シニア夫婦に聞きました 〜夫婦の価値観は同じ?違う?どちらが幸せ?(後半)

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シニア夫婦に聞きました 〜夫婦の価値観は同じ?違う?どちらが幸せ?(後半)

「同じタイプ同士は満足度が低め」

前半で、夫婦の組み合わせタイプの傾向がわかったところで、後半では組み合わせタイプによる夫婦の満足度はどうなっているのかを考察します。

※「シニア価値観セグメント」とは・・・ 考え方も行動も多様化・複雑化しているシニア層を理解するための新たな切り口として、"価値観"で分類したセグメント。

価値観は6タイプに分類され、それぞれを行動が積極的か控えめか、志向が伝統的・保守的な傾向か変化や刺激を好む傾向かという2軸4象限上にプロットしたもの。

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シニア価値観セグメント 詳細はこちら↓

https://www.videor.co.jp/digestplus/title/2018/01/7717.html

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満足度が高いのは、同じタイプ同士より違うタイプの夫婦!

夫婦の関係性にどの程度満足しているかをそれぞれ0〜100点で評価してもらい、夫婦の平均点を見てみました(図1)。その結果、最も満足度が高かったのは「夫:ラブ・マイライフ/妻:社会派インディペンデント」夫婦でした。全体の平均点が73.9点のところ、87.5点とかなりの高得点です。

また、ランキング上位の組み合わせを見てみると、1位から4位までを違うタイプの組み合わせの夫婦が占めていました。

同じタイプ同士は5位にやっと「アクティブトラッド」夫婦が出てきます。それ以外の同じタイプ同士のランキングを見ると、「身の丈リアリスト同士」が18位、「淡々コンサバ同士」21位、「セカンドライフモラトリアム同士」25位、「社会派インディペンデント同士」28位、「ラブ・マイライフ同士」35位と、軒並みランキングの下位でした。

図1:夫婦の関係性への満足度ランキング

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同じタイプ同士の夫婦は数が多いのですが、満足度がいまひとつ。似た者同士だからこそ衝突しやすいという一面もあるのでしょうか。それを端的に表しているのが、「シニア価置観セグメント」の4象限で同じ右上(第一象限)の"新型アクティブゾーン"に位置する「ラブ・マイライフ」と「社会派インディペンデント」の組み合わせです。前述のとおり、最も満足度の高いカップルは「夫:ラブ・マイライフ/妻:社会派インディペンデント」ですが、逆に「妻:ラブ・マイフ/夫:社会派インディペンデント」カップルも、双方の満足度は高いようです。

一方で、「ラブ・マイライフ同士」「社会派インディペンデント同士」の夫婦はお互いに満足度が低め。

どちらも共通の"新型アクティブシニア"の要素を持つこの2タイプは、向いているベクトルがまったく同じだと個性が強すぎてぶつかり合い、お互いが少し違う方向に向いていることで上手くいっている可能性が考えられます。(図2)

図2:夫婦の満足度プロット図

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社会派の妻を持つ「モラトリアムおじさん」の悲哀

また、夫婦のどちらか一方が「セカンドライフモラトリアム」の場合、配偶者がどのタイプであろうと、満足度が双方低めとなっていることが特徴的です。唯一、双方の満足度が高いのは「夫:モラトリアム/妻:アクティブトラッド」の夫婦のみでした。

また、「夫:モラトリアム/妻:社会派インディペンデント」は、夫の満足度は低く妻は高い傾向にありました。"自由にさせてくれる夫に感謝しつつイキイキと社会に出ている妻"と"何も言えず置いていかれて寂しい夫"というイメージでしょうか。自分も何かやりたい、という気持ちは沸いているのに、出かけていくのは妻ばかり・・・何をしていいのかわからなかったり迷ったりしてくすぶっている「モラトリアムおじさん」たちの声が聞こえるようです。

01.png夫婦消費の新たな方向性

ここまで見てきたことをまとめると、

◎シニア夫婦の価値観の組み合わせは、同じタイプ同士になりやすい

◎違うタイプ同士だと、共通項としてアクティブ同士の組み合わせが相対的に多い

◎まるっきり同じタイプ同士は、夫婦の関係性への満足度は低め

シニア夫婦をターゲットにした商品やサービスは現在も多々ありますが、どれも夫婦が仲良く一緒に過ごしたり楽しんだりすることを前提にしているものが多いと思われます。視点を変えて、長年連れ添った夫婦だからこそ、同じ価値観同士だとぶつかりやすかったり、少し違うタイプの方が上手く行っている傾向を考慮した新しい方向性があるかもしれません。

例えば、旅行プランなら、行き帰りは夫婦一緒でも旅先ではあえて別行動を提案するなどがあるかもしれません。
実際にエイジング・ラボメンバーのお母さん(50代後半)は、お父さんと買い物に行くのがかなりのストレスらしく、IKEAのキッズルームを見て、「買い物に興味ないおじさんを預かってくれて、遊べるスペースがあればいいのに」とつぶやいたそうです。デパートやショッピングモール、GMSなどには座って休憩できるスペースもあるのですが、それだけだとどうしても"待たせている"という意識にさいなまれ、買い物に集中できない、とのこと。お父さん本人だけでなく、お母さんのほうにも、気兼ねなくお父さんを置いていける場が必要とされています。

特に「モラトリアムおじさん」は、これまでのインタビューなども総合してみていると、夫婦の満足度は低いものの、妻に対する依存度は高いことがわかっています。ひとりではなかなか踏み出せない行動も、妻と一緒なら出来るかもしれません。でも、べったり一緒だとそれはそれでお互い疲れてしまうので、行動のキッカケは一緒に、でもその先は別々に、お互い違う刺激を受けて、会話の糸口も増え、さらに生活が楽しくなる・・・夫婦消費の新しい形として、そんな提案があってもいいのではないでしょうか。

また、夫婦のこの傾向は、最近活性化しているシニアの婚活市場において、マッチングなどに活かすことができるのではないかとも考えます。人生経験を重ねたシニアだからこそ、配偶者に求めるものは若い世代とはまったく違うはず。当研究結果やこのセグメントをご活用いただくことで、シニアのニーズに応えるサービス開発ができるかもしれません。婚活ビジネスに従事されている皆様からのお問い合わせ、ぜひお待ちしております。

●シニア夫婦に対する調査概要
対象者:55〜74歳の夫婦860組。
調査手法:インターネット調査
調査時期:2016年11月

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