【VR FORUM2020】Session1 生活者データから予想される複雑化社会への視座と、メディアの価値の示し方 〜 複雑化社会におけるメディアの価値 〜

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【VR FORUM2020】Session1 生活者データから予想される複雑化社会への視座と、メディアの価値の示し方 〜 複雑化社会におけるメディアの価値 〜

▲[ 登壇者 ]ビデオリサーチ ひと研究所 渡辺 庸人

社会のデジタル化が進展する中、2020年はコロナ禍が発生し、人々の価値観や行動の大きな転換 点となりました。これによってもたらされたのが、さらなる社会の複雑化です。このセッションでは、生活者研究を行う当社シンクタンク「ひと研究所」主任研究員の渡辺より「生活者に一体何が起こったか」をデータから振り返りつつ、進展する複雑化社会における考え 方やメディアの価値の示し方を考えました。

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情報の個人化が進み、価値観が " 複雑化 " した社会

21世紀に入り、はやくも20年。大半の人がスマートフォンを持つようになり、個人のデジタルデバイスにデータが蓄積されていくという情報形態があたりまえのものとなってきました。

「日頃よく行うレジャー・趣味活動」の調査デー タ(ACR/ex)をみても、2000年の上位3位が「音楽鑑賞」「読書」「パソコン」に対して、2020年では「モバイルゲーム」「SNSの利用」「写真撮影」 と変化しており、情報体験の個人化がいっそう進んでいることがわかります。さらに今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出された春を境にソーシャルメディアの利用率が急激的に上昇。LINEにいたっては70%を超えるまでに成長しています。

情報の個人化とともに大きくなったのが、 人々における価値観の"揺らぎ"です。コロナにおける考え方ひとつをとっても「感染対策を優先すべき」「経済対策を優先すべき」とそれぞれの意見を明確に持っている人もいれば、相反する意見を自らのなかに両方抱えて「揺らいでいる」人、さらには場面や相手によって意見を 切り替えているという人もいます。

価値観が分化し、個人へのフォーカスが進む中、従来の価値観を変えようと「分散する力」、 そして従来どおりの価値観へ「回帰する力」との"綱引き"はいっそう強まりました。しかも今は、その"綱引き"がひとりの中にいくつも存在するまでに複雑化しています。

そんな「複雑化社会」において、生活者はど のようにメディアを使い、どのようにメディアと関係を持っているのでしょうか。

4つのキーワードを用いて、それを解き明かしていきましょう。

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変化が落ち着いたテレビ

「変化」そのものに対しても、「変化が落ち着 いた」「いまも変化が継続している」と、2通りのケースが見受けられました。ここはぜひ注目していただきたい点です。

「変化が落ち着いた」のは、テレビです。今年は3月から5月にかけて非常にテレビがよく見られていましたが、6月以降は徐々に落ち着きを取り戻しています。

一方、「いまも変化が継続している」のが、パソコンでのウェブ接触の時間です。当社の「VR CUBIC」のログデータから、週ごとのウェブ接触の平均時間を算出したところ、まず4月・5月 で大きな伸びを見せました。その後6月に落ち着くかと思いきや、そのまま高い状態で現在にいたるまで継続しています。コロナを機に、自宅のなかでパソコンを用いたインターネットの時間が増えているのです。

これらの4つの視点で見ても、メディアの使い方、個人情報への態度、変化の有無など、人それぞれで様々な組み合わせパターンがあり得ることがわかります。その結果、個人ごとにメディア体験が異なってくるわけです。

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見方を変えるだけでなく、見方を " 加える " アプローチを

今の世の中は異なる体験を持つ個人の集合体によって成り立っており、それにあわせてメディア体験も多様化、複雑化していることがわかりました。これを踏まえ、メディアはどうアプローチしていけばよいのでしょうか。

個人に最適化したアプローチは大前提となってくるでしょう。その一方で、「個人を深掘りする以外の方向性はないのだろうか」という問いも立ってきます。ここで私が強く提案したいのは、見方を「変える」だけでなく、見方を「加える」というアプローチです。

生活者は様ざまなメディア体験を通じ、今後もさらに変わり続けます。複雑化する状況では見方をただ単純に違うものに「変える」だけでは、見落としてしまうものも多いのです。そこで、見方を付け加えていき、新たな価値を見つけ出していくことが、今必要になっていると考えます。

「アメリカの最新メディア事情」からも、メディア体験が細分化する流れを踏まえ、アメリカのメディアが、今まで持っていた特徴とブランドをデジタル化における新たな武器にしているとありました。もともと大きな価値を持ち、確立されていた「ブランド」を生かし、今までの価値を発展させていくという点では、まさに「見方を加える」アプローチといえるでしょう。

価値観を転換させるのではなく、今までの価値は持ち続けたうえで、それを発展させ、新しい価値を付け足していく──。こうした流れが、これからのメディアには求められています。

「VR FORUM 2020」のレポート記事一覧

■基調講演:DXで繋がる消費者・メディア・コンテンツの未来 「オーディエンスジャーニー」の考え方を提唱
■Keynote.2 アメリカの最新メディア事情 〜 日本のメディアビジネス再編の糸口を探る 〜
■Session1 生活者データから予想される複雑化社会への視座と、メディアの価値の示し方 〜 複雑化社会におけるメディアの価値 〜
■Session2-a 複雑化社会のテレビビジネスについて考える。 〜 進化するテレビデータで、テレビの真価を表す 〜
■Session2-b ポストCookie時代における、データマーケティングの展望 〜 "人単位"のデータの重要性、業界全体で取り組む必要性 〜
■Session2-c 個人最適を"超える"、コンテンツメディアの新たな活用 〜 雑誌、ラジオの価値は"コミュニティ"そのもの 〜
■Session3メディアの新しい価値創造に向けたビデオリサーチの取り組み コンテンツの視聴を 個人起点であまねく測ること


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