テレビ画面で動画サービスを視聴する人のリアル②~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第四回 ~

落合 彩子
ソリューション事業局 ひと研究所
落合 彩子
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第四回目は、第三回に引き続き動画サービスをテレビ画面で視聴する生活者の実態をテーマとして、「30代男性Aさん」の事例をご紹介します。

 まとめ
 ・「スマホながら視聴」は、動画サービス視聴時にも起こる
 ・テレビ画面での動画サービス視聴でも、ザッピングに近い視聴は起こる?!
 ・今見たいジャンル・コンテンツを提供するサービスを選ぶ

動画サービスの視聴実態~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第一回~
テレビ放送と動画サービスのイメージは違う?!~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第二回~
テレビ画面で動画サービスを視聴する人のリアル①~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから" 第三回~


調査では、自然な生活の中での映像(テレビ放送・動画サービス)視聴実態を把握することを重視し、自宅でのビデオ撮影による観察(ビデオエスノグラフィー)という手法を用いて実施しました。
また、撮影した映像を元に個別のインタビューも行いました。

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【Aさんの生活行動(2日間)】

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Aさんは、外出時間が長く、自宅で映像(テレビ放送や動画サービス)を視聴するタイミングは、朝食・身支度時、日中の外出の合間、外出から帰宅後~就寝までと限られており、映像視聴時間は2日間通して合計155分でした。(第3回のBさんの半分以下)。
Aさんは会員制の図書館サービスを利用していて、外出先でもスマホで動画をよく視聴していました。

ここからは、自宅内で映像(テレビ放送や動画サービス)を視聴しているシーンに絞り、4つのシーンに分けて詳細をみていきたいと思います(上記視聴シーン①~④)。噴出しコメントは、各シーンで「その映像コンテンツを選んだ理由」・「映像視聴時の行動」についてインタビューした内容になります。

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【Aさんの事例での気づき】

■視聴スタイルについて

自分でコンテンツを選んだ場合でも、スマホながら視聴は当たり前?!

第3回のBさんの視聴シーンの中でも、スマホを利用する様子を紹介しましたが、Aさんにおいても、スマホをさわりながらテレビ画面で動画サービスを視聴する様子が確認できます。
Aさんの場合、コンテンツを自身で選んで見始めた動画サービス視聴の際にもスマホを利用していました。この実態は、今回の調査結果の中でも大きな気づきでした。

また、Bさんと同様、Aさんも「スマホながら視聴中は、手元のスマホだけに集中しているのではなく、ニュースやバラエティなどは音声で内容は把握できている」とインタビューで発言しており、スマホをさわりながらも耳で内容を聞いていて、気になるとテレビ画面をちらっと見る、という<スマホながら視聴スタイル>が定着しているようです。

テレビ画面での動画サービス視聴でも、ザッピングに近い視聴は起こる?!

Aさんの映像視聴シーンで特徴的なのは、1つのコンテンツあたりの視聴時間の短さです。テレビ画面を使った視聴にも関わらず最も長いコンテンツでも26分でした。
Aさんが見ているコンテンツジャンルが、ニュースやビジネス関連のバラエティやアニメということも影響していますが、自身で選んで見始めても、最後まで見切るものの方が少なく、途中で他のコンテンツを探すという動きが度々見られました。

特にAbemaTVは、動画サービスだけどNetflixやAmazonプライムとは異なり目的もなく何か見たいという時に利用しており、テレビ放送に近い感覚でザッピングのような見方になっているようです。

■コンテンツ選びについて

今見たいジャンル・コンテンツを提供するサービスを選ぶ

Aさんの場合、「日曜の朝はアニメの気分」という発言からも、時間帯で見たいジャンルが決まっており、そこにあてはまるコンテンツをテレビ放送・動画サービスの中から選んで視聴していました。特に、夜23時台にはニュースを見たいというニーズに応えたAbemaTVは、Aさんの生活に定着し、その時間帯は目的なしでとりあえずAbemaTVをつけるという習慣まで生み出しました。いかに今の生活者にとって、その時に見たいジャンル・コンテンツを届けることが重要であるかをAさんのケースを通して実感できました。

では、この時間帯別に何が見たいかどうかは、一体何で決まってくるのでしょうか。
Aさんの「日曜朝=アニメ」は、世代的に子供の頃の視聴習慣によって形成された可能性が高いと推察されます。おそらく過去の習慣以外の要素もあると考えられるので、時間帯別の気分や選ばれやすいジャンルについては、研究を継続していきたいと思います。

外出の合間や帰宅直後の最初につけるのは「テレビ放送コンテンツ」

インタービューでは「外出から帰宅した際はまずテレビをつけてテレビ放送を流す」という発言もありました。視聴時間が限られているときや外出先から帰ったときなど、すぐに何かしら映像を流したい場合、電源を入れるだけですぐに視聴できる「テレビ放送コンテンツ」が選ばれやすいのかもしれません。

ビデオエスノグラフィーを通じて...

今回2名のビデオエスノグラフィーを通じて感じたのは、「スマホを常に自由に利用できるように空けておきたい」という生活者のスマホ利用に対する優先度の高さです。
その意識が、動画サービスもテレビ画面に映して視聴するという行動を促す1つの大きな動機づけになっているのだと思います。

今回は、30代の映像視聴の実態を見ていきましたが、現在の子供たちは、スマホやタブレットなどのスマートデバイスでの映像視聴ができる環境で生まれ育ち、映像コンテンツ(テレビ放送由来か動画サービスか)の垣根を意識することが少なく、動画広告を含めた映像視聴に対する意識が今の大人とは全く異なると思います。
ひと研究所では、これからの世代(次世代)の映像視聴についての研究もすすめていき、今後も生活者に選ばれる映像コンテンツのあり方を明らかにしていきたいと思います。

【調査概要】
■自宅でのビデオ撮影による観察(ビデオエスノグラフィー)およびデプスインタビュー
調査方法:対象者の自宅にビデオカメラを設置いただき、テレビ画面での映像視聴の
様子を2日分撮影いただき、後日その映像を見せながらインタビュー

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調査日時
 [ケース①(Aさん)30代男性]
2018年10月20日・21日 :自宅内での撮影
2018年 11月5日:インタビュー実施
 [ケース②(Bさん)30代女性]
2018年8月26日・30日 :自宅内での撮影
2018年 9月9日:インタビュー実施

調査対象者:テレビ画面でふだんから動画サービスを見ている人
~対象者条件~
・テレビ画面・スマホの両方でコンスタントに動画を視聴している人
・テレビ放送を全く見ない人を除く
・主要な動画サービスのいずれかを利用している
 (YouTube、Amazonプライムビデオ、AbemaTV等)
・SNSを高頻度でやっている(Instagram、Facebook、Twitter)

■ACR/ex
調査対象者:12~69歳男女個人
調査エリア:東京50Km圏
目標サンプル数:4800人
調査方法:電子調査票による調査
対象者抽出方法:エリア・ランダム・サンプリング
調査時期:2015年/2016年/2017年/2018年 4~6月調査

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