「C(チェック)」からブランディングPDCAを回す! 豊富なデータを活用した内製化支援
昨今、テレビCMを中心とした広告効果を可視化し、それらを用いてブランド戦略立案の仕組みを社内に構築しようとする動きが各企業に広がっています。ビデオリサーチは、豊富なデータと高度な分析スキルを活用し、「ブランディングPDCA内製化支援ソリューション」の提供を開始しました。
このサービスは、企業のブランド戦略チームにビデオリサーチのコンサルタントとデータサイエンティストが伴走して、PDCAの高速化と自走化をサポートするというもの。具体的なサービス内容について、ビデオリサーチのコンサルタントの若狭谷笑未と、データアナリストの山本勇気が、導入事例を交えて解説します。
<プロフィール>
若狭谷 笑未
株式会社ビデオリサーチ ビジネスソリューショングループ
コンサルタント 兼 ひと研究所 主任研究員
マーケティングコンサルタント兼、ビデオリサーチのシンクタンク「ひと研究所」の主任研究員。専門は、「推し活/ファンエンゲージメント」。「生活者動向分析」「インサイト分析」「広告コミュニケーション設計」なども得意とする。
山本 勇気
株式会社ビデオリサーチ ビジネスソリューショングループ
データアナリスト
2020年に大阪大学大学院を修了(人間科学)し、株式会社ビデオリサーチに入社。調査部門を経て、現在はデータサイエンス担当として、広告効果やメディア最適配分のモデリングなどを行う。「ひと研究所」にて広告受容性研究にも取り組む。
豊富なデータを活用した効果検証を起点に、戦略をアップデート
―「ブランディングPDCA内製化支援ソリューション」は、どのようなサービスですか?
若狭谷テレビCMを中心とする広告効果を可視化して、ブランディングPDCAを自社内で継続的に回すための仕組みづくりをサポートするサービスです。ビデオリサーチのコンサルタントとデータサイエンティストが企業のブランド戦略チームと伴走し、自走化と高度化を後押しします。
最大の特徴は、「C(チェック=効果検証)」を起点にブランド戦略のPDCAを回し始めることです。また、「C(効果検証)」から「A(アクション=改善)」のみならず、未来に向けた戦略の再構築やアップデートに向けた「P(プラン)」のご提案までを一貫して支援するのがポイントです。そしてその後、最終的には効果的な戦略「D(実行)」へつないでいきます。
―ビデオリサーチが「C(チェック)」や「A(アクション)」だけではなく、「P(プラン)」づくりの支援を行う意図はどこにあるのでしょうか?
若狭谷企業のブランドマネージメント部門やマーケティング部門の業務領域は非常に幅広いうえに、高い専門性が求められます。そのため近年は、自社のブランディング施策を見直し、効果を高めるための取り組みを積極的に行なう企業が増加。
それに伴って多くの企業から、「ブランド戦略を自社でコントロールしたいのに、その方法が分からずに外部任せになってしまっている」「広告会社からプロモーション案を複数提案されたときに、判断の根拠がなく迷ってしまう」「立案したブランド戦略が、KPIを達成させるための適正なプランになっているか不安だ」といったお悩みを多く聞くようになりました。
もともとビデオリサーチは調査会社として、長年にわたりさまざまな企業における広告戦略をサポート。「C(チェック)」から「A(アクション)」を導き出すことを中心に、「C(チェック)」から「P(プラン)」をご提案した実績・データも多数蓄積してきました。
例えば、約5,000ブランドに関連する意識や行動、生活者の価値観を大規模消費者調査で聴取した「ブランドデータ」。また、テレビやデジタル媒体における広告出稿状況やログ、接触状況などを分析した「メディアデータ」。さらに、「クリエイティブデータ」として、過去に放送したテレビCMや動画広告における各種評価を約7,000本分所有しています。
多くの企業で「P(プラン)」立案に向けた支援のニーズが高まっている今。こういった多彩なデータを活用して、施策の効果検証と改善、戦略のアップデートのPDCA構築サポートをより本格化させたいと思い、本サービスを立ち上げました。
4つのステップで、「C(チェック)」から「P(プラン)」を導く
―「ブランディングPDCA内製化支援ソリューション」の支援内容を教えてください。
若狭谷支援は4つのステップで実施し、各ステップで「C(チェック)」から「P(プラン)」を導き出します。最初のステップで企業がもともと設定している「全体戦略」を検証し、最適なKPIにブラッシュアップ。その後、「メディア施策」「クリエイティブ施策」「効果検証」と進めていきます。
山本それぞれのステップを、具体的な事例を交えて説明したいと思います。
全体戦略
C(チェック)
A社は、「最適なブランドKPIが分からない」というお悩みをお持ちでした。このケースではまず、売上に寄与する要因を特定するために、ブランドユーザーにアンケート調査を実施し、効果検証することからスタート。「ブランド想起」や「ブランド好意」などのKPIの候補となり得る項目を定量的に評価し、統計的手法で購入にもっとも寄与する要因を特定しました。
P(プラン)
