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ビッグデータとは?
概要から手法・活用法・成功のポイントまで徹底解説

公開日:2025年12月23日

ビッグデータとは?概要から手法・活用法・成功のポイントまで徹底解説

「ビッグデータってよく聞くけれど、結局何ができて、どう役立てられるのか、具体的な活用方法が分からない」上司からの指示に、このように戸惑っていませんか。

ビッグデータは、業務効率化や顧客体験(CX)の向上などのビジネス課題を解決し、企業の利益を高める重要な資産になります。しかし、その活用方法が曖昧で、データ活用に踏み切れない企業も少なくありません。

本記事は、データ活用に興味はあるものの、専門知識に自信がない担当者様向けに、ビッグデータの全体像を分かりやすく解説します。自社の課題解決に向けたデータ活用への具体的な第一歩にお役立てください。

目次

1.ビッグデータとは

ビッグデータとは、従来のシステムでは処理しきれないほど大量かつ多様なデータ群を指す言葉です。企業が持つ製造データ、顧客の行動履歴、SNSの投稿など、あらゆる情報が含まれます。ビッグデータを分析することで、業務効率化や顧客体験(CX)の向上につながる新たな価値の創造が可能です。

ビッグデータの5つの特徴は、「5V」と呼ばれます。当初は量、速度、多様性の「3V」でしたが、近年ではデータの品質と結果を重視し、「5V」で説明されることが一般的です。

ビッグデータの「5V」

ビッグデータの特徴を示す「5V」は、以下の要素から構成されています。

要素 意味
Volume(量) ・データの「膨大さ」を意味する。
→ビッグデータはデータの種類が豊富であるゆえに、従来のデータベースでは処理しきれないほど巨大なデータ量を持つ。
Velocity(速度) ・データの「生成・流通の速さ」を意味する。
→リアルタイムで大量のデータが発生し、やり取りが行われる。
Variety(多様性) ・データの「種類の多さ・形式の違い」を意味する。
→ビッグデータには、数値やテキストなどの構造化データだけでなく、画像・動画・音声・位置情報などの非構造化データも含まれる。
Veracity(真実性) ・データの「正確さ・信頼性」を意味する。
→ビッグデータにはノイズや誤情報も含まれており、膨大なデータの中から信頼できる情報を見極めることが課題となっている。
Value(価値) ・データが生み出す「価値の高さ」を意味する。
→ビッグデータは集めるだけは意味がなく、データを分析して新しい知見を得たり、業務改善や新しいサービス開発に役立てたりすることで初めて価値を持つ。

機械学習を支える基盤としてのビッグデータ

ビッグデータは、AIや機械学習が高精度な予測や判断を行うための不可欠な学習データ(土台)として機能します。
AIの性能は、学習に用いるデータの量と質に大きく依存します。適切な内容のデータを大量に学習させることで、分析の精度が飛躍的に向上し、人間では気づけないパターンや規則性の発見が期待できます。

2.ビッグデータの基本的な活用プロセス

ビッグデータの価値を最大限に引き出し、ビジネス上の成果に結びつけるためには、正しいプロセスを理解し、実践することが極めて重要です。データ活用のプロセスは、一般的に「収集」「蓄積」「加工」「分析(可視化)」「活用」の5つのステップに分けられます。

収集(Collect):分析の土台を築く

分析や活用の基礎となるデータを、漏れなく、かつ効率的に取得するステップです。

データ源の特定と取得

まず、分析の目的に合わせ、社内システム(販売、在庫、顧客情報など)や、外部サービス(テレビ視聴履歴、動画配信ログ、広告配信ログ、SNS、オープンデータ、気象データなど)、IoTセンサーといった多様なデータ源から、活用できるデータを特定します。
次に、API連携やログ収集ツール、Webスクレイピングなどの技術を用いて、必要なデータを定期的に取得する仕組みを構築します。

データ品質の確認

収集段階で入力ミスや欠損がないかをチェックし、初期段階でのデータの精度を確保します。

蓄積(Store):安全かつ効率的なデータ活用の準備

収集したデータを安全に保存し、必要なときにすぐ取り出せるように整理するステップです。

データベースの構築

形式が整っている構造化データはRDB(リレーショナルデータベース)、形式が定まっていない非構造化データ(画像、テキストなど)はNoSQLといった柔軟なデータベースやデータレイク※を活用します。

※データレイク:さまざまな形式の大量データを、そのまま保存できる大容量のデータ保管システム。

整理とセキュリティ管理

ファイル形式や命名規則を統一し、検索しやすい状態に整理します。さらに、アクセス権限の制御、暗号化、バックアップなどの対策を講じ、データの安全性を確保します。

加工(Process):データを分析するための前処理

取得したデータは、そのままでは分析に使えません。データを分析可能な形に整え、意味のある情報として使える状態に加工する必要があります。すべての活用プロセスの中で、加工のプロセスは最も時間を要するといわれています。

