注目が増すCTV広告、他社の出稿動向を調べるには~CTV広告分析事例3選~

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広告・マーケティング
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注目が増すCTV広告、他社の出稿動向を調べるには~CTV広告分析事例3選~
この記事はこんな方にオススメ!
  • 広告出稿に関わっている方
  • 動画配信プラットフォームへの広告出稿に際したデータを求めている方
  • TV・動画配信プラットフォームのような複数媒体でのプランニングを検討している方

動画配信、コネクテッドTV(以下、CTV)の浸透に伴い、テレビデバイスにおいても動画配信プラットフォームで流れる広告を目にする機会が多くなっています。

そのような変化に対応すべく、ビデオリサーチでは2025年10月より新サービス「CTV広告データ」をスタートします。他社の出稿動向の分析が難しいCTV広告ですが、このサービスではCTV広告がどの動画配信プラットフォームにどのくらい出稿されたかを自社の広告に限らず推定できるため、他社動向を踏まえた分析にもご活用いただけます。

どんなターゲットを狙っている?、どのプラットフォームで出稿している?、どれくらいの期間にわたって出稿を行っている?など、競合他社の広告出稿状況も把握いただくことで、CTV広告プランニングの判断材料としてお使いいただけるのではないでしょうか。
本記事では「CTV広告データ」による競合分析事例を3つの視点から紹介していきます。

本記事で紹介しているサービス【CTV広告データ】

1. 分析の前提条件

本記事では「CTV広告データ」による競合分析の事例について、以下のようなシーンを仮定して紹介いたします。

飲料メーカーであるA社は新発売する商品の宣伝を目的にCTV広告の出稿を行いました。出稿条件は以下の通りです。

目的:新商品の認知の獲得
期間:2025年7月の1か月間
配信する動画配信プラットフォーム:動画配信プラットフォームA・B・C・D・Eの計5プラットフォーム
ターゲティング:動画配信プラットフォームBでの出稿は「女性35-49歳」でターゲティング

この自社広告の出稿期間中に社内であがった「競合のB社の広告を目にした」との情報を受け、自社の出稿状況の確認とあわせて競合動向を調べるべきと判断しました。

以上の背景より、自社ならびに競合であるB社の出稿状況の確認を目的に、「CTV広告データ」を用いて分析を行うことにしました。

※今回の対象とした広告主、広告の特定を避けるため、一部スコアを実際値から変更して記事内に掲載しています。

2. 分析例①:狙ったターゲットに届いている? 特性別の推定広告出稿状況で分析

動画配信プラットフォームBで出稿した広告は「女性35-49歳」でターゲティングを行いましたが、狙ったターゲットにどのくらいの割合で届いているのでしょうか?
「CTV広告データ」ではCTV広告がどんな人にどれくらい届いたのか、届いた人の性別・年代をベースに、期間内に広告が届いた人数を確認いただけます。

ではA社(自社)、B社(競合)のCTV広告について、動画配信プラットフォームBでの広告出稿状況を見てみましょう。共視聴を含めて期間内に広告が届いた人数(同一サンプルの複数回視聴は複数人数としてカウント)のうち、それぞれの性別・年代が占める割合を【図1】にまとめました。

動画配信プラットフォームB延べ視聴人数に占める各属性の割合

はじめに自社A社の結果を見ると、すべての広告接触のうち狙っているターゲットへの接触の割合、オンターゲット率は54.5%、その次に割合が高いのは「女性50-64歳」でした。

つづいて競合であるB社の結果を見ると、「女性35-49歳」が占める割合は35.1%と自社よりも低いことが分かります。B社の広告クリエイティブを見ると、B社の出稿している広告は自社と同様の層をターゲットとしているように見てとれました。この仮説が正しいとすると、自社と比べB社のオンターゲット率は低いことが推察できます。
それに加えて、自社広告では占める割合の低い「女性65歳以上」、一切届いていない「女性20-34歳」の割合が高いなど、年齢を問わず女性の割合が高いことが分かりました。

以上の分析を通じて、自社が出稿した広告は狙ったターゲットに届いているのか確認すると同時に、他社はどんなターゲットに対して広告出稿を行っているのか推定することができました。

