【VR FORUM2020】基調講演:DXで繋がる消費者・メディア・コンテンツの未来 「オーディエンスジャーニー」の考え方を提唱

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【VR FORUM2020】基調講演:DXで繋がる消費者・メディア・コンテンツの未来 「オーディエンスジャーニー」の考え方を提唱

初のオンラインセミナーで4,452名が参加。 過去最高の参加者数のFORUMに。

ビデオリサーチは2020年11月17日(火)「メディアの新しい価値を見逃すな。」をテーマに VR FORUM2020を開催、全7講演において4500名超の多数の方に参加頂きました。今回、初のオンライン開催となりましたが、初参加の方や、東京以外からの参加も多く、今まで以上に広がりのみられたFORUMとなりました。ここであらためて御礼申し上げます。
さらに、アンケート結果からは回答者の実に9割以上の方が「満足」。「最新のメディア業界動向について聴けた」という感想は7割を超えるなど全般的に高評価を頂きました。新たな取り組みとなったオンラインやアーカイブ配信を通じて、従来より多くの皆さまに情報をお届けできたことは、今後のFORUMの在り方や方向性を示唆するものとなりました。


「コロナ禍で人との物理的な繋がりが制限される中でも、人気コンテンツがあれば、人々は繋がることができる」と電通の五十嵐博氏。コンテンツ接触の前後段階も含む顧客体験を創出する「オーディエンスジャーニー」の考えを提唱しました。

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▲[ 登壇者 ]株式会社電通 代表取締役社長執行役員 五十嵐 博氏

コロナ禍の" 新しい日常" と消費者のメディア意識の変化

冒頭、五十嵐氏は、電通が定点的に実施している「電通コロナ禍ディープ・インサイト調査」を通して、「" 新しい日常"に向けて消費者たちが実際に行動を起こし始めており、メディアに対する向き合い方も変化している」と指摘しました。さらに「家族との絆や家族と過ごす時間をより大事にするようになった」「人生を自分らしく思う存分楽しみたいという気持ちが強まった」などが、コロナ禍で上昇していることに触れました。

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人気コンテンツを中心に、人々が繋がる

五十嵐氏は「力強いコンテンツは、コロナ禍においても人々を強く惹きつけ、繋いだ」と語り、コロナ禍におけるヒットコンテンツの事例としてテレビドラマ『半沢直樹』、テレビアニメ『鬼滅の刃』を紹介。1分以上のリーチという尺度で見た場合、『半沢直樹』は累計で7,408万人、『鬼滅の刃』は4,916万人に達しており、『半沢直樹』については9月27日の最終回放送中、43万件ものツイート数を記録したとして、「コロナ禍で人との物理的な繋がりも制限されるなかでも、人気コンテンツがあれば、人々は繋がることができる」との見解を示しました。

続いて五十嵐氏は「コンテンツを視聴する場所は多様化してきている」と、YouTube、TVer、radikoといったメディアプラットフォームの利用者が急増している実態を報告。「メディアのDXというと、あくまで一人ひとりの視聴者が各自の好きな時に好きなものを見る、という視点になりがち」とその見方を注意した上で、これらの調査結果が「強力なコンテンツを中心に、人々が大きく繋がっていく」という流れを証明するものであると強調しました。

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コンテンツを軸にした「コミュニティ」を実現できるメディアが選ばれる

五十嵐氏は『鬼滅の刃』のファンたちのSNSでの盛り上がりを例に、彼らのコンテンツを起点とした行動によって、身の回りやネット上の人々とのつながりを作った人のあいだで「コミュニティ」が生まれていると解説します。また、オンラインゲーム『Fortnite(フォートナイト)』の仮想空間を" 会場"として世界中から50万人の参加者を集めたアーティストの米津玄師を引き合いに、「人がコミュニケーションを取りやすく盛り上がりやすい場所であれば、既存の枠組みに全くとらわれず、実現できるメディアが選ばれている」との認識を示しました。

