応援される広告 嫌われないSDGs広告づくりのポイント【Part3】応援されるSDGs広告のクリエイティブ評価事例

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広告・マーケティング
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応援される広告 嫌われないSDGs広告づくりのポイント【Part3】応援されるSDGs広告のクリエイティブ評価事例

全体の趣旨

企業広告、ブランド広告において、SDGs(持続可能な開発目標)に寄り添い、社会性をおびたクリエイティブがテレビCMやWEB動画を通じ、数多く発信される兆しが見受けられます。
とりわけ、SDGsの取り組みのメッセージは、これまでの消費促進の広告とは異なる方向にあるので、販売効果とは別の評価視点を持つことが求められます。
そこで、持続可能な社会に貢献する企業やブランドのメッセージを発信したいとお考えの担当者様に向け、SDGs広告クリエイティブではどんな評価視点が相応しいのかを示し、ビデオリサーチの調査で得られた知見を共有することを目的としています。

関連サービス
SDGsコミュニケーション支援サービス クリエイティブカルテ

3.【Part3】応援されるSDGs広告のクリエイティブ評価事例

①応援スコアには、「表現しているテーマへの実践感」と「テーマと企業の適合性」が重要

渡邊 前回はSDGs広告の総合的な評価の視点として「応援スコア」などを紹介しました。ここ最近、SDGsに関するテレビCMが増えてきています。様ざまなクリエイティブのCMが出ていますが、具体的にどのようなCMが応援される良いCMなのかとても気になります。

寺出 そうですね、今日はテレビCMの認知やクリエイティブ評価を確認し、事後の広告効果の把握ができる調査サービスの「クリエイティブカルテ」の結果を見ながら、応援されるCMとはどのようなものかを考えていきたいと思います。まずはじめに、応援スコアを高めるにはどのような項目が関係しているのか、収集した調査結果から紐解いたことを紹介します。

【図表1】SDGsをテーマとした40素材を対象に偏相関を用いて分析した結果(2021年調査実施)
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前回の記事で取り上げたSDGs広告の評価視点について、調査した40素材の回答率から項目間の関係性をみてみました。図では特に関係性の強かった項目間を線で結んでいます。線の太さが関係性の強さを表していますので、線の太さに注目してください。

すると、赤い太い線の部分ですが、ここでは直接的に企業が表現しているテーマを実践している印象が強まれば応援スコアも高まるということがうかがえますし、ピンクの太い線は、間接的に表現しているテーマに対して企業が合っているということがキーになりそうです。

つまり、クリエイティブカルテのSDGs項目を分析してみると、応援スコアには「表現しているテーマへの実践感」と「テーマと企業の適合性」が重要ということがわかりました。

渡邊 「実践感」と「適合性」というのはなるほどですね。でも、実際にはどのようなCMのことを言うのでしょうか。

②意外性のある組み合わせでも、実践感が伝わると高評価に

寺出 そうですよね、ここからは実際に2つのCMを比較しながらお話したいと思います。調査してきた40素材の中から、応援スコアが高かった物流A運輸のCM2素材を比較してみます。

【図表2】素材Aと素材Bの「応援スコア・社会への貢献」(クリエイティブカルテSDGs項目より)
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応援スコアでは、素材Bの方がやや高く、またテーマの実践度でも素材Bの方が高かったことがわかります。

素材Bでは、製薬会社から医薬品がトラックで運ばれて、患者さんの元に届くまでが丁寧に描かれたクリエイティブとなっていました。物流A運輸が医薬品の物流に携わっていることが具体的に描かれていることで、実際の取り組みとして視聴者の納得につながったかもしれません。こういった納得感が実践度を高めて、応援スコアも高めるということがいえそうです。

渡邊 クリエイティブカルテのSDGs項目では、CM素材の企業イメージへの貢献度もみることができますね。その結果はどうでしたか。

寺出 はい。ここでは、2つのCM素材の企業イメージから、差が大きかった項目をピックアップしてみていきたいと思います。2つのCMの中で1番差が大きかったのが「知っていることが増えた」という項目で、約8ptも素材Bが高い結果でした。物流企業というと素材Aで訴求したCO2ゼロへの取り組みの方が関連は強いと感じる人も多そうです。逆に、素材Bで取り上げられた医療と物流という組み合わせの意外性から、普段一般の生活者としては知らなかった物流A運輸の一面を新しく知ることができたと感じる人もいたのでしょう。
また「信頼感」「能力がある」の項目でも差が大きく出ていました。今こういったご時世で、医療に対する関心も高くなっています。そうしたことから、医療に丁寧に携わっている物流A運輸に対して信頼を感じたり、能力があると感じたりした人が多かったのかもしれません。

