【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】声を通じて、心とつながる~レディオキューブFM三重『今夜はとくに眠れない~学校へ行けない君へ~』代田和也アナウンサー~

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【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】声を通じて、心とつながる~レディオキューブFM三重『今夜はとくに眠れない~学校へ行けない君へ~』代田和也アナウンサー~

ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO  第90回


今回はレディオキューブFM三重のアナウンサー、代田和也さんに話を伺いました。代田さんは昨年9月1日、日曜24時から1時間の生放送の特別番組『今夜はとくに眠れない〜学校へいけない君へ〜』を放送。

代田さんが不登校だった時の経験を話したり、リスナーから寄せられたメッセージを紹介しました。今年の5月4日には続編『今夜はとくに眠れない~生きづらさを感じる君へのメッセージ~』を放送して再び大きな反響を呼びました。

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代田アナは中学時代に不登校になりました。ある朝のこと。突然、学校に行きたい気持ちが失せてしまいます。車で学校に送ってもらいますが、どうしても車から降りて学校に行く気になれず、そのまま休みます。その日以降、学校に行かなくなりました。

代田さんご自身、不登校だった時はラジオで寂しさを紛らわせていたそうです。少し自信が持てずにいたこともあり、ラジオはキラキラした流行にハマれなかった人にも救いの手を差し出している気がして、ラジオの雰囲気にハマったとのことでした。

やきそば 『今夜はとくに眠れない』の初回の放送は、大方のお子さんにとって夏休み最後の日の放送だったわけですが、日曜の24時からという放送時間も良かったと思いました。

代田アナ 日曜は放送機器のメンテナンスのため、NHK以外のラジオ局は放送休止になりますよね。「本日の放送を終わります」というアナウンスがとても寂しかったので私も中学の頃から「日曜の深夜に生放送があったら嬉しいのに」と思っていました。それで『今夜はとくに眠れない』をこの時間に放送しているところもあります。

やきそば 代田さんが話している時に、BGMをかけないところも話に集中できて良いと思いました。

代田アナ 深夜放送っぽい雰囲気にしたかったのと、言葉を届けるにはBGMはないほうがいいのでは、と思ったんです。

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▲5月放送『今夜はとくに眠れない』の生放送終了後

自分の経験を率先して話す

やきそば 『今夜はとくに眠れない』はこれまでに2回放送されましたが、反響はいかがですか?

代田アナ 大人のリスナーの皆さんの声がとても多くて、体験談を送ってくれる方や、番組を高く評価してくださる方も多いです。聴いた方から反応があるのはとても嬉しいです。

やきそば 代田さんが率先してさらけ出すことで、ほかの方も体験談を送りやすくなるんでしょうね。

代田アナ 「居場所ができたら変わる」「大人になれば世界が広がっていく」といった背中を押す声をいただきました。子どもによっては未来に輝いている自分が想像しにくいかもしれませんが、大人が声をかけることが大事なことを改めて感じました。

ただ、せっかくなので、もっと子どもたちに届いてほしいという願いもあります。これは今後の課題です。

イメージの変化

やきそば 昔は学校に行かない生徒は「登校拒否」と呼ばれていて後ろむきな印象がありましたが、以前に比べるとイメージが随分変わりましたよね。

私が学校に通っていた40年前は「登校拒否=負けた人」という印象があって、休みにくい雰囲気がありました。私も学校で浮いた存在だったので、休みたくても歯を食いしばって通っていたのを覚えています。

代田アナ 私の時代(代田さんは現在40歳)もまだ「登校拒否」と言われていて、学校に行っていない人は圧倒的にマイノリティでした。ただ、親はあまりきつく言わなかったんです。