データクリーニング

分析品質を高めるために、欠損値補完、重複削除、外れ値処理などの作業を行います。

データ変換・統合

異なるシステム間で項目名や単位が違う場合に、これらを統一して分析の基盤となるデータの整合性を保ちます。加工の質が分析の精度を大きく左右するため、この工程の徹底が不可欠です。

分析(可視化):データから知見を引き出す

加工したデータを分析し、その結果をグラフや図表などで直感的に理解できるようにするステップです。

統計的解析とモデル構築

分析目的に最も関連性の高いデータ変数を選び出し、平均や相関などの指標や統計手法を用いて、データ間の関係性や傾向を定量的に把握します。さらに、AIなどを用い、将来の数値予測やデータの自動分類を可能にする予測・分類モデルを構築します。

分析

意思決定を促すことができるようなデータ分析や可視化を行うことが、この工程の鍵です。「誰が・何のために見るのか」を意識したデザインを取り入れましょう。

活用(Utilize):行動変化につなげる

活用は、分析・可視化で得た知見を実際のビジネス改善や新しい価値創出に結びつける、最終かつ最も重要なステップです。

意思決定への反映

分析結果は、需要予測に基づくコンテンツ制作や広告配信の最適化、および顧客分析に基づくマーケティング施策の立案など、具体的な意思決定に反映させます。

自動化・最適化

分析結果をもとに、AIなどを活用し、業務の自動化や最適化を進めます。データ活用の最終目的は「行動変化」です。分析結果を現場に定着させ、継続的な改善を支える仕組みづくりを構築することが、成功の鍵となります。

分析・活用の際の詳細な手法は、以下の記事もあわせてご確認ください。

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「膨大なデータを集めても、実際の業務改善や成果にどうつなげればよいのか分からない」そんな悩みを抱える担当者は少なくありません。AIやBIツールを導入したものの、分析結果が共有されず、形だけの「データ活用」に終わってしまうケースも多く見られます。

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ビッグデータ分析という言葉を耳にする機会が増えた一方で、「どのような分析をすればビジネスに役立つのか分からない」「データを整えるだけで時間がかかる」と悩む方も多いのではないでしょうか。

3.ビッグデータの活用事例

ビッグデータは、さまざまな分野でビジネス課題の解決に利用されています。ここでは、自社のデータ活用を考える際のヒントとなる、具体的な活用事例を解説します。

事例1. 小売/飲食チェーン

小売チェーンや飲食チェーンでは、世界中の店舗や会員アプリから得られる膨大な購買データを分析しています。

活用ポイント

大量の取引データや顧客データを対象にして、購入のタイミング、頻度、商品傾向などを分析します。これにより、個々の顧客に対するパーソナライズされたマーケティングを実施できるようになります。

成果

ユーザーの来店・購買履歴に基づいて最適なクーポンを配信したり、再来店を誘導したりすることで、顧客の関与度(来店頻度や購入量)が向上し、売上増加に貢献しています。

事例2. エンタメ/動画配信サービス

動画配信サービスといったエンタメ業界では、視聴者の行動に関する多様なデータを収集・活用しています。

活用ポイント

視聴履歴、クリック、検索キーワード、視聴時間、利用デバイスなどのデータを取得します。これにより、どの作品がどの顧客層に、どれだけの時間視聴されているかを深く分析できます。分析して得られたデータは、視聴者の維持率向上や解約防止、新しいコンテンツ制作時の視聴傾向の見極めに活用可能です。

成果

分析結果を基に、視聴者ごとの推薦アルゴリズムを最適化し、一人あたりの視聴時間を延長させています。また、市場のニーズに合った独自コンテンツの開発にもつながっています。

さらに具体的な活用方法や成功事例は、以下の記事をあわせてご確認ください。

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4.ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータ活用のメリットは、従来のデータ分析には無い「精度の高さ」と「リアルタイム性」です。これらは、データドリブンな意思決定の推進に不可欠な要素です。

データ分析の精度向上

ビッグデータが持つ情報量は、従来のデータに比べて圧倒的に膨大です。ビッグデータならではのデータ量と多様性(Variety)を活かすことで、分析の精度が大きく向上します。

たとえば、小売業が抱える売上アップの課題に対し、商品別売上データだけでなく、気象データや人流データなど、多彩な要因を複合的に分析します。これにより、未来の数値のより正確な予測や、顧客行動の背後にある複雑な要因の特定が可能です。

分析結果の更新速度・施策への反映速度の向上

ビッグデータは、リアルタイムで生成される性質(Velocity)を活かすことで、データの傾向を瞬時に分析し、その結果を現場に反映させられます。

たとえば、車の自動運転技術では、周辺車両情報や歩行者情報といったリアルタイムのデータを処理し、車両を瞬時に制御します。この高速性を利用すれば、ビジネスにおいても、市場の変化や顧客の反応に即座に対応した施策を実行可能です。