3. 分析例②:どこに出稿する? 動画配信プラットフォームごとの推定広告出稿量で分析

分析例①では出稿した広告が狙ったターゲットに届いているのか、競合であるB社が誰をターゲットにした出稿を行っているのか分析を行いました。
ではこの広告出稿はどの動画配信プラットフォームで行われたのでしょうか。

2025年7月の1か月間においてA社、B社それぞれの広告が各動画配信プラットフォームでどのくらいの人に届いているのか、その延べ人数を【図2】にまとめました。

動画配信プラットフォーム別 延べ接触人数

【図2】を見ると、A社(自社)、B社(競合)ともに動画配信プラットフォームEでの出稿が多いことが分かります。B社は動画配信プラットフォームEでの出稿が際立って多く、その他のプラットフォームでの出稿は少ないです。
一方、自社は分析例①でも取り上げたプラットフォームBにおいても、プラットフォームEのおよそ半分の出稿があることが見てとれます。

今回のキャンペーン期間中、自社におけるプラットフォームBとEの平均CPMは同程度であったことを踏まえると、競合であるB社はプラットフォームEでの出稿により大きな予算をかけていそうだと推察されます。

このようにプラットフォームごとの広告出稿状況を比較することで、特定のプラットフォームに対する出稿の強化、あるいは他社の出稿が少ないプラットフォームへの出稿など、プラットフォームごとの出し分けの検討材料にするのみならず、自社の予算をもとにした他社の予算の推定もできます。

4. 分析例③:どのくらいの期間出稿する? 広告が届いた人数の推移で分析

2025年7月の1か月間のCTV広告出稿について、分析例②にて前述したとおり競合B社は動画配信プラットフォームEでの出稿が他のプラットフォームと比べ際立って多くなっています。ではこの1カ月間をもう少し細かく見ていくと、B社の広告出稿状況はどのような推移をたどったのでしょうか?
B社について、広告が届いた延べ人数の日次推移をまとめたのが図3になります。

B社 プラットフォーム別延べ接触人数日時推移

図3をみると、B社の動画配信プラットフォームEへの出稿は7月1カ月間を通じて切れ目なく行われていることが分かります。特に7月下旬を見ると、7月中旬まではほとんど一定の量で見られていたプラットフォームBでの広告接触も見られなくなり、広告接触が見られたのはプラットフォームEのみとなっています。

今回は7月の1カ月に絞った分析を行いましたが、8月以降も継続的にB社の出稿を追っていくことにより、B社がプラットフォームEでの広告運用に手応えを感じて続けているのかどうか、さらなる深堀りができそうです。

ここまで自社および競合B社の広告について、①どんなターゲットに、②どの動画配信プラットフォームで、③どのくらいの期間を通じて出稿が見られるか分析を行いました。
自社の出稿結果を確認することでキャンペーンを通じての広告運用を評価し次のプランニングへと活かすことはもちろん、他社の出稿状況から読み解ける狙いや成果をもとに、自社のプランニングを見直す判断材料にできるのではないでしょうか。

さいごに

今回は「CTV広告データ」を用いた分析例をご紹介いたしました。
「CTV広告データ」はテレビCMの情報をもとに企業を問わずCTV広告のデータを網羅的に収集し、この記事で紹介した事例以外にも、CTV広告のフリークエンシー、共視聴など多様な切り口で、自社・他社問わず分析いただけます。

また、本サービスはテレビ視聴率と同一のパネルで計測を行っているため、「CTV × テレビ(放送)」のようにメディアを横断した分析にもお使いいただけます。複数メディアを統合したプランニングを行う際などに、本サービスを用いた出稿分析を行うことで、キャンペーンを通じてのメディア選定の判断材料にしていただけるのではないでしょうか。

ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。

本記事で紹介しているサービス【CTV広告データ】

【本記事で紹介したサービス】
●サービス名:ビデオリサーチ「CTV広告データ
●集計対象期間:2025年7月1日(火)~2025年7月31日(木)
●集計対象地区:関東地区

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