【図表3】素材Aと素材Bの「企業・ブランドへの貢献」(クリエイティブカルテSDGs項目より)
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③SDGsのCMは「この企業だからこそ取り組める・表現できる」ことが大切

渡邊 応援スコアには、実際に企業が取り組まれていることや今後取り組んでいくことを丁寧に描いていることがポイントになりそうですね。逆に、応援スコアの順位が低かったCMはどのようなものなのでしょうか。

寺出 気になりますよね。40素材を応援スコア順にランキングし、順位が低かったCM素材をピックアップしてその共有点を考えてみました。例えば、持続可能な社会を目指そうということを訴求したCM(素材C)や、自分らしい生き方をしていこうというのを訴求したCM(素材D)が、応援スコアの低い素材でした。

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渡邊 このCMで表現していることは決して悪くないように思うのですが、なぜ応援スコアに繋がらなかったのでしょうか。

寺出 そうですね、ただ、この2つのCMに限らず順位が低かった素材に共通しているのが、SDGs全域的と言いますか、とても広い訴求テーマを持っているCMといえそうです。

【図表4】SDGs全域的なテーマのテレビCMとそれ以外のテレビCMの「応援スコア・社会への貢献」比較
(クリエイティブカルテSDGs項目より)
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そこで、こういったSDGs全域的なテーマを盛り込んだテレビCMが、それ以外のCMとどんな違いがあるのかをみてみました。左側のポジティブ指標では、SDGs全域的なテーマを持ったCMは、それ以外のCMより評価が低く出ています。一方、右側のネガティブ指標では自己満足感がやや高くなっています。つまり、SDGs全域的なCMは、ポジティブ評価を得られにくい特徴があり、やや自画自賛的に受け取られる傾向があるようです。ポジティブ指標の中で、応援スコアと特につながりがある「テーマの実践度」や「適合度」も低く、これが応援スコアの低さに繋がっています。
クリエイティブカルテの評価では、「その企業だからこそ取り組めること」とか、「この企業だからこそ表現できること」のような、絞り込んだテーマのCMの方が、応援スコアが高くなる傾向があります。また、たくさんのテーマを詰め込むよりは1つのテーマを丁寧に描くことも大切なポイントです。

渡邊 なるほど、SDGsのCMでは、絞り込んだテーマを丁寧に描くことが大切なんですね。

これからも、ビデオリサーチでは、この調査を通じて、広告コミュニケーションの社会貢献力の向上に寄り添っていきたいと思います。

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●応援される広告のポイント
・「SDGs広告のテーマに企業がどのように取り組んでいるか」を丁寧に・具体的に描くことが重要。
・「企業とSDGs広告のテーマがあっていること」が重要。
訴求テーマをある程度絞った広告の方が〇
意外性のある組み合わせでも、実践感が伝われば〇

・訴求テーマを広げて描くと、企業との適合度が薄れ実践感も伝わりづらくなり、企業が自己満足しているCMと捉えられがちに。

クリエイティブカルテの概要

  • 弊社の自主調査で、2016年4月より開始。
  • 依頼素材と自主選定を組み合わせて週2回実施中。
    21年12月調査回の時点で、約4300素材の評価データを保有。

調査方法

  • インターネット調査。CM動画を視聴後に評価。
    自主選定はYouTubeの企業公式ページにあるCM動画で調査。

調査エリア

  • 関東一都六県(に居住)

対象者条件

  • 男女15歳(中学生除く)〜69歳
  • N=540s

【関連リンク】

応援される広告 嫌われないSDGs広告づくりのポイント【Part1】SDGs広告でクリエイティブ評価を特にお勧めする理由
応援される広告 嫌われないSDGs広告づくりのポイント【Part2】SDGs広告のクリエイティブ評価の視点

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