私は人口が3000人ほどの小さな村の出身で、私自身は気にしていなかったけど、おそらく親はまわりの目をとても気にしていたと思います。

やきそば 「学校に行かないといけない」というプレッシャーをかけられないのはとても大事ですよね。難しいところではありますが。

代田アナ そうなんです。当時、私はラジオの深夜放送も聴いていて、昼夜逆転したような自由な時間を過ごしていました。

やきそば 不登校になる要因はさまざまでいじめられて行かなくなる人ばかりではないのに、「不登校=いじめられたから」というイメージが強いのも難しいところですね。

代田アナ 私も決していじめられていたわけではありません。学校に足が向かなくなった明白な理由も分かりません。いじめを直接受けていない人が不登校になるケースとしては、クラスでいじめが起きているなかでプレッシャーのようなものを感じて、心が苦しくなって不登校になる例もあります。

企画に込めた思い

代田さんは担当していた夕方のワイド番組『ゲツモク!』のなかで、月に一度「不登校を考える」というコーナーを6年間にわたり放送しました。番組ではNPO法人フリースクール三重シューレ代表の石山佳秀さんに話を伺いました。

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▲NPO法人フリースクール三重シューレ代表の石山佳秀さんと

代田アナ 不登校のお子さんをもつ親御さんやお子さんの心に届く番組はできないだろうか、と思いながら、自分の体験談を話しました。そのコーナーをきっかけに、不登校をテーマに講演をする機会をいただくようになりました。

『今夜はとくに眠れない』はそれをベースにした企画です。私も不登校の間にラジオの面白さに出会って気持ちが救われたので、それを生かせる番組にしようと思いました。

また『つながるジカン』(月曜〜金曜 17時〜18時55分 ※代田さんは月曜と火曜を担当)では愛知県出身の漫画家、棚園正一さん※ にも話を伺いました。

※小〜中学校の9年間を不登校として過ごす。13歳の時に『ドラゴンボール』の作者、鳥山明氏に出会い、漫画家を目指すことを決意。その後、大学入学資格を取得し、名古屋芸術大学に進学。自身の不登校経験を描いた漫画『学校へ行けない僕と9人の先生』『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』(双葉社)などが大きな反響を呼んだ。不登校をテーマにした講演を全国各地で行っている。

やきそば 棚園さんが漫画家になるために美術大学に入ることを意識したら、不登校のことがどうでもよくなったという話でしたよね。

代田アナ そうなんです。不登校時代を経て活躍している方は多いので、これからもいろいろな経験者の話を届けられたら、と思っています。

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▲棚園正一さん

ラジオから呼びかけられたメッセージ

代田さんの不登校時代のこと。ある日、ラジオを聴いていると、地元の夕方のラジオ番組で「今、学校に不登校のクラスメイトがいて、修学旅行に来てほしいです」というメッセージが紹介されているのを耳にしました。

クラスメイトが代田さんに宛てて番組に送ったものかどうかは不明ですが、代田さんがラジオ好きだと知っていたクラスメイトが送ってくれたのではないかと推測。代田さんは意を決して修学旅行に参加しました。

やきそば この話は代田さんが『今夜はとくに眠れない』で話していて、とても印象に残っています。嬉しい反面、とても勇気が必要だったのではないかと思います。

代田アナ メッセージを紹介していたのが私が好きなラジオ番組だったこともあってよく覚えています。「あ、多分、自分のことだ」と思いました。

一方でジレンマも

やきそば 不登校の人数はとても増えているんですよね。

代田アナ コロナ禍を経てかなり増えています。私のように「要因は分からないけど行けなくなった」という子どもも増えています。そこは向き合っていかないといけないところです。

「学校に行った方がいい」「行かなくてもいい」という議論も大切ですが、いろいろな人の意見や体験談を紹介して参考にしてもらうスタイルで続けていく予定です。

説教くさくならず、説得力のある話を

やきそば 代田さんは『今夜はとくに眠れない』で、内容が説教くさくならないようにすると仰っていましたが、バランスをとるのは難しかったのではないでしょうか。

代田アナ 基本的には、自分の当時のリアルな話を軸にすることにしました。大人になると仕事があって、ご飯を食べることができるので、不登校の子どもたちに向けて「なんとかなるよ」と言えますが、それでは説得力がありません。

