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メディア
2020年03月06日

可処分時間をテレビに向けてもらうには(2) テレビコンテンツ視聴時間の市場開発~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第九回~

對馬友美子
ソリューション事業局 ひと研究所
對馬友美子

可処分時間をテレビに向けてもらうには(2) テレビコンテンツ視聴時間の市場開発~生活者と「映像コンテンツ」の

「可処分時間をテレビに向けてもらうには」をテーマとして2回に分けてお伝えしています。前回(第八回)ではテーマのベースとなる「メディアポテンシャル時間」がどのくらい、どの時間帯にあり、その時の生活行動を分析した結果を紹介しました。今回、第九回は「テレビコンテンツが入り込めそうな生活時間」に視点を向け、メディアやコンテンツにどう接触しているのかを捉えながら、その届け方について考察していきます。

<第九回のポイント>

■テレビコンテンツが入り込める新たな時間市場は、「自宅外の昼休み」と「入浴中」
■細切れの生活時間は、コンテンツへの興味喚起・醸成に活用できる

テレビコンテンツの新たな時間市場候補:「お昼休み」と「入浴中」

前回の最後に、メディアポテンシャル時間合計10時間強を、デバイスや伝送路に関係なくトータルで「テレビコンテンツ」に向けてもらうという視点で、方向性を考えることをお伝えしました(第八回)。
まず方向性として考えられるのは、テレビコンテンツが入り込めそうなタイミングの開拓です。
テレビコンテンツの長さは、ドラマやバラエティの多くが1時間、短くても15~30分あります。この長さを消費できるまとまった時間の取れるタイミングを探すと、「昼休み」のタイミングが有力候補のひとつと考えられます。
前回ご紹介したとおり、昼には自宅外で非映像視聴の山が見られます。スマホがすでに入り込んでいる時間であり、また、「昼休み」は生活行動上メディア接触が可能と考えられる時間でもあります。
最近、お昼の飲食店では、テーブルにスマホを置いて何らかの動画を見ながら食事をとる人の姿をチラホラ見かけるようになりました。

hito_all-5.png参考:スマホで動画を見ながら昼食をとる人々(ビデオリサーチひと研究所「新しいメディアの楽しみ方:写真調査」2019夏~2020冬収集)


実際に何を見ている人が多そうか、M1F1層が「仕事の休み時間中」に利用している具体的なメディア・プラットフォームを確認してみました。上位にランクインしている映像メディアに着目してみると、M1F1とも、SNS上の動画やYouTubeが多く見られました。その中に混じって、テレビのリアルタイムも入ってきています。職場にテレビがある環境なのか、外食先でついているテレビを見ているのか、ワンセグなのか、視聴形態はいろいろ考えられますが、いずれにしても視聴ニーズはあると思われます(図1)

(図1)「仕事や学校の休み時間・休憩中」に利用するメディア・プラットフォーム<上位15位>
eizo-medeia-plat.png

ビデオリサーチ「メディアポジショニング調査」 2019年10月 インターネット調査
全国 15~69歳男女n=4879 うちM1:n=632、F1:n=635 住民基本台帳の性年齢構成比に合わせてウェイトバック集計


仕事のお昼休みはだいたい45分から1時間くらいの職場が多いと想定されますが、ただ現状として、職場や外食の場などでは自宅とは違ったさまざまな制限があり、時間が細切れになりがちなことも想像できます。恐らくは、食事中の手の埋まっている間操作をしないで済むくらいの尺のものが選ばれ、それほど長尺のものは選ばれにくくなっているのではないでしょうか。
また、現状は通信制限もネックとなります。「外で動画を見ると"ギガを食う"ので自宅でしか見ない」という声は根強くあります。第八回の(図5)で自宅外では映像メディアに費やしている時間がほぼ見られなかったのも、この理由も大きいでしょう。
しかし、最近は無料wifiスポットの増加や通信料無制限サービスの拡充も進んでいますし、今後は5G化など、外で動画をストレスなく見られる環境が整いつつあります。
「仕事のお昼休み」は、自宅とは違った仕様が求められていることを前提にしつつ、TVerや見逃し配信サービスの新たな視聴タイミングとして、今から開拓していくことも検討に値すると考えます。

また、もうひとつまとまった時間がとれそうなタイミングに、「入浴中」があります。
浴室用テレビは以前からありましたが、設置に手間やコストがかかるものでした。最近は防水機能の進化で、ポータブルテレビやスマホ・タブレットなどのデバイスをより気軽にお風呂に持ち込める環境になっています。ポータブルテレビ市場は2017年度実績が17万台、2020年には33万台になるという予測もあります(参考:BCN+R 2018年8月27日「シャープがポータブルテレビ再参入、市場シェアの半分目指す」
入浴中のテレビ視聴もしくはインターネット利用率の現状を「MCR/ex」で確認したところ、直近の2019年調査時点で全国主要7都市計12~69歳全体の9.9%でした。7大都市合計の推計人口は約4934万人。このうちの約1割ですので、500万人近くが現在お風呂にテレビかスマホ・タブレットを持ちこんでいることになります。
また、過去4年の推移を見てみますと、お風呂でのネット利用率がじわじわと上がっていることもわかりました(図7)。