分析の結果、「親近性」「信頼性」「独自性」というイメージがユーザーの心をつかみ、購入に至るまでには「商品を思い出す=ブランド想起」という行為が大切なことが分かりました。そこでA社は、「ブランド想起率の向上」が適正なKPIだと判断できるわけです。
メディア施策
C(チェック)
A社の事例ではまず、KPIに対する各メディアの貢献度をチェックしました。具体的には、前のステップでKPIに設定した「ブランド想起率の向上」への貢献度を、テレビ、YouTube、SNSなどメディア別に数値化。このとき、ビデオリサーチが保有している「テレビの出稿量」や、企業様がお持ちの「デジタルの出稿量」などのデータも活用しました。
P(プラン)
その後、この結果をもとにKPIを最大化する出稿量と予算配分をプランニング。ビデオリサーチが開発した、お客様で最適なメディア配分を確認できる分析ツールを提供し、内製化を支援。ツールの活用に関するアドバイスも行い、随時、サポートも行っています。
クリエイティブ施策
このステップについてA社では、テレビCMで「認知効率の向上」「購入・利用喚起度の向上」をクリエイティブKPIに設定し、CMクリエイティブの改善を行いました。
CMクリエイティブ施策では一般的に、キャンペーンの目的や狙いをオリエンシートにまとめた後、広告会社様からのご提案を受けて企画選定と必要に応じてブラッシュアップを実施。CMオンエア後には効果もチェックし、次回施策につなげていくステップを踏むことも多いのですが、そのなかで今回は、企画選定とブラッシュアップの支援について詳しく紹介したいと思います。
企画選定
C(チェック)
最初に行ったのは、ビデオリサーチが保有する約7,000もの動画広告素材から、広告会社様から提案された各企画案の成功可能性を分析することでした。類似パターンを抽出することでした。狙いは、同様の広告の成功例を分析し、設定したクリエイティブKPIに最も貢献するパターンを導き出すことです。
まず、A社が扱う商品・サービスカテゴリージャンル約300の素材を対象に、クリエイティブ表現の重要な要素である「印象要素」と「広告イメージ」の評価スコアをもとに、クリエイティブ表現の特徴パターンも分析。その結果、6つのタイプに分類されることが分かりました。
さらに、各企画案が6つのタイプ分類のどれに類似しているのかを照合し、その後、タイプ分類ごとにクリエイティブKPIの達成のしやすさを算出しました。
P(プラン)
企画案のうち、A社が取り扱う商品・サービスジャンルにおいて、クリエイティブKPIである「認知率の向上」と「購入・利用喚起度の向上」のスコアが高かったのは、「商品フォーカス型」の企画でした。そこで、「商品フォーカス型」が最も成功しやすいプランだと判断し、この案を選出するに至りました。
ブラッシュアップ
C(チェック)
クリエイティブのブラッシュアップは、クリエイティブKPIの成功率をより高める「クリエイティブ要素」を特定することから始めています。具体的には、「認知効率」と「購入・利用喚起」の両方と相関の高い要素をマッピング。その結果、「キャラクター適合度が高い(CMの内容にふさわしいタレントを起用している)」ことと「親しみやすい表現」であることが重要だと判明しました。
※イメージです。分析結果の傾向はそのままにデフォルメしています。
P(プラン)
「C(チェック)」で特定した二つのクリエイティブ要素と、選出したクリエイティブを照らし合わせたところ、「出演タレントのキャラクター適合度が低い」「映像の雰囲気がスタイリッシュすぎる」という課題が見えてきました。そこで、キャラクター適合度の高いタレントを追加し、映像の雰囲気も親しみやすさを意識して修正することに。このようにしてクリエイティブの質を高めた結果、このCMは継続的に高評価を得ることができました。
効果検証
C(チェック)
施策後には、KPIの達成度を確認するだけでなく、メディア施策とクリエイティブ施策の効果を自社内で確認できるように支援しています。例えば、CMオンエア後に、「テレビCM出稿量」と「ブランド想起率」がどのように連動しているのかを時系列を追って参照できるツールを提供しています。
P(プラン)
こういった分析結果を活用して、次回以降の戦略構築をより効果的なものにアップデートしていきます。提供するツールでは競合他社と比較もできるため、差別化戦略を考える際にも役立つはずです。
課題に合わせて、最適な手段でスキームを構築
―サービスを活用した企業からは、どのような反応がありましたか?
若狭谷「売上に直結するKPIが特定できたので、合理的な戦略に落とし込めるようになった」「広告会社様から複数のクリエイティブ案を提案されたときに、根拠を持って選定や修正依頼ができるようになった」といった声が多く挙がっています。
また、出稿するメディアの配分を効果的に行うことで、KPIの達成率が向上。「出稿後チェック」でも、テレビCMをはじめとしたメディア出稿量に比例しブランド想起率も上昇していることが確認できています。
各施策をデータ分析から始めれば、根拠のあるプランニングが実現します。ビデオリサーチでは、課題に合わせて最適なチームを編成して各社の課題解決に取り組んでいます。ブランディングPDCA構築にお困りの際には、ぜひご活用ください。
ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ブランディングPDCA内製化支援ソリューション」