おそらく、子どもの頃の私の心にも響かないと思うんです。「未来は明るいよ」と言われたところで「そうかな」と疑ってしまいます。そのようななかで、リスナーの皆さんの体験談が寄せられたので、リアルな話が届けられたと思いながら放送しました。

大人も悩んでいる

やきそば 実は悩んでいるのは子どもだけではなく、「会社に行きたくない」と思っている大人も多いですよね。実際にそういう旨のメールも紹介していて、代田さんが「『大人だってしんどい』って言ったほうがいい」と仰っていて「まさにその通り」だと思いました。

代田アナ そうなんです。子どもも大人も同じなんですよね。そういう人の気持ちも代弁していくようにします。

やきそば ラジオを聴いていると、代田さんの優しい性格が滲み出ていますよね。代田さんは、そもそもどんな性格ですか?

代田アナ 気を遣いすぎて怒られるタイプです。優柔不断なところが仇になって話が先に進まないこともあります。人を引っ張っていく性格ではないし、心もくじけやすいです。

パーソナリティというと元気で明るい印象があるかもしれませんが、私みたいに「みんな、しんどいよね」と言う人がいてもいいんじゃないかと思っています。

やきそば おお! 共感の大切さはすごくよく分かります。

代田アナ まさに「共感」といえば、『つながるジカン』の18時台後半に「共感のジカン」というコーナーを放送しています。皆さんの仕事や学校、家族の愚痴や悩み事を"全肯定"しています。皆さんが悩みながら生きているなかで、ベクトルが違っていてもお互いに認め合うことを心がけています。

やきそば 『つながるジカン』も『今夜はとくに眠れない』もオープンにメッセージを受け付けているのが良いですね。テーマが設けてあるのもいいですが、テーマとは関係のないことは送りづらくなってしまうので...。

代田アナ その時に感じたことや伝えたいことを送ってほしいです。だから『つながるジカン』でも敢えてテーマを決めていないんです。

やきそば 「テーマがあったほうが送りやすい」という人もいると思いますが、ほかの番組と被ってしまう可能性もありますからね。

とにかくラジオの仕事に就きたくて

やきそば ではここからは定時制の高校を卒業してからラジオの仕事に就くまでのことを教えてください。

代田アナ 「専門学校 名古屋ビジュアルアーツ」(現「専門学校名古屋ビジュアルアーツ・アカデミー」)のMC・ナレーションコースに通いました。入学する前までは「ラジオコース」もあったんですけどなくなってしまいました。私は喋る仕事に就く気はなかったけど、行けば次に繋がるのではないかと思って入学しました。

ラジオ局に入る方法を知らなくて、とにかくラジオ局の雰囲気を味わいたかったんです。ラジオを聴いていると、スタジオのなかで笑っているスタッフがいますが、とにかく何らかの形でラジオの仕事に携わりたくて藁をもすがる思いでした。

やきそば そのお気持ち、すごくよく分かります!

代田アナ その後、名古屋にあったRADIO-i(愛知国際放送)でADをしたり、刈谷にあるコミュニティラジオ局、Pitch FMでディレクターとしてデビューをしたりしました。その後、ご縁があってレディオキューブFM三重に入社しました。

やきそば ラジオの仕事に就くことができて人生が変わっていったわけですね。

代田アナ そうなんです。実は私は就職試験を受けたことがなくて、「人手が足りないから」と声をかけてもらって今があります。特に仕事を始めた時はひとつひとつの仕事が新鮮でした。

なかでもレディオキューブFM三重で放送していた『radio3 ALBUM TOP 20』ではADを務めていて、アーティストや曲に関する話題を調べて台本に記していました。その番組を、今は関西で活躍しているラジオDJの珠久美穂子さんが務めていて、初めて私の原稿を珠久さんが読んだ時は嬉しくて興奮しました。

