大阪・関西万博をデータで深掘り!来場率や満足度、人気パビリオンを徹底分析

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生活者データ
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大阪・関西万博をデータで深掘り!来場率や満足度、人気パビリオンを徹底分析
この記事はこんな方にオススメ!
  • 大阪・関西万博にどれくらいの人が来場したのか知りたい人
  • 大阪・関西万博の人気パビリオンを知りたい人
  • 大阪・関西万博の魅力を知りたい人

2025年4月13日から10月13日まで開催された「EXPO 2025 大阪・関西万博」。158の国・地域と7つの国際機関が参加した海外パビリオンや、日本の企業や自治体による国内パビリオンが展開され、国内外の最先端技術や多様な文化・価値観に触れることができるイベントとして、日本国内だけではなく世界中から多くの人が来場しました。

ビデオリサーチでは2025年7月に関東(東京50km圏)・関西の2地区を対象として、大阪・関西万博に関する調査を実施しました。本記事では、ビデオリサーチが提供する生活者総合調査データ「ACR/ex」と掛け合わせて、生活者が大阪・関西万博をどのように楽しんだのか詳しく分析していきます。

関西では来場率5割超!万博来場率&来場回数を分析

図1では、2025年7月調査時点で大阪・関西万博への「来場経験あり」もしくは「来場予定あり」と回答した割合を合わせて、大阪・関西万博の見込み来場率を算出しました。

【図1】年代別 大阪・関西万博への見込み来場率

まず、地区別に個人全体の来場率をみると、関西は全体の半数以上の55.7%が来場(来場予定を含む)していることがわかります。一方、関東では14.0%と、訪れた人は少数派であることが読み取れます。

次に年代に着目すると、関東では20代が17.4%と最も高く、関西では60代が60.5%で最も高いことがわかります。

さらに、来場回数(図2)をみると、関東では見込み来場者の8割程度が1回のみの来場であることがわかりました。一方、関西では4割が2回以上来場すると回答しています。加えて4回以上来場する人の割合も14.8%と高く、関西は来場率・リピート回数ともに関東より大幅に多いことがわかります。

【図2】大阪・関西万博への来場回数 ※来場予定含む

来場者の7~8割が「満足」と回答!万博で魅力を感じたポイントは?

ここからは来場経験者に着目して、大阪・関西万博がどのように楽しまれていたのか深掘りしていきます。

まず図3では来場経験者の大阪・関西万博に対する満足度を地区別に示しました。関東では7割、関西では8割超が「満足できた」と感じていることが分かります。

【図3】大阪・関西万博の満足度

来場経験者は大阪・関西万博の魅力をどのようにとらえているのでしょうか。図4では魅力を感じたポイントをランキングにしました。

【図4】大阪・関西万博で魅力を感じたこと (2地区計・万博来場経験者)

1位は「大屋根リングのデザインやテーマ、機能性」です。
万博の象徴的な建築物である大屋根リングは、会場内の移動ルートや暑い日の日除けとしての機能など、快適な滞在を支える工夫が随所に感じられ、多くの来場者がその存在に好印象を持ったことがうかがえます。

ほかにも、2位の「万博会場全体の雰囲気・景観」や、4位の「会場内の建築・都市デザイン」などの回答からは、広々とした会場の中で、非日常的な空間や建物の雰囲気を楽しんだ来場者が多かったことがうかがえます。展示やイベントだけでなく、空間そのものが来場者にとって印象的な体験となっていたことが読み取れます。

7位には「万博限定グッズ・お土産のラインナップ」がランクインしました。スコアを東西で比較すると、関東在住の来場者のスコアの方が3ポイント高い結果となりました。特に関東においては、遠方からの来場だからこそ、旅の記念になるグッズや、周囲に配るお土産に注目が集まったと考えられます。

8位は「公式のスタンプラリー」です。こちらも東西でスコアを比較すると、関西在住の来場者の方が、スコアが10ポイント高い結果となっていました。リピーターの多い関西では、数多くのパビリオンを巡ること自体が楽しみの一つとなっていたと考えられ、スタンプラリーがその体験をより魅力的なものにしていたのではないでしょうか。

来場1回あたりの支出額は関西よりも関東の方が多い

次に、万博来場者の1回の来場あたりの支出額をみると、平均支出額は関東が12,603円、関西が7,488円という結果になりました。(図5)

【図5】大阪・関西万博における来場1回あたりの支出額

関西在住の来場者はリピーターが多く、1回あたりの支出額でみると比較的抑えられていたと予想できます。一方、関東在住の来場者は来場回数が1回のみという割合が高く、遠方からの訪問という特別感も手伝って旅先の思い出になるような体験やお土産、記念グッズへの支出額が上がっているのではないかと考えられます。

