常時監視します。また、障害発生時の対応手順を定め、定期的な訓練やマニュアル整備も不可欠です。
コスト監視によって異常な利用増加や障害が検知された際に、迅速に対応できる体制を整えましょう。このような対策を講じることで、クラウド環境をより安全かつ効率的に運用できます。
7. まとめ
クラウドは、場所や機器を問わず必要なリソースを利用できる仕組みであり、現代ビジネスに不可欠な基盤です。
初期費用削減・拡張性・最新技術といったメリットがある一方で、コスト変動やセキュリティリスクといった課題が存在するため、それぞれ適切な対策を講じることが大切です。
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