変化している令和の若者男性のスキンケア事情

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変化している令和の若者男性のスキンケア事情

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ 男性のスキンケア事情について情報を収集している方
✅ 自社の化粧品に関する商品/サービスのターゲットを検討している方
✅ 化粧品業界の動向について興味のある方

皆さんは、日ごろのスキンケアに対してどれくらい意識して、どのように対処していますか。乾燥、紫外線、ストレスなどお肌トラブルの原因は千差万別、それぞれ必要に応じて手入れされていると思います。

そんなスキンケア、ひと昔前までは女性のモノというイメージを持つ人が多かったのではないでしょうか。しかし、最近ではメンズエステの広告を見かけたり、百貨店のメンズコスメコーナーが充実していたりと、男性のスキンケアも広く一般に浸透してきているような気がします。

最新のデータを読み解くと、若い男性のスキンケアに対する意識や化粧品の購買行動に変化がみえてきており、彼らの間では当たり前になりつつあるようです。本記事では、変化している令和の若者男性のスキンケア事情を紹介します。

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1.男性のスキンケア市場が急成長

最初に、近年の基礎化粧品市場規模を、ホットペッパービューティーアカデミーが発表した「数字で見る美容業界」のデータで確認してみましょう。

【図1】は、2021年と2022年の基礎化粧品市場規模(推計)です。2022年の化粧品市場の全体推計額は19,109億円、前年比106.6%と伸長傾向を示しています。うち女性が8割を占めており、男性は2割程度にとどまっています。これをみると、スキンケアは女性のモノという印象はあながち間違っているわけではないでしょう。

しかし、化粧品市場規模を前年と比較すると、女性が102.8 %に対して、男性は123.7 %と大きく伸ばしており、男性の化粧品市場が急成長していることがわかります。規模こそ女性には及ばないものの、男性の化粧品市場の急伸が基礎化粧品全体の拡大につながる、そういった期待が持てる結果といえそうです。

【図1】基礎化粧品市場規模推計(2021年、2022年)規模こそ小さいものの、成長著しい男性の化粧品市場。その成長の要因は何なのでしょうか。当社のACR/ex(主要都市7地区・ウェイト集計)から男性のスキンケアに対する意識や購買行動データを活用して、その要因を考察していきます。

2.若い男性のスキンケア意識上昇が顕著

まず、各属性別にスキンケア関心者(※)がどの程度いるのか、その割合と経年変化を確認します【図2】。
※スキンケア関心者...「顔の手入れに気を配っている」と回答した人

全体の傾向としては、男性に比べ女性の方がスキンケアへの意識が高く、また男女とも多くの年代でその意識が年々高まっている様子がうかがえます。

最新データ(2022年)をみると、女性20代の70%がスキンケア関心者です。特に10代を含む若い世代は2018年から2022年にかけていずれも10%以上スコアを伸ばしており、意識の上昇が顕著です。

男性も同じ傾向で、10代、20代の若い世代のスキンケア関心者は、2018年の段階では20%程度だったものが、2022年では30%を超えています。これもまた女性と同様、10代の伸び幅が大きく、20代と同レベルまで意識が高まっています。今では、若い男性の3人に1人が「スキンケアに関心あり」とみられ、彼らの意識の高まりが、【図1】で示した男性の基礎化粧品市場を押し上げたひとつの要因と推察できます。

デジタルネイティブと称され情報源が多岐にわたる若者世代ですが、膨大な情報によりスキンケアに対しても問題意識がひときわ強くなっているのかもしれません。【図2】「スキンケア関心者」割合の推移

市場の成長からみても、意識の向上からみても、若い男性の間ではスキンケアが当たり前になりつつあるようです。

では、そんな若者男性のスキンケア化粧品の購入実態はどうなのか、化粧品にかける希望金額と購入経路について、20代のスキンケア関心者にフォーカスして確認していきます。

3.20代男性のスキンケア購入希望額が大幅増

【図3】は男女20代のスキンケア関心者による「化粧水・ローション」の購入希望額(※)と平均金額を示しています。
※購入希望額:購入する際に満足のいく商品なら出しても良いと思う金額

まず、女性ですが、自身の満足のいく化粧水・ローションには「1000~3000円未満」「3000~5000円未満」なら払えると回答した人(図表赤枠)が全体の約70%を占めており、この価格帯が彼女たちのボリュームゾーンとなっています。女性全体の平均は3,938円、5年前の2018年と比べると微増(6%増)となっています。

一方、男性は、「1000円未満」「1000~3000円未満」と回答した人(図表赤枠)が全体の半数以上(57%)を占めています。「3000円以上」払える(図表青枠)という男性は30%弱、女性(52%)に比べ、手頃なスキンケア用品で十分と考える人が多いようです。

とはいえ、男性はここ4年で購入希望額を32%増(1,878円→2,472円)と大きく伸ばしており、この増額率をみると、今後さらにスキンケア商品にお金をかける男性が増えてくるのかもしれませんね。