ちなみに、万博公式キャラクター「ミャクミャク」グッズの購入経験を東西で比較してみると、関東在住の来場者の方が購入経験率が高いことがわかりました。(図6)

【図6】「ミャクミャク」グッズの購入経験

特に「家族や友人・知人のために購入した」割合が関西と比較して15ポイント高く、お土産としての購入が多かったことがうかがえます。関東の来場者の支出額の高さに「ミャクミャク」グッズの購入も影響しているかもしれません。

このように関西では高い来場率とリピート回数が見られ、地元密着型のイベントとして定着した一方、関東では"旅先での特別体験"としての消費傾向が強くみられ、万博の楽しみ方に違いがあることが分析できます。

3つの指標で見る人気パビリオンランキング!行きたくても行けなかったパビリオンは...?

さまざまな楽しみ方ができる万博ですが、国内外のパビリオンの展示は大きな目玉です。ここからは3つの指標で人気パビリオンのランキングをご紹介します。

図7では、来場者が実際に訪れたパビリオンをランキングにしました。

【図7】訪問率が高いパビリオンTOP10(2地区計・万博来場経験者)

1~4位には「コモンズA~D館」がランクインしました。各館内には、さまざまな国のブースが並んでおり、1度の入場でお得感があることや、予約なしでスムーズに入場できる快適さが人気を集めたようです。

5~9位には、予約不要で立ち寄ることができ、没入感のある体験が魅力のパビリオンが並びました。5位の「オーストラリアパビリオン」は、ユーカリの森を再現した空間など、自然の香りや音に包まれる体験で話題になりました。6位の「フランスパビリオン」は、ファッションや芸術の展示が充実しており、華やかで非日常感のある空間が来場者を魅了しました。

「サウジアラビアパビリオン」(7位)は壮大な映像演出、「スペインパビリオン」(8位)は特徴的な建築物と幻想的な海の世界、「アラブ首長国連邦パビリオン」(9位)はナツメヤシをシンボルに中東文化の魅力を伝える設計を展開し、いずれも、それぞれの国の文化や自然、未来像を映像や空間演出で表現したことで、来場者の関心を集めました。

10位の「日本館」では、微生物や藻類、バイオ素材などを通じて循環型社会を体感できる展示が展開されました。開催国のパビリオンということもあり、多くの来場者が関心を寄せました。展示にはドラえもんやハローキティが登場し、幅広い層に親しみやすい内容も人気のポイントの一つです。予約制ながら自由入場が可能な時間帯もあり、比較的訪問しやすいパビリオンだったといえます。

人気の高いパビリオンの中には、事前予約の抽選倍率の高さや長時間の待機列などの理由から、「行きたくても行けなかった」というケースが見受けられました。

そこで図8では、訪問難易度が高かったパビリオンをランキングにしました。ここでは、来場者が「関心があるパビリオン」として回答した割合(関心度)を、「実際に訪れたパビリオン」として回答された割合(訪問率)で割り、「ギャップスコア」を算出しています。ギャップスコアが高いほど、関心が高かったものの実際に訪問した人が少なかったことを意味します。

つまり上位にあがったパビリオンは、多くの人が関心を持ったにもかかわらず、人気のあまり行くことが難しかったパビリオンと言い換えることができます。

【図8】訪問率が高いパビリオンTOP3(2地区計・万博来場経験者)

1位にあがったのは「住友館」です。来場者が"ランタン"型デバイスを手に森を探索する体験型展示は、所要時間が約60分と充実した内容が特徴です。幻想的な空間で没入感のある体験ができることで話題となりました。予約制・入替制で抽選倍率が高く、ギャップスコアが最も高くなりました。

2位は、落合陽一氏がプロデュースしたシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」です。来場者は、事前に自身の声や姿をスキャンし、館内で"もうひとりの自分"=デジタルヒューマンと対話する体験をします。没入型で未来感のある体験が多くの人の興味を引きました。入場枠が限られており抽選倍率が高いため、訪問の難易度が高かったと考えられます。

3位は「イタリア・バチカンパビリオン」。日本初公開の彫刻「ファルネーゼのアトラス」や、名画「キリストの埋葬」の展示が話題となりました。予約なしでも入場が可能でしたが、その貴重な展示を目当てに連日長蛇の列ができており、入場を断念する人も少なくなかったようです。

最後に、来場者が「実際に訪れたパビリオン」のうち「満足した」と回答したスコアを満足率としてランキングにしました。(図9)