やきそば まさか、その後、アナウンサーになるとは10代の代田さんには想像もつかなかったでしょうね。「ラジオの仕事ができるなら、なんでもやりたい」という思いが身を結んでますね。

代田アナ AD、ディレクター、プロデューサー、アナウンサーなどの仕事をすることができたのは専門学校に行ったことが大きかったです。初めて担当した音楽番組で東日本大震災の話をしたのを覚えています。

その後、徐々にフィールドが広がっていきました。弊社はパーソナリティが放送機材の操作をひとりで行う番組が多く、普通はアナウンサーとしての勉強をしてから放送機材の操作を習うのですが、私はその逆でした。

やりたいことは言っておくこと

やきそば 代田さんが番組で仰った「なりたい自分を描いておくと、不思議と近づいていける」という一言がとても印象的でした。

代田アナ やはり「とにかくラジオの仕事がしたい」とまわりの人に言っていたことで道が開きました。定時制高校時代には、先生にそのことを話していたところ、「声が良いから、NHKのコンテストに出てみないか」と提案してくれて、県の予選に出場しました。それが原体験としてあります。

専門学校時代も先生に話したことがきっかけで制作会社の人を紹介してもらいました。やりたいことがあれば、どんどん口に出したほうがいいんです。

三重のリスナーの心配り

やきそば ではレディオキューブFM三重の魅力を教えてください。

代田アナ どこのラジオ局もそうだとは思いますが、聴いている方々との距離感が近いです。あたたかくて熱心なリスナーさんも多くて、イベントが終わると片付けを手伝おうとしてくれる方もいらっしゃいます(笑)。

やきそば レディオキューブFM三重といえば、変わったコーナーがある印象があって僕は以前「雨漏り2時20分!」(現在は『つながるジカン』月曜日に「雨漏り17時47分」として放送)や「肺、おさむに聴け! ラジオを聴いてLung Lung Lung」のコーナーを知って、タイトルが変わっているので「なんだ、これは!」と気になって聴き始めた経緯があります。

代田アナ そう言っていただけるとありがたいです。おとなりの愛知県にはラジオ局がたくさんありますし、弊社としては地元に向けた番組だからこそできる個性的な企画も考えています。

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▲「開局40周年感謝デー」(6月1日開催)にて

三重の惜しいところ

やきそば では三重県の魅力を教えてください。

代田アナ 月並みな言葉で恐縮ですが、人があたたかくて、ご飯も美味しくて、本当にいいところです。三重に来てから1年で10キロ太りました。あとは素敵な観光地が多いです。

ただ、県外からゲストに来られた人に「三重に来られたことはありますか?」と聞くと「ないかもしれません」と言われることが多いんですけど、伊勢神宮や鈴鹿サーキット、ナガシマスパーランド、志摩スペイン村などには「行ったことがある」と言われて「実はそこも三重県なんです」と告げると「そうなんですか!」と驚かれることが多いです(笑)。

三重県は素敵なものの宝庫なのに三重県とあまり結びついていないんです。

やきそば なんだかもったいないですね。

代田アナ これからも三重の魅力を伝えるべく、発信していきます!

(おしらせ)
第3弾の放送となる『今夜はとくに眠れない〜学校へ行けない君へ〜』は8月31日(日曜)24時から放送されます。今回も生放送です。
番組の詳細はこちら https://fmmie.jp/special/2025/08/post-141.php

また、レディオキューブFM三重の公式YouTubeチャンネルでは昨年放送された『今夜はとくに眠れない〜学校へいけない君へ〜』のアーカイブが配信されています。聴き逃した方、興味を持たれた方はぜひお聴きください。
https://youtu.be/95lZbCC2Kpw?si=3pqnW96Ewj6MYMdB

<了>