「お金をかける」女性に対して、「安く済ませたい」男性の意識が透けてみえる結果ですが、男性のスキンケア商品に対する金銭感覚は確実に変化していることがわかります。

【図3-1】スキンケア関心者の化粧水・ローションの購入希望額【図3-2】スキンケア関心者の化粧水・ローションの平均購入希望額

4.20代は男女とも購入経路はドラッグストアが中心

次に、スキンケア関心者が基礎化粧品をどこで購入しているのか(購入経路※)を【図4】に示しています。
※購入経路のデータは、マルチアンサー(複数回答)での回答総数における各項目のシェア

男女共に最も多いのは「ドラッグストア」(赤枠)で、それぞれ30%前後を占めており、身近な実店舗での購入が選ばれていることがわかります。

それに次いで、女性は「デパート・百貨店」「化粧品専門店」での購入(青枠)が多く、合わせて約30%を占めます。多くの品揃えから実物を確認したり、アドバイスをもらったりできる実店舗を好む人が一定数いるのかもしれません。また、女性は化粧品にかける金額も大きいことから、失敗したくない気持ちも背景にありそうです。

一方で男性は、ドラッグストアに次いで「PC・タブレット、スマホ・携帯でのオンラインショッピングモール」での購入(青枠)が多く、約20%を占めます。男性用化粧品は女性用に比べて実店舗での扱いが少ないためか、商品の選択肢が豊富なオンラインでの購入も多いと推察されます。

【図4】スキンケア関心者の基礎化粧品の購入経路

実物を見て購入したい気持ちや実店舗の品揃えの違いからか、男女間で化粧品を購入する金額や経路に大きな違いがみられました。

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では彼らが化粧品を買う場合、どのような情報から「この化粧品を購入しよう」と決めているのでしょうか。次に化粧品購入時に影響を受けるメディアについてみていきましょう。

5.20代男性は化粧品購入に影響を受ける情報が少ない...?

【図5】はスキンケア関心者の化粧品購入時に影響を受ける情報TOP5を示しています。女性は「ブログやSNSの書き込み」が51.8%と最も多く、「家族・友人・知人などの口コミ」(29.4%)を含め、購入時にSNSや口コミなどの評価を重視している様子がうかがえます。

一方、男性は、「この中にはない」という回答が33.9%を占め、各情報に対して相対的に反応が弱いものの、その中でも「テレビCM」(21.4%)が高くなっています。彼らは、SNSなどの評価よりも、どちらかというとマス広告の影響を受けているとみられます。しかし、回答の多くが「この中にはない」という結果であることから、彼らが情報を認知していない、もしくは接点が少ないとも考えられます。20代男性をターゲットとした広告やコミュニケーションの最適化が求められているのかもしれません。

【図5】スキンケア関心者の化粧品購入時に影響を受ける情報(TOP5)

6.スキンケアに関心のある20代男性はボディケアにも関心がある!?

ここまでは、スキンケアや化粧品との関わりに絞って特徴をみてきました。

最後に、20代男性のスキンケア関心者は化粧品以外にどのようなことに興味を持っているのか、スポーツとの関わりからみてみましょう。

【図6】は、彼らのスポーツの関心度合いを20代男性全体と比較してみました。スポーツに関心があると答えたスキンケア関心者は58.4%で、全体に比べ10%程度上回っています。

さらに、彼らのスポーツの趣味をみると、「筋トレ」「ウォーキング」「ジョギング・ランニング」がTOP3を占めており、中でも「筋トレ」の割合が20代男性全体より10%程度高くなっています。このことから、スキンケアに関心がある若者男性はスキンケアだけでなく、ボディケア意識も高いことがうかがえます。体のメンテナンスにも気を配って自分磨きに励む彼らの姿が目に浮かぶようです。

【図6-1】男性20代スキンケア関心者のスポーツへの関心【図6-2】男性20代スキンケア関心者の趣味(TOP3)

7.まとめ

いかがだったでしょうか。市場の成長からみても意識の変化からみても、令和の若い男性の間ではスキンケア、化粧品利用が一般的になりつつあることが見受けられました。

【ポイント】
・男性スキンケア市場は成長中
・特に、令和の若者男性のスキンケアに対する意識の高まりが、市場をけん引している
・現時点では、彼らと商品との接点やコミュニケーションは不十分とみられる
・これらを活性化して、さらに男性のスキンケアが一般化すれば、男性用スキンケア市場はますます拡大していく

今回紹介したデータはACR/exのほんの一部です。ACR/exでは、ターゲットの意識や商品・サービスの購入の実態などをより詳細に明らかにし、市場動向やターゲットを分析することが可能です。詳しいデータや分析等の事例もございますので、ご要望の方はお気軽にお問合せください。

注1:株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「数字で見る美容業界」許諾を得て引用
https://hba.beauty.hotpepper.jp/search_sp/

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex

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