コンテンツ接触の前後を含む「オーディエンスジャーニー」が重要

五十嵐氏は、人々が繋がりを持てるようになれば、番組の前後に様ざまな行動をするとして、近年定着してきたカスタマージャーニーの考えをベースに、コンテンツへの接触時はもとより、その前後においても顧客体験を醸成していく「オーディエンスジャーニー」を提唱しました。視聴者は「自分の得たい情報の種類によってメディアを横断している」とし、「メディアの枠を超え、メディアニュートラル、デバイスフリーで考えることが重要」と語りました。

「コミュニティを形成するオーディエンスジャーニーに働きかけることを通じて、メディアの価値は再定義される」と五十嵐氏。

DX を活用することで、メディア単独では繋ぎ止めることができない視聴者を大きく繋ぎ、コンテンツを軸としたコミュニティを大きく育てていくことが重要だと述べました。

視聴者コミュニティの価値を高める"3つのアプローチ"

その上で、五十嵐氏は、コンテンツを軸としたコミュニティを作り、価値を高めていくための3つのアプローチを提言。メディアや広告主とともに実現を目指していきたいと語りました。

① コミュニティの質を可視化する
② ブランドもコミュニティの一員となる
③ コンテンツの" 深さ" を計測する

「コンテンツを通じて形成されるコミュニティの価値が高まるのは、コミュニティが大切にする価値観に、広告主のブランドの価値感がぴったり合致する時」であり、様ざまな角度からコミュニティの質的な特徴を定量化することで「コミュニティが広告主のどのブランドと共鳴できるかを探るべき」との見解を示しました。

さらに、「ブランドがコミュニティに参加するためには、ブランド自らが、コミュニティの大切にする価値観を『尊重している』と表明することが重要」であり、コミュニティの他の参加者と同じ視点でコンテンツを愛し、その上でイベントやキャンペーン、コラボコンテンツ制作などを通じて、関係性を強めていくことが重要と語りました。

さらに、従来の視聴率に代表されるような「量」や「質」の指標に加え、「コンテンツがどれだけ人を動かしたのか、その深さを測る指標を作ることはできないだろうか」と五十嵐氏。「コンテンツが見られている頻度」や、「視聴後オンライン上での行動につながった数」、「関連広告への反応率」など、コンテンツを起点にした具体的な行動の度合いについての仕組みをビデオリサーチと一緒に開発していきたいと述べました。

一度作り上げたコミュニティは、必ず顧客資産になる

五十嵐氏は、「これからは継続的に視聴者の質や深さを、繋がりを通じて高めるメディアコミュニティが" 資産"として重要になっていく」といい、さらに「一度作り上げたコミュニティは、必ず顧客資産になる」と強調。メディアコミュニティは「メディアの皆さまにとっても、広告主の皆さまにとっても、顧客との関係性を強固にする基盤になる」と、締めくくりました。

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「VR FORUM 2020」のレポート記事一覧

■基調講演:DXで繋がる消費者・メディア・コンテンツの未来 「オーディエンスジャーニー」の考え方を提唱
■Keynote.2 アメリカの最新メディア事情 〜 日本のメディアビジネス再編の糸口を探る 〜
■Session1 生活者データから予想される複雑化社会への視座と、メディアの価値の示し方 〜 複雑化社会におけるメディアの価値 〜
■Session2-a 複雑化社会のテレビビジネスについて考える。 〜 進化するテレビデータで、テレビの真価を表す 〜
■Session2-b ポストCookie時代における、データマーケティングの展望 〜 "人単位"のデータの重要性、業界全体で取り組む必要性 〜
■Session2-c 個人最適を"超える"、コンテンツメディアの新たな活用 〜 雑誌、ラジオの価値は"コミュニティ"そのもの 〜
■Session3 メディアの新しい価値創造に向けたビデオリサーチの取り組み コンテンツの視聴を 個人起点であまねく測ること

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