接触ログだからわかるテレビCMの出稿効果差

石垣 宏樹
ソリューション事業局 マーケティングソリューション部
石垣 宏樹
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皆さん、CMの出稿効果をどのように検証していますか。CMやブランドの認知率、商品サービスの購入意向など、CMの出稿目的に合わせたKPIを設定し、それが達成できているかをWebなどのアンケートを用いて確認することが多いのではないでしょうか。
しかしながら、アンケート結果だけでは不十分という場合があります。例えば、CMの接触回数や、接触した番組での効果の違いなどです。対象者の記憶頼みであるアンケートでは、そのCMに「いつ」「何回」接触したのか、また「どの番組で接触したのか」など詳細な接触実態を知ることは困難です。
精緻な分析を行うには、対象者のCM接触実態を正確に示す、接触ログを用います。
今回は、特定のテレビCMの接触回数や、Webサイトへの接触行動をシングルソースで確認できる「VR CUBIC」を用いて、CMの出稿効果を分析した事例を紹介します。

ある自動車メーカーの番組別効果差を検証

分析対象は、ある自動車メーカーA社の提供番組CMとA社のWebサイトへの接触ログです。CM出稿の目的を仮に自社サイトアクセスとし、広告効果指標(KPI)を自社へのサイト来訪率としました。対象とする番組を提供番組の中から、スポーツとドラマの2ジャンルに絞って、それぞれの番組内でのCM接触実態と自社サイトへの接触行動を掛け合わせることで、番組CMの効果差の要因を検証します。

尚、今回の検証は接触ログと特性情報を組み合わせて分析することで、より実態に迫れることの事例紹介です。番組ジャンル別の効果差の検証ではないことをご理解ください。

自社サイトへの誘引効果は "スポーツ番組 > ドラマ"

「VR CUBIC」を用いて、自動車メーカーA社が提供しているレギュラー番組から、スポーツ(5番組)とドラマ(6番組)の2ジャンルの番組について番組内のCM接触頻度別に自社サイトへの来訪率を算出しました【図表1】。 図表をみると分かるように、今回、分析対象としたスポーツとドラマでは、番組内におけるCM接触頻度と自社サイト来訪率の関係に差があることが明らかです。 スポーツではCMへの接触頻度が高いほど、自社サイト来訪率も上昇しています。

それに対して、ドラマは1回もCMを見ていない人(非接触者)の来訪率(4.9%)が最も高く、接触頻度が高くなっても自社サイト来訪率は伸びていません。今回、サイト来訪がCM出稿目的であるにもかかわらず、ドラマでは1回もCMを見ていない人の方がよくサイトに来ているという結果になってしまっているのです。

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このことから、今回の自動車メーカーA社については、スポーツ番組でのCM出稿の方が、自社サイトへの来訪を誘引するにあたり有効であったと考えられ、単純に「ドラマでのCMは意味がない!!」という結論になってしまいそうです。しかし、これだけをみてドラマを見限ってしまうのはまだ早いです。なぜ今回のドラマでは、CMを見ていない人の方が来訪率が高いという結果になったのでしょうか。ドラマへの出稿は本当に効果がなかったのでしょうか。商品カテゴリ関与層をキーに検証していきます。

商品関与層の含有がポイント

スポーツとドラマで、サイト来訪率に差が出た理由を確認するため、CM接触者の商品カテゴリ関与層の含有率に着目してみます。一般的に、当該の商品カテゴリへの興味関心や購入意向などが高い層は、非関与層に比べて商品に関する情報の入手に積極的であり、商品サイトへの来訪意向も高い傾向にあるといえます。であるならば、下記のようになっていれば、CMを見た人の商品関与の違いがサイト来訪率の差として表れているといえるでしょう。

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検証のため、今回は"自動車の購入予定がある人"を商品カテゴリ関与層と定義し、CMを見た人と見なかった人の自動車購入予定者の含有率を算出しました【図表2】。

スポーツでは、CM接触者の自動車購入予定者含有率が高く、逆に、ドラマはCM接触者に比べ非接触者の自動車購入予定者含有率が高いことが分かります。 今回のドラマの場合、サイト来訪率がCM接触者<非接触者となっている理由は、自動車購入予定者がCM非接触者に多かったためといえそうです。

商品関与層には
繰り返しCMを当てることが有効

次に、サイト来訪率が商品関与層割合による差であることを確かなものにするため、自動車購入予定者に絞って番組のCM接触回数別の自社サイト来訪率を算出しました【図表3】。
自動車購入予定者に限定しているため、【図表1】に比べると、来訪率が両番組とも高くなっています。スポーツは【図表1】と同様にCMの接触頻度が上がれば、自社サイト来訪率が上昇する傾向がみられました。ドラマに目を向けると、CM接触頻度が増えるごとに来訪率も上昇し、CMを見た人の来訪率がCMを1回も見なかった人を上回る結果となりました。ドラマでも自動車購入予定者はCMによりサイト来訪を誘引することができています。

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つまり、商品関与層に繰り返しCMを当てれば、自社サイト来訪率が上昇するということがみてとれました。 今回のケースでいうと、サイト来訪率に差が現れた要因はジャンルの違いによるものではなく、番組を見ている人の中にどの程度 "自動車購入予定者"がいるのか、その割合の違いといえるでしょう。

接触ログでみえたこと

ここまでのデータから、今回のケースでは、商品カテゴリ関与層の含有率が出稿効果差を生んだ要因であったといえます。ドラマでの自社サイトへの来訪率が、CM接触者<非接触者となっている理由も、CM接触者に自動車購入予定者が少なかったためで、この層だけみれば、接触頻度が高くなるほどに自社サイト来訪率が高くなることで説明がつきました。

今回はブランド好意度などの効果指標は未確認ですが、CMに繰り返し接触させることで、今回の分析対象とした自動車メーカーA社の好意度などが醸成され、検討のためのWebサイトへの来訪につながったと仮説を立てることもできます。例えばキャンペーン前と後の2時点でアンケートを行うことによりCM接触回数ごとのブランドへの寄与度を検証することも可能です。

CM出稿の目的は様ざまであるため、"商品カテゴリ関与層を多く含む番組に優先的に出稿すべし"とは言い切れませんが、次のアクションにつなげやすいということは明らかです。 今回の分析事例はあくまで一例であり、導かれる結果はこの限りではありません。扱う商品内容やCMの目的により、設定すべきKPIは変わります。

仮にブランドの浸透をCM出稿の目的とし、KPIをブランド認知率とすれば、番組のジャンルがスポーツであれドラマであれ、CMの接触頻度が高くなるとともにブランド認知率が上昇する結果が得られるものと推察されます。

今回は出稿後の効果検証という形で紹介しましたが、追加アンケートを行うことにより、番組ごとのターゲット含有率を把握し、今後の出稿番組の選定に活用いただくこともできます。 接触ログを使った分析をご検討の際は、是非「VR CUBIC」をお役立てください。

[ 今回の分析概要 ]
分析対象 自動車メーカーA社のTVCMと自社Webサイト接触
対象期間 2018年1月1日~2018年6月30日
集計対象 サイト接触の測定が可能な男女18~69才(2,645人)

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