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メディア
2020年03月25日

新しい視聴スタイルから考える、これからのコンテンツ提供~生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第十回~

對馬友美子
ソリューション事業局 ひと研究所
對馬友美子

新しい視聴スタイルから考える、これからのコンテンツ提供~生活者と「映像コンテンツ」の

生活者がメディアに使える可処分時間=メディアポテンシャル時間は平日10時間。
その時間を少しでも多くテレビコンテンツ視聴に振り向けてもらうにはどうしたらよいか、第八回第九回では、時間帯やその時の生活行動やシチュエーションなどの生活シーンから、選ばれるテレビコンテンツの条件について考察しました。

しかし、生活者のコンテンツ選択に影響する要素は、タイミングやその時の生活シーンだけではありません。気分によって選ぶこともあるでしょうし、ジャンルや出演者への嗜好性も影響するでしょう。ひとりで過ごしているのか、誰かと一緒の空間にいるのかによっても違うでしょうし、誰かと一緒にいる場合はその相手との関係性によっても選択が変わってくるかもしれません。
今回はコンテンツ選択に影響しそうな要素から、これからの生活者にとってより良い視聴体験を創出するためのヒントを探っていきます。

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<第十回のポイント>

■デジタル環境の変化により、今までにはなかった新しい映像コンテンツの視聴スタイルが生まれている
■手がふさがっていても、目や耳が空いていると「暇」-そこに映像視聴ニーズ有り
■生活者が選ぶメディア・プラットフォームには、その時の気持ちや気分のモードが関係
選ばれるコンテンツになるには、生活文脈に合わせた「視聴体験全体をデザインする」視点が必要

映像コンテンツの新しい視聴スタイル:有料配信メディアでも受動的な視聴?

デジタル環境の変化やデバイスの進化は、生活者のテレビを含めた映像コンテンツの視聴スタイルにも変化をもたらしています。
お昼の時間帯にスマホで動画を見ながら食事、家族がみんな同じリビングにいてそれぞれ違うスクリーンを見ながらの団らん、テレビとスマホ・タブレットやPCなどのダブルスクリーンやトリプルスクリーン同時利用、オンデマンド動画を遠くにいる友人と同時に視聴しながらスマホで語り合う遠隔共視聴など、今までにはなかった新しい視聴スタイルが次々生まれています。
(参考:第六回第九回

hito_3.pngタブレットで動画を見ながら、スマホで検索し、ゲーム機でゲーム実行中。トリプルスクリーンを駆使する20代大学生男子



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スマホで動画を見ながら昼食をとる人



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遠くの友人と同時に同じ動画を見ながらスマホで会話をする20代男性



ビデオリサーチひと研究所「新しいメディアの楽しみ方調査」2019春~2020年冬


そういった新しい視聴スタイルを多々目にする中で、気になる点が出てきました。
以下の写真を例に説明します。自宅でタブレットとイヤホンで動画を見ながら夕食をとっている30代男性です。

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タブレットとイヤホンで動画を見ながら夕食をとる30代男性


ビデオリサーチひと研究所「新しいメディアの楽しみ方調査」2019春~2020年冬



状況を詳しくヒアリングしてみたところ、仕事で22時過ぎに帰宅後、ひとりで夕食をとるが、テレビをつけると音で幼い子どもと妻を起こしてしまうから、手元にタブレットを置いてイヤホンで動画を見ている、とのことでした。
見ているのはHuluの海外ドラマ。Huluを利用しているのは、携帯電話会社のキャンペーンで無料で見られるからで、自ら積極的に契約したわけではありませんでした。また、見ているドラマについても、事前に番組情報を知り視聴意欲が喚起されて選択、という積極的な視聴行動ではなく、配信されているプログラムの中から興味を引くものを見つけた、という偶然性の高いコンテンツ選択行動のようでした。
「無料」「受動的」「偶然性」・・・これらはまさに、テレビの見られ方と同じではないでしょうか。
この時の彼の状況を整理すると、テレビ受像機の代わりに映像が映せるデバイスが手元にあり、Huluというプラットフォームが使える環境にあり、そこで配信されていたプログラムの中から面白そうなコンテンツ探して選択した、となります。
テレビ(受像機)をつけて、その時放送している番組の中から、その時の自分の興味に合った番組を探して、チャンネルを切り替えながら見つける、テレビの視聴前行動とほぼ同じと言えましょう。
彼がこの時選んだのは海外ドラマでしたが、もしここでテレビコンテンツが目に入り、そちらのほうが面白そうだと思ったら、それを選んでいたかもしれません。
メディアやプラットフォーム、コンテンツの選択のされ方が、従来のテレビのチャンネルや番組の選ばれ方に近くなりつつあるとすると、テレビコンテンツをどのメディアやプラットフォームに置いておくかだけではなく、コンテンツが選ばれやすいよう目を引くサムネイル(見本画像)や番組テキスト情報の作り方、嗜好性を判別しレコメンドにあげるためのタグのつけ方も、視聴を促す大事な要素となってくるでしょう。そして、その要素を作るには、メディアやプラットフォーム、コンテンツを選ぶときの生活者の気持ちや気分の理解が必要と考えます。



