『見えないCTV広告効果』を可視化せよ【VR FORUM 2025】
[登壇者](右から)
株式会社電通 第1マーケティング局 マーケティングコンサルタント 浦崎 永純 氏
株式会社ビデオリサーチ テレビ・メディアコンテンツユニット 広告グループ リーダー プランナー 山下 陽平
年々拡大するCTV広告市場。しかし「テレビCMとの効果比較ができない」など、データが整備されていないことによる課題が山積しています。CTV広告効果を可視化するにはどうすれば良いのか。電通×ビデオリサーチによるテレビCMとCTV広告データを組み合わせた新たな分析手法をお伝えします。
急成長する、CTV広告市場
セッション冒頭、山下は、ビデオリサーチのマーケティングデータ「ACR/ex」からテレビを利用した動画配信サービスの利用に関するデータを紹介しました。
データからは、2019年から2025年にかけて、テレビのインターネット接続率が約1.7倍、動画配信サービスの利用率が3倍近く増えていることが読み取れます。こうした背景もあって年々拡大しているのがCTV(コネクテッドテレビ)広告市場です。山下は「広告主とメディアの双方にとって注目度の高い市場となっている」と話しました。
CTV広告の立ち位置について浦崎氏は「見られ方はテレビであり、買い方(=バイイング)はデジタル」だとコメント。CTV広告はテレビ受像機で広告を見られることによる効果が大きい一方で、デジタル広告と同様のターゲティングや予算感で購入できるところが特徴だと話しました。
山下は、2024年にベータ版として関東地区でリリースした「STREAMO」を紹介しました。
「STREAMO」は、テレビ視聴率(PM)パネルを用いて、テレビ視聴のみならず動画配信プラットフォームの視聴も測定するサービス。加えて今回、テレビCMとCTV広告についても測定し、視聴率(PM)パネル内でリーチを確認できるようになったことを説明しました。
電通×ビデオリサーチが取り組んだ、CTV広告の計測
続いて浦崎氏から、「STREAMO」の広告測定の実績を得るためにビデオリサーチと実施したPoCの結果について、紹介がありました。
浦崎氏は、「広告/メディアリーチから規模感を把握できたが、当時はCTV広告で補足できていない部分もあったのではないかと感じた」と説明。また、プラットフォームごとのリーチ傾向線やリーチ重複の傾向を把握することもできたと話しました。CTV広告はテレビ受像機による視聴のため重複はランダム視聴の場合と比べて大きくなり、プランニングではこれを補正することが重要になります。
さらにプラットフォームごとのリーチ傾向線やリーチ重複の傾向から予算配分と統合リーチも算出。データはダミーであるものの、リーチマックスにするための予算配分は10パーセントほどあったほうが良いこと、プラットフォームを複数組み合わせた方が効果的であることがわかりました。浦崎氏は「こうした分析を行うことで、CTV広告の現在地を知ることができた」と話しました。
「共視聴」のデータを分析。ターゲット以外のリーチ状況も明らかに
浦崎氏からは、CTV広告は「見られ方がテレビ」であり、「共視聴」される点も特徴とコメント。共視聴とは、数人が同じ映像コンテンツや広告を同時に視聴することであり、山下は、テレビはそもそも複数人で見ることが想定されるデバイスで、そこがわかることもPMパネル測定ならではのポイントだと話しました。
浦崎氏は、PoCで分析した、とあるキャンペーンのCTV広告の共視聴のデータを紹介。このデータからは1人視聴が8割、共視聴(複数人視聴)が2割ほどいることがわかります。またPMパネルで測定すると1人視聴におけるメインターゲットの割合に加え、共視聴でどのような人たちにどれくらい届いているのか、「共視聴のオンターゲット率」を読み取ることが出来るだけでなく、メインターゲット以外の視聴もおまけでついてくるというテレビ視聴ならではの特性も確認できました。
次に山下が、PoCではない別のデータを用いて共視聴を分析した事例を紹介しました。一定期間内で測定されたすべての広告における共視聴の分析をしたもので、平均共視聴率は1.3人。また2人視聴の組み合わせは、C(男女4~12歳)とF2(女性35~49歳)、M2(男性35~49歳)とF2が多いこともわかりました。
この結果に対して浦崎氏は、「どのような組み合わせで共視聴されているんだろうと思っていたところ、この分析から親子や同年代の夫婦やカップルが多いということがわかり、興味深かった」とコメント。共視聴の中身が見えるところも「STREAMO」の強みだと評価しました。
さらに共視聴の状況がわかることで、例えば商品の利用者と購入者が異なっていたり、ターゲット以外でも商品を購入してくれたりする人がいる時に、広告主に説明できることも利点として挙げられます。
浦崎氏は、PoCの結果を振り返り、基本的なリーチフリークエンシーの状況や、出稿とリーチの関係・傾向を見ることができたとコメント。この結果から、リーチMAXの予算比率や予算配分の算出ができるようになったと話しました。一方で、メディアリーチの広告の傾向から、スキッパブル広告(途中でスキップができる広告)で補足できていないものが多いことを課題として挙げました。
新サービス「CTV広告データ」をリリース。CTV広告のこれから
2025年10月より「STREAMO」が全国32地区で提供開始。更に同じタイミングで新たなサービス「CTV広告データ」の提供も開始されました。山下は「STREAMO」のプラットフォーム判定と、テレビ広告統計(関東・関西・名古屋・BSを対象にサービスを展開)のCMマスタの照合結果を組み合わせることで、テレビ出稿のある広告素材に限ってCTV配信動画広告を自動的に測定・データ化することが可能になったことを説明しました。
本サービスは、テレビCMやCTV広告を横断した分析はもちろん、競合の出稿動向がわかるところも特徴です。さらにCMの判定基準を6秒以上に変更したことにより、測定できる広告がPoC時よりも拡大しました。
山下は、新たにリリースされた「CTV広告データ」(2025年7月・8月関東地区)の分析事例を紹介。
一例をあげるとプラットフォームの接触者ベースで視聴者構成割合を算出したデータを紹介。C層に強いプラットフォーム、F層に強いプラットフォームなど、プラットフォームごとに視聴者層に違いがあることを説明。山下は、プランニングの段階でプラットフォームを選定する際の参考になるのではとコメントしました。また広告接触者ベースや、プラットフォームの広告接触者とCTV広告の接触者ベースでの視聴者構成割合を比較することも可能だとアピールしました。
「CTV広告データ」の分析事例の紹介を受け、浦崎氏からはPoCを実施した時より判定秒数が6秒以上になったことは大きい進化だと評価。ただ課題として、テレビの広告統計では採れていないデジタルオリジナル素材の採録や、CTVだけではなくパソコンやスマートデバイスの接触も採れるようになればより良いのでは、と意見を述べました。
山下も、当社としても同様に課題として感じているとコメント。特に、現状は広告の測定対象が東阪名およびBS局で放送された素材のみに限られているため、測定対象を拡大していきたいと考えていると話しました。具体的には、デジタル広告のデータベース化を行っているサービス「digiads」のマスタ活用を検討しているといいます。またスクリーンの拡大についても、「digiads」や他のデータを活用できないか探っていきたいと話し、さらにCTVだけではなくTVCMについてもローカル局の測定対象を拡大したいと展望を語りました。
「本日紹介したデータは完璧なものではないので今後さらに皆さんに利用いただけるように進化していきたい」と展望を述べ、セッションを締めくくりました。
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