(図7)入浴中のテレビ・インターネット利用率
Zu-7.png

ビデオリサーチ「MCR/ex」2016~2019年 各年4-6月調査 
全国主要7都市(東京50km圏・関西・名古屋・北部九州・札幌・仙台・広島) 12~69才男女:2019年時点n=10814


ziploc.png
参考:30代男性。入浴中にスマホでtwitterやYouTubeを見るためジップロック式の袋に入れて持ち込んでいる
(ビデオリサーチひと研究所「新しいメディアの楽しみ方:写真調査」2019夏~2020冬収集)



大学生15人ほどにヒアリング調査を行った際(※)、お風呂にスマホを持って入る人が2人いました。LINEなどSNSのほか、動画を見ているというので、その理由を聞くと、「単に湯船につかっているだけで、することないから時間がもったいない(女性・大学3年生)」「ドラマとか見てると飽きずに長風呂出来て美容にもいい(女性・大学2年生)」とのこと。
ここには、単なるスマホ依存ではなく、起きている時間を無駄にせず有効活用したいというニーズが表れていました。
前章で述べました通り、若年層は実時間量に比して1.13~1.14倍の情報を消費しています。彼らが起きているすべての時間を有効活用しようとするならば、入浴時間もその範疇に入ると考えられます。
IP同時配信が実現すれば、お風呂タイムをリアルタイム視聴時間にすることもできるでしょう。入浴時間の有効活用策としてのテレビコンテンツ視聴が、新たな商機となるかもしれません。


※ビデオリサーチ「テレビ・動画に関するインタビュー」2019年11月 首都圏大学生5人×3グループ

細切れの時間で、コンテンツ視聴意向を喚起・醸成する

現状、生活時間の中で、上記の「自宅外の昼」と「入浴中」のほかに、テレビコンテンツが入り込めるまとまった時間はなかなか見つけにくくなっています。
しかし、まとまった時間でなくとも、細切れの時間をテレビコンテンツに興味が向くようにすることで、結果的にリーチにつなげられる可能性があると考えます。
前述したように、朝は若年層も自宅内のテレビ視聴が中心、そこから通勤・通学の時間は非映像メディア(≒スマホネット)になっていきます。
この傾向を踏まえると、例えば朝、情報番組の中で番組宣伝をしたあと、まだ記憶が新しい通勤・通学時間帯のSNSでは朝の番宣内容と連動した情報を発信することで、印象をより定着させることができるかもしれません。その後も、昼の時間を利用した見逃し配信視聴促進やSNSでのリアルタイム放送へのリマインド、夕方の情報発信によるリマインド、放送中・放送直後の情報発信、見逃した人向けの配信リマインド、寝る前のスマホ利用時間にはSNSで名場面・名セリフを流す、などなど、生活者の行動タイミングと、そこに合わせたよりきめ細かな施策が考えられます。


例)イメージ
image.png

【画像をクリックして拡大】


また、まとまった時間がなかなか取りにくいことを前提に、細切れでも見られるダイジェスト版コンテンツや、プラットフォーム側に倍速再生機能があることも、コンテンツが選ばれる理由になるかもしれません。
前述の大学生へのヒアリング調査でも、テレビか動画かを問わずコンテンツ視聴するときには「時間短縮のために倍速でコンテンツを見ている」「内容がわかる範囲でスキップしながら見ている」という声をよく聞きました。
これも、あふれる情報量の中にある現代、生活者が限られた生活時間を有効活用するために行き着いた方法のひとつなのでしょう。

今回は、生活者がメディアに使える時間量であるメディアポテンシャル時間とそのタイミングから、選ばれるテレビコンテンツの条件について考えてみましたが、生活者がコンテンツを選ぶ要素はそれだけではありません。コンテンツ視聴に何を求めているか、その時の気分や得たい情報内容によっても異なるでしょうし、ひとりで過ごしているか誰かと一緒の空間にいるかによっても変わるでしょう。ポテンシャルのある時間のすべてがコンテンツ視聴に向いたシチューションにあるとも限りませんし、逆にポテンシャルがないと思っていた意外なタイミングに合わせた最適な情報提供ができれば、あらたな市場が開拓できるかもしれません。
次回は、そういった状況も踏まえ、生活者にとってよりよい視聴体験を創出するのに必要な要素について、もう少し考えていきます。


前半:可処分時間をテレビに向けてもらうには 「(1)メディアポテンシャル時間は平日1日10時間~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第八回~はこちら

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