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メディア
2020年03月27日

購買ファネル上のメディア・エンゲージメントからみた広告メディア別の役割

吉田 正寛
ソリューション事業局 マーケティングソリューション部
吉田 正寛

購買ファネル上のメディア・エンゲージメントからみた広告メディア別の役割

広告メディアの効果指標として、リーチ指標である「延べ接触人数(回数)」があります。これに加え昨今、態度変容指標への関心が高まっています。また、現在こうした態度変容指標は、デジタル起点の「購買ファネル」で考えられることが多いのではないでしょうか。
弊社では、これまで各メディアの広告に対して、生活者が一般にどのような印象を持つか=「メディア・エンゲージメント」という考え方に注目し、可視化するための研究を行ってきました(吉田,2019)。これまでの研究を通じて、テレビはインパクト、新聞はミッドファネル、デジタルはタイミングという役割があることがわかりました。今回は商品・サービスの購買ファネルでの役割をとらえるために、ACR/exの追加調査枠(Connect/ex)で購買ファネルに合わせた「メディア・エンゲージメント」項目を新たに設定し、調査分析を行った結果をご紹介します。

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【ACR/ex】   



項目作成と調査実施方法

「メディア・エンゲージメント」には、現状共通化された測定指標が存在しないため(石崎,2009)、購買ファネルに沿った効果イメージワードを独自に検討しました。また、購買ファネルも同様に各研究・取り組みで統一的なものは存在しないため、想定される効果シーンをもとに新たに作成しました。イメージワードは全部で28ワード、各ファネルに複数のワードが存在するように設定しました(図表1)。


【図表1】購買ファネル別のメディア・エンゲージメントイメージワード
zuhyo_1.PNG



なお、測定項目は、商品・サービスがメディアで取り上げられた時に持つイメージのメディア差としての設問にしました。具体的には「あなたが関心のある商品・サービスが以下のメディアで取り上げられていた場合、その商品・サービスにどのような印象を持ちますか。」という質問に対して、各メディアであてはまるイメージワードを回答する形式です。メディアは図表1右側の12メディアを対象にしました。(調査はACR/exの追加調査枠「Connect/ex」の19年12月度で実施し、最終的に4,920件の回答を得ました。)

結果

各メディアの「メディア・エンゲージメント」測定指標を、各メディア接触者ベースで集計した結果を図表2に掲載します。各イメージワードで高スコアのメディアBest3をみると、各メディアの購買ファネル上でのメディア・エンゲージメントにばらつきがありました。

【図表2】メディア別各購買ファネルのメディア・エンゲージメント(%)
zuhyo_2.PNG
Connect/ex 2019年12月実験調査結果より



地上波民放テレビは多くの項目で高スコアでしたが、中でも想起、興味関心、意向、購入で高いスコアでした。興味深い点としては、「想起」「興味関心」といったインパクトに限らず意向や購入といったファネル下層でも効果が高い点です。BS放送はイメージ形成に強みがあり、内容理解が高くなっています。嗜好性の強いコンテンツに加えCM尺が長いための結果といえます。CS放送は、より嗜好性が強く「自分好み」に特徴があります。「質の良さ」「他と違う」など差別化に有意義といえます。同じテレビCMであっても、メディア・エンゲージメントが大きく異なる結果でした。
ラジオでは、想起や興味関心に加えて、推奨に強みがあります。特に推奨(人にオススメしたい)は強く、波及効果が期待できます。リスナーとパーソナリティの絆が強いメディアゆえの結果と考えられます。また「イベントに行ってみたい」はラジオならではの結果です。商品イベントなどへの誘引を狙ったキャンペーンに効果を発揮するようです。
紙媒体をみると、新聞は「役立つ」「信頼」「お墨付き」といった堅実なイメージに加え、興味関心、内容理解に強みがあります。これらが複合的に合わさり、ミッドファネルへの効果に繋がっているようです。雑誌は興味関心に加え、「あこがれ」「かっこいい」など好印象形成に強みがあります。同じミッドファネルの効果形成でも、新聞と雑誌では形成される背景が異なるようです。
ネット動画広告は流行感とインパクトが強い結果でした。短尺のインパクト重視素材が多い点に起因しているようです。同じ動画メディアでも、交通、ネット動画、テレビCMとそれぞれ異なるメディア・エンゲージメントになっている点は興味深いです。ネット静止画広告は、検索を誘引する従来通りの特徴が出ています。昨今よく活用されるSNSは「流行」「憧れ」からトライアル意向を喚起、関与を形成する点に強みがありました。

結果の活用

今回は、これまでの当社研究(吉田2019)を一歩深め、「メディア・エンゲージメント」を購買ファネルでの商品・サービスへのイメージ影響の観点で確認しました。これにより、各メディアのメディア・エンゲージメントがより明確に分化し、実際のプランニングでの商品・サービスのステータスに合わせた役割の検討において活用しやすい結果が得られました。加えて、各メディアで効果上の役割が異なる点が改めて明らかになり、1つの効果指標から出稿の最適化を考えるAllocationではなく、出稿を最適に組み合わせるCombinationの考え方がメディアプランニングにおいて重要であることがわかります。
では、どのようにプランニングに活用できるのでしょうか?弊社ではこれまで、リーチ指標と態度変容を掛け合わせて、各メディアの推定効果を算出する考え方を提唱してきました(吉田,2017)。今回は、この考え方を発展させ、リーチ指標「延べ接触人数(回数)」に、今回のメディア・エンゲージメントを組み合わせて各メディアの推定効果を試算する方法を用いて、各メディアのリーチメディア・エンゲージメントにリーチの要素を加味でき、実態に近い推計を行うことが可能です。結果的にメディア・エンゲージメント項目でみられた大小関係が逆転するという現象もみられるなど、広告効果を幅広く比較検討することができることに繋がります。こうした概念ついての詳細は、また別の機会にご紹介させていただきたいと思います。


<参考文献>

・石崎徹(2009)「広告媒体の質的効果の観点によるメディア・エンゲージメント概念の検討」『専修大学経営研究所報』178、1-16ページ
・吉田正寛(2019)「メディア・エンゲージメントを加味した広告メディア価値可視化と出稿最適化への応用 最適配分から最適組み合わせへ」『日経広告研究所報』306号、18-25㌻,
・吉田正寛(2017)「広告のメディア出稿配分を考える(前編)~ACR/exを用いた簡易的な出稿配分分析~」VRダイジェストプラス



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