共同研究プロジェクト「気持センシングラボ」脳波から"気持ち"を捉える

亀田 憲
ひと研究所
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ひと研究所では昨夏発足した、株式会社 大広の共同研究プロジェクト「気持センシングラボ」に2019年2月より正式に参画しています。本プロジェクトの意義とひと研究所の参画の目的やラボに関連する研究について紹介します。

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「気持センシングラボ」は生活者にとっての心地よいコミュニケーションを創造していくため、テクノロジーを活用して生活者理解を深めることを目的に発足し、プロジェクト全体のプロデュースを株式会社 大広(以下 大広)が行っています。

ひと研究所はこれまでの中心であったアスキングデータ(意識)やエスノグラフィー(観察法)に加えて、センシングデータを組み合わせることで、より深く生活者のインサイトを探るという研究の方針と、本ラボの活動方針や内容が適合したことにあります。

本ラボの特徴のひとつに、多様な異なる業界の企業の参画があります。すでに開始をしているプロジェクトの活動の第一弾である脳波データを活用した「動画マーケティング」では、プロジェクトリーダーの大広に加えて、脳波や視線といった各種データのセンシングをSOOTH(株)が、動画配信や配信時のユーザー行動分析を担当するヒトクセが、そして、ひと研究所が独自に開発した生活者クラスター「ひとセグ(情報・選択セグメント)」(以下、ひとセグ)を活用しながら生活者に関する知見の提供と分析を行います。

具体的には、動画視聴時の視線・脳波等をセンシングし、無意識下に存在する「気持(きもち)」の感情データを取得します。そのデータと、アンケートで取得したアスキングデータを融合させることで、「視聴質」を仮説検証していきます。分析する際には、前述の生活者クラスター「ひとセグ」も掛け合わせることで、生活者クラスター別での受容しやすい動画の表現や広告主の目的を達成させるための要素も研究する予定です。

例えば、同じ動画広告であっても、感性タイプのクラスターに対しては、直感で「素敵!」とか「美味しそう!」と思えるような映像となるようにします。一方、理性タイプのクラスターには、商品の特徴やその成分に関連する「うんちく」を伝えるようにし、なぜこの商品・サービスは良いのかを理解してもらえるようにする、といったイメージです。

「気持センシングラボ」の今後の活動について

気持センシングラボでは、参画企業を現在の企業で固定することなく、アメーバのように広げていきながら、その研究領域も拡大していきます。
例えば、研究で活用するセンシングデータでは、脳は加えて、視線・表情・心拍数などの活用も検討しています。また、研究対象も動画や静止画などを通じた、広告コミュニケーション領域に限ることなく、リアル店舗での行動やイベント、web上での行動など、オンライン、オフラインの垣根なく行っていく予定です。

本プロジェクトで得たデータや知見を基にして、生活者の感情・気持ちの変化に適したコミュニケーションを行うための、具体的なソリューション開発も視野にいれています。
今後のひと研究所及び気持センシングラボの活動については、随時レポートしていきます。


「ひとセグ」の開発の背景とその特徴

気持センシングラボでの研究で鍵となる、「ひとセグ」について紹介します。
世の中に大量の情報があふれ、生活者自身も発信者となり得るなど、コミュニケーションがカオス化している現代において混沌とした状態が生まれています。われわれは、この状態を「コミュニケーション・カオス」と呼んでいます。

そして、生活者視点で「コミュニケーション・カオス」を描くと右図のようなイメージになります。メディアが多様化し、氾濫する情報に囲まれている状態となった生活者は、多くの情報やメッセージを知らぬ間にシャットアウトしています。それは情報への「マインド・バリア」ができている状態と言え、そこを通過してメッセージを届けることは非常に困難な状態です。

生活者は本人も意識しないうちに情報を取捨・選択しています。そして選択された情報は「マインド・バリア」を通過できているのです。この情報が通過することのできるポイントを「マインド・ホール」と名付けました。「マインド・ホール」を通過させることが非常に大切となります。

さらに、生活者には「考え方のクセ」が存在し、その違いによって、情報の取り方やモノの選び方は異なり、「マインド・ホール」も異なってきます。「考え方のクセ」は研究の結果、性別・年齢に関わらず6タイプに分類され、タイプごとに選択する情報や商品、届きやすいメッセージが異なることがわかりました。

「ユーザーが理解できなくなってきた」「ターゲットに届けるにはどうコミュケーションするのがいいのか」「あらたなユーザーを囲い込みたい」などのマーケティング課題に対して、「ひとセグ」によって「考え方のクセ」を捉えることで生活者へのよりよいアプローチ方法を見出すことが可能となります。


「ひとセグ」の開発の背景とその特徴

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トレンドフリーク
直感や感性を重視して選択。新しいものや流行に敏感で、興味のあるものだけでなく、あまり興味がないものでもとりあえず情報収集します。発信意欲も強く、話題を振りまくのが特徴です。

雑学ロジカル
機能や性能などのスペック情報が大好き。何事も徹底的に情報収集し、" 意味のある"ものや" 理屈に合う"ものを選択します。情報収集が早く、新しいものには興味を示すが、選択基準がはっきりしているため流行には流されないのが特徴です。

スマート目利き
決まったアイテムやブランドではなく、より良いものを追い求める。その時ごとに話題のブランドやアイテムであり、なおかつスペックにも満足できるという両方の条件を満たさないと購買につながりません。しかし、ひとたびそのお眼鏡にかなうと、周囲に積極的に情報発信するのが特徴です。

コミュニティ同調
「世の中の評判」が選択の基準。周りからどう見られているかを気にします。新しい情報や流行を積極的に取りにいくのではなく、ある程度浸透してから気付き、" 乗り遅れ
ないように" 取り入れるのが特徴です。

堅実ストイック
失敗は絶対にしたくない慎重派。新しいものや流行には乗らず、間違いがないと分かっているものを選択します。そのため定番品や、先行品がはやった後に出される安価で必要な機能のそろった後発品を好むのが特徴です。

ナチュラル低関与
情報収集の重要性や、社会に取り残されるといった不安感は特に感じていない。自分の選択基準や明確な好みを持たず、淡々と日々生活します。えり好みをしないため、店頭の目立つところに並んでいるものを選択する傾向があるのが特徴です。

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