映像メディアを見たくなるのは、「暇=目と耳が空いている」とき

これまでいろいろな生活者の声を聴く中で、映像コンテンツの視聴形態や選択肢の拡がりとともに、生活者はどのメディアやプラットフォームを選べば、その時の気持ちや気分に合ったコンテンツが見られるのかを理解し、使い分けている傾向が見受けられました。
そういった生活者の気持ちや気分のモード(状態)とメディア・プラットフォームの関係を定量的にも確認するため、普段利用している様々なメディアやプラットフォームについて、どんな気持ちの時に利用するかを聴取しました。
ここではF1層(20~34歳女性)が利用する代表的な映像メディア・プラットフォームに絞り、紹介します(図1)。

図1 各映像メディア・プラットフォームを利用するときの気持ち・気分<上位5位>
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ビデオリサーチ「メディアポジショニング調査」 2019年10月 インターネット調査 全国 15~69歳男女n=4879 うちF1:n=635



テレビのリアルタイム放送・TVer・YouTube(YouTuberの配信動画)・Amazonプライムビデオ・Netflixの5つに絞って利用時の気持ちや気分を見てみますと、いずれも「暇つぶし」が最上位でした。映像メディアは、人が「暇」と感じるタイミングに見たい気持ちが喚起されるメディアである、ということが改めてわかりましたが、この「暇」と感じる時間の感覚は人によって、または状況によって様々と思われます。例えば、何も予定のない休日の1時間を「暇」と感じる場合もあれば、電車が来るまであと3分というときの待ち時間を「暇」と感じることもあるでしょう。インタビュー調査で、「朝、決まった時間に家を出るが、準備が早く終わって1分くらい"暇"な時間があると動画を見る」と言った20代の社会人男性もいました。

第八回で紹介した通り、今の生活者は実際の時間量より多くの情報を消費しています。スマホなどモバイルデバイスの普及で、他の行動をしながらメディアに接触することがより容易になってきました。こういう生活が普通になってきた今は、手がふさがっていても目や耳が空いていると、「暇」と感じられやすくなっているのかもしれません。そう考えると、映像メディアは、目や耳が空いている「すき間時間にも入り込める余地があると言えるでしょう。

その他に共通なのは「笑いたい」「落ち着きたい」など、映像メディアには"気持ちの切り替え"を求められていることも共通のようです。

現実逃避?リラックス?癒し?生活者はどんな気持ちのときにどんなメディアを選ぶ?

一方、それぞれのメディアに特徴的な点もあります。リアルタイムのテレビは「ぼーっとしたい」時の利用が第2位。他のメディアでもランキングには入っていますが、スコアが圧倒的に高いのが特徴的です。
テレビのリアルタイム放送は、現時点ではほぼテレビ受像機で見られていると想定されます。以前インタビューで、「家に帰ってテレビのスイッチを入れるとホッとする」と語っていた20代女性がいました。リモコンのスイッチひとつで何かしらの番組がすぐに映るテレビ放送は、張り詰めていた気持ちを緩め、複雑な操作をしなくても済み、何も考えずにいたいときに眺めているのにちょうどよいメディアなのかもしれません。
YouTubeやAmazonプライムビデオ、Netflixは、テレビコンテンツメディア(リアルタイム、TVer)に比べ、より積極的に視聴に向うモードが見えます。いずれも「現実逃避」がランクイン、それ以外にAmazonプライムビデオは「幸せな気分になりたい」、YouTubeは「知らないことに出会いたい」が入っていたのが特徴的でした。
F1層は、それぞれの映像メディア・プラットフォームに対して、このような気持ちのモードを受け止めてくれるコンテンツがあると認識していて、その時々の状況により合ったものを選択している、と考えられます。
数多(あまた)ある映像コンテンツの中からテレビコンテンツに目を向けてもらうには、番販の場合であれば番販先プラットフォームの利用モードイメージに合致した情報の出し方を、自社配信であればどのようなモードイメージを持ってもらいたいかなどプラットフォーム自体のモードイメージ構築戦略から、改めて考えることも必要かもしれません。

選ばれるコンテンツになるには、生活文脈に合わせた「視聴体験全体のデザイン」が必要

前々回から今回まで、生活者のメディアに使える時間量やタイミング、気持ち・気分などのモードなど様々な生活文脈から、選択されるコンテンツの条件を考察してきました。
しかし、生活者が映像コンテンツに触れる機会や視聴形態が多様化・複雑化している現在、選ばれるコンテンツになるためには、改めて考えなければならない要素が他にもまだあります。
例えば、ユーザーインターフェイス(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)。冒頭で紹介したように、レコメンドによる番組選択行動が増えていくと、サムネイルや番組情報の見やすさや視聴意向を喚起する情報提供、コンテンツ選択の簡便さ、視聴開始までの操作が少ないなど、わかりやすく快適なUI/UXもコンテンツ選択に密接にかかわってくるでしょう。
前回お伝えした通り、現代の生活者は忙しく、まとまった時間が取りにくい分、細切れの時間を有効に活用しています。そのため、コンテンツのダイジェスト化など短時間で見終わる工夫もますます必要になってくると考えられます。
受動的な視聴を待つばかりではなく、コンテンツの積極視聴を促す、メディアやプラットフォームに誘導するための情報接点の創造や、そこで提供する情報の出し方の工夫も重要です。
生活者に選ばれるメディア・プラットフォーム・コンテンツになるためには、あらゆる角度から生活者を見つめ、生活文脈を理解し、視聴前後も含めた視聴体験全体を「デザイン」していく視点が求められていると言えましょう。
ビデオリサーチは、視聴体験のデザインづくりをお手伝いすることで、これからもコンテンツ提供に関わる企業と生活者をつなぐ役割を果たしていきます。


例)イメージ
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