5.ビッグデータ活用で直面する課題と対応策

ビッグデータの活用は多大なメリットをもたらします一方で、無視できない課題も存在しています。データ活用を成功させるためには、これらの課題に対して具体的な対応策を講じることが重要です。

プライバシー保護とセキュリティ対策の徹底

ビッグデータで収集される情報には、個人の趣味・思考に応じた行動結果など、プライバシーに関わるデータが多く含まれます。プライバシー侵害や情報漏洩が発生すると、企業の社会的信頼が大きく低下します。

対応策

データを収集する際は、プライバシーポリシーを作成し、利用者から同意を得ることが必須です。また、厳格なアクセス管理や暗号化の実施により、法令を遵守したセキュリティレベルを維持する必要があります。

高度な分析スキルと人材不足への対応

ビッグデータは、大量の情報を一気に取得するため、分析に必要なデータの取捨選択がしづらいという課題があります。また、分析したデータを業務改善や新しい価値創造に活かすには、単に技術的な知見だけでなく、ビジネスに対する深い洞察力が求められます。

しかし、これらの要件を満たす人材は貴重であり、すぐに確保することは困難です。

対応策

求める人材をすぐに確保するのは困難であるため、社内研修や外部講座による人材育成を進める必要があります。データ分析を専門とする外部企業との連携も有効な対応策です。

6.ビッグデータ活用プロジェクトの4ステップ

2章で説明したビッグデータの基本的な活用プロセス(収集・蓄積・分析(可視化)・活用)を自社のプロジェクトに当てはめる際は、「目的の明確化」を第一歩とし、「スモールスタート」を意識して段階的に進めることが成功の鍵となります。

目的が不明確なまま分析プロジェクトを進行すると、現場の課題と分析結果がマッチせず、費用対効果が低下してしまうためです。本章では、ビッグデータ活用を実際のプロジェクトに落とし込むための具体的な4つのステップを紹介します。

ステップ1: 解決したいビジネス課題を具体的に特定する(課題設定)

プロジェクトを始めるにあたり、何のためにデータを使うのかを明確にします。

課題の定量化とKPI設定

解決したい課題を「顧客離脱率を10%削減する」「製造ラインの不良品率を5%改善する」といった形で定量化し、その達成度を測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。

合意形成

課題の背景やボトルネックを関係部署にヒアリングし、データ活用の目的を定めて、全社的な合意を形成します。

ステップ2: 必要なビッグデータの収集・分析方法を検討する(プロジェクト設計)

課題解決の目標が決まったら、達成するために必要な手段を設計します。

データの洗い出しと設計

課題解決に必要なデータの種類(社内データ、外部データ、センサーデータなど)を洗い出し、データの粒度や期間、取得方法を決定します。既存システム(ERP、POSなど)とのデータ連携方法を明確に設計することが必要です。

仮説と体制の整備

分析仮説として「どの指標がどんな関係にあるのか」を事前に仮定します。さらに、使用するツール(データ分析ツール、データマイニングツール、ETL※ツールなど)を選定し、担当者やデータガバナンスのルールを明確化して分析体制を整備します。

ステップ3: 試験的に分析して効果を検証する(実証/PoC)

このステップでは、リソースの浪費を抑えるためにスモールスタートで分析を行い、効果を検証します。

分析と可視化

手元にあるデータや、短期間で収集可能なデータを用いて分析し、関係者に共有します。

効果の評価

設定した効果指標(KPI)の達成度や、分析結果から見えてきた改善余地を評価します。ここで効果が薄いと判断された場合は、ステップ2に戻って仮説や設計を見直します。

ステップ4: 大規模なデータ収集に移り、全社的な活用へ拡大する(展開)

PoC(実証)で効果が確認できた施策を、本格的な活用へ移行させます。

仕組みの構築と整備

データ収集範囲を拡大し、定常的にデータが更新される仕組み(ETL※や自動連携)を構築します。分析結果やAIモデルを全社で共有・活用できるように整備します。

人材育成と継続的改善

現場担当者への教育・研修を実施し、データリテラシーを向上させます。また、効果検証の仕組みを継続的に回し、KPIの達成状況をモニタリングします。データ活用の成果を経営層にレポートして、次の投資判断につなげられるでしょう。

※ETL:「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(格納)」の略。データを集めて加工し、保存する一連の処理。

7. まとめ

ビッグデータを分析して活用することで、企業の利益を高める重要な価値を創造できます。ビッグデータ活用を成功させる鍵は、高度な技術を導入することではなく、解決したいビジネス上の具体的な目的を明確にすることです。その上で、プライバシーの保護やデータ管理についてしっかり対策を立て、分析スキルを持ったデジタル人材を確保すれば、成功につなげられるでしょう。

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