「出現率10%で予算25%」ターゲット最適な予算配分と出稿先選定〜マスも、ターゲティングも実現する新手法〜

  • 公開日:
テレビ
#CM #ターゲット戦略 #ターゲット最適予算配分シミュレータ #テレビ #予算配分
「出現率10%で予算25%」ターゲット最適な予算配分と出稿先選定〜マスも、ターゲティングも実現する新手法〜

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅テレビCMを自社のターゲットに効率的に届けたい方
✅テレビCMの最適化出稿パターンについて知りたい方
✅テレビCMのバイイング関連業務を行っている広告主ご担当者

1.最適化出稿が進むテレビCMの出稿パターン

広告コミュニケーション領域のDX化が進んでいますが、テレビCMも例外ではありません。マスメディアであるテレビCMは一度にさまざまな階層に向けてリーチすることが活用の目的でしたが、これに加えて「より効率的な運用」が検討されるようになっています。

「運用型テレビCM」という言葉もよく耳にする昨今、効果最大化の観点からテレビCM出稿パターンのアプローチが模索され、これに呼応して多くの広告会社で運用や最適化に主眼を置いたテレビCMの出稿パターンを提案するサービスが展開されています。従来のリーチ獲得目的のCM出稿に加わる最適化出稿ですが、CM予算を最適化の出稿パターンにどの程度配分すべきなのでしょうか?今回は、特許取得の「ターゲット最適」な予算配分シミュレータを用いて、出稿プランアプローチを検討します。

「ターゲット最適」な予算配分シミュレータ 詳細はこちら
資料ダウンロード サービスページ

2.テレビCM最適化の一手法「ターゲット最適」

テレビCM最適の手法は多岐にわたります。枠ごとの購買やコンバージョンレート(CVR)で最適化する場合もありますが、いずれも出稿の効果が起点になります。効果がまだわからない0次プランの段階では、効果測定の指標として「ターゲット」が用いられるケースが多いでしょう。これは、各商品・サービスがコアにアプローチしたいターゲットにテレビCMが届くように最適化をする概念=「ターゲット最適」です。

ビデオリサーチでも、目的に合ったターゲットを設定し、そのターゲットのテレビ視聴実態からテレビCM枠を選定する分析サービスを提供しています。出稿後も同様にそのターゲットへのテレビCM出稿露出量(ターゲットGRP)を算出し、個人全体GRPと比較することで効果検証を行うフレームも提供しており、ご好評いただいております。

3.リーチ獲得とターゲット最適は併存するテレビCMの目的

今後、ますますテレビCM出稿の目的として重要になる「ターゲット最適」に対して、先述の通り従来からテレビCMの活用目的とされている「一度にたくさんのリーチを得られる」という点は今後も存在します。これらの出稿目的は二者択一ではないため、従来のリーチ獲得とターゲット最適をどのように予算配分すればよいのかという疑問が生まれます。

この疑問に対して筆者は、テレビの視聴実態のデータを用いて回答する研究を行いました。ターゲット最適では当該ターゲットの視聴実態からよく見ている枠を優先的に出稿候補とするのに対し、従来の出稿方法は個人全体がよく見ている枠を出稿候補とします。この違いを従来の出稿とターゲット最適出稿の配分に応用しました。

4.CMターゲット最適に割くべきテレビCM予算の算出

あるターゲットと個人全体のテレビ視聴実態の違いを出稿枠ごとに数値化し、その違いの合計が個人全体の視聴率の合計に対してどの程度の割合かを求めることで、ターゲット最適の出稿配分としました。(【図表1】)

ターゲット最適への予算比算出ロジック

この方法を用いて、ビデオリサーチの生活者データベースACR/exからターゲットとして560商品・サービスカテゴリの利用者(直近3か月・一部商材は直近1年)のテレビ視聴実態からターゲット最適への予算配分比を算出しました。これと、各ターゲットの出現率(利用者が個人全体の中で何%出現するのか)の関係をみたところ、次に示すような明確な関係が見出されました。(【図表2】)

各商品サービスカテゴリ利用者の出現率(x軸)と逸脱度合(y軸)の関係

各プロットを線形回帰したところ、ターゲット最適への予算配分はターゲットの出現率と強い関係が見られました。この回帰線に従うと、例えばターゲット出現率が10%の場合、CM総予算の25%はターゲット最適で出稿するのが妥当であると解釈することができます。同様の結果は、ターゲットを変えた別の研究でもみられました(吉田,2023)。

5.CMターゲット最適を活かした出稿

テレビCMターゲット最適への予算配分比が明確になることで、従来のリーチ獲得型CM出稿に加え、新たに行うターゲット最適での出稿にどの程度の予算をかけるべきかを可視化できます。先ほどの例の場合、仮にCM予算が1億円ある場合は2,500万円をターゲット最適で出稿することが理想的であると考えられます。

地上波でターゲット最適を行う場合は、先述した各広告会社が展開するCM出稿サービスのほかに、広告主が直接CM枠を購入申し込み可能なSmart Ad Sales(スマート・アド・セールス)という仕組みを活用することも可能です。このように、地上波ではターゲット最適で出稿プランニングを行う素地が整っています。

6.視野を広げたCMターゲット最適

地上波以外のターゲット最適アプローチとして考えられるものが、CSペイテレビです。CSペイテレビは従来から、雑誌的な動画メディアであると捉えられてきました。これは、CSペイテレビでは、特定のジャンルに特化した多様なチャンネルが展開されているためです。映画好きの人、競馬好きの人、それぞれの趣向に合ったチャンネルが存在するため、出稿するチャンネルを選択することでターゲット最適が可能であるとも考えられます。

各曜日×時間区分におけるあるターゲットの含有

【図表3】は、ある時期におけるあるターゲット含有のヒートマップをCSペイテレビのあるチャンネルと地上波民放のある局で比較したものです。ターゲット含有は、各曜日×時間区分のターゲットの接触率(視聴率)÷個人全体の接触率(視聴率)で算出されたものを用いています。このスコアは、その枠の視聴者の中でターゲットがどの程度たくさん含まれているのかを確認するインデックスとして機能します。

これをみると、このターゲットの含有の値がCSペイテレビでは圧倒的に高いことがわかります。これは、ターゲットと関連があるコンテンツを提供するCSペイテレビのチャンネルを取り上げているため見られる結果のため、ターゲットとの関連を考慮してチャンネルを選定する必要があります。

7.さいごに

今回はテレビCMのDX活用の観点から、リーチ獲得とターゲット最適における予算配分比と、その予算を用いた詳細なプランニングについてデータで確認しました。他メディアでも同様に分析できるデータがビデオリサーチには整っています。今後は、コネクティッドTVでも同様の視点で分析ができないかなど、さらなる研究の必要性を感じています。

CMターゲット最適の概念は今後ますます浸透・加速していくことでしょう。出稿先の選定・プランニングには、データを用いて広い視野で探索すること重要になってきます。プランニングまわりのデータでお困りの際は、ぜひご相談ください。

<参考文献>
吉田正寛. (2023). テレビCMの「ターゲット最適」に投資すべき予算を可視化する試み. 日経広告研究所報, vol.327 (Feb./Mar. 2023), 36-43.

「ターゲット最適」な予算配分シミュレータ 詳細はこちら
資料ダウンロード サービスページ

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ターゲット最適予算配分シミュレータ」※特許取得済み(第7247415号)
・調査時期:2022年4~6月(春調査回)
・対象地区:東京50km圏

サービス一覧

関連記事