【図9】満足度が高いパビリオンTOP3(2地区計・万博来場経験者)

1位は「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」です。実物大ガンダム像の展示に加え、体験型の演出や映像を組み合わせた演出で、まるでガンダムの世界に入り込んだかのような臨場感で話題になりました。満足したと回答した人の性年代構成をみると、男女40~50代の割合が高く、ガンダム世代には特に魅力的なパビリオンであったと考えられます。

3位の「PASONA NATUREVERSE」は、iPS細胞で作られた動くミニ心臓の展示を目玉に、さまざまな最新の医療技術で注目されました。未来の医療に触れられるという、万博ならではの貴重な体験に満足感を感じた来場者が多かったのではないでしょうか。

フットワークが軽くて勉強熱心!万博来場者の特徴をピックアップ

来場率・満足度・支出額・人気パビリオンといったデータをもとに、来場者が大阪・関西万博をどのように楽しんだのか分析してきました。

ここからは、ビデオリサーチの生活者総合調査データ「ACR/ex」の調査項目のうち、大阪・関西万博見込み来場者に特徴的にみられた項目をご紹介します。(図10)

【図10】大阪・関西万博に来場する人の特徴は?(2地区計・見込み来場者)

まず、くらしに関する意識をみていくと、「旅行やイベントを企画するのが好きだ」「新しい店やニュースポットには積極的に出かけるほうだ」といった項目について、個人全体よりも11ポイント高いスコアを示しました。
加えて今後/今後も行いたいレジャーとして、「海外旅行」を回答した割合が4割程度と高く、フットワークが軽く、気になるスポットに積極的に訪れるアクティブな価値観が読みとれます。

次に仕事・教育への意識をみると、「スキルアップのために、専門的に勉強をしたい」「教育にはお金を惜しまない」といった項目で個人全体よりも9ポイント高いスコアを示しました。さらに、生成AIのチャットボットサービス「Chat GPT」の1ヶ月内利用率が4割程度と個人全体より高いことも特徴です。
勉強・教育への意識が高く、最新サービスを積極的に活用していることから、好奇心旺盛な特徴がみられます。

フットワークが軽くて勉強熱心な特徴をもつ万博来場者ですが、大阪・関西万博の来場にあたって、どこから情報を入手し、関心を持ったのでしょうか。

図11には大阪・関西万博への来場経験あり/予定ありと回答した人が、来場のきっかけとした情報入手経路をスコアが高い順に示しました。

【図11】大阪・関西万博の来場のきっかけになった情報入手経路(2地区計・見込み来場者)

1位は「地上波テレビ放送」です。日常的に映像で万博の魅力を感じられたことが、行動の後押しになったと考えられます。次に多いのは、「家族や友人、知人との会話・口コミ」で、約4人に1人が身近な人とのやりとりを通じて関心を持ったと答えています。こうした口コミは、テレビやネットで得た情報を補完したり、実際の体験談を聞くことで安心感を得たりする役割も果たしていると考えられます。

一方、「X(旧Twitter)」「公式のインターネットサイト・アプリ」「YouTube」などのデジタルメディアは、1割前後にとどまりました。割合としては高くないですが、会期中には「X」や「YouTube」で、来場者による率直な感想や現地の様子を伝える投稿が多く見られました。

さいごに

本記事では、大阪・関西万博がどのように生活者に楽しまれたのか、ビデオリサーチの生活者総合調査データ「ACR/ex」を用いてご紹介してきました。

今回の調査結果から、関西からの来場者と関東からの来場者では、大阪・関西万博の楽しみ方に違いがあることがみえてきました。関西では高い来場率とリピート率がある一方、関東は1回のみ来場する人がほとんどで、遠出ならではの"旅先での特別体験"としての消費傾向がうかがえました。
さらに、来場者を深堀りすると、万博に来場する人は、フットワークが軽く、学びや新しい体験に積極的な特徴を持つ傾向があるということも明らかになりました。

ビデオリサーチの「ACR/ex」では、今回ご紹介したデータ以外にも生活意識やメディア接触、購買行動など、さまざまな切り口を掛け合わせた分析が可能です。
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお申込みください。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2025年7月調査
・対象地区:関東(東京50km圏)・関西(2府3県の主要地域)
※2府3県...大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県
・調査対象者:対象地区に在住の男女12~69歳
・調査サンプル数

関東 関西 2地区計
(関東+関西)
個人全体(男女12~69歳) 4,843s 1,422s 6,265s
見込み来場者(経験あり+予定あり) 679s 792s 1471s
└来場経験あり 263s 437s 700s
└来場予定あり 416